わたしの左手と握手しましょう

第14期(2014年4月-5月)

  わたしの左手と握手しましょう          平吹正名

伝染りたくないものほど伝染ってしまうものだ。
ずしりと重いわたし、
羊羮のようにまとまるわたし、
のたっと天井まで持ち上がりあの日の木目を探す。
「がんばれ」左手のわたしのシャーペンの軌跡。
攻めてばかりの毎日だから今日は右手を撫でてあげる。
昨日のあなたは発疹と喧嘩しただけ。
わたしもワンサイズ余裕のあるシャツを着るようになったから大丈夫。
雷鳴にも驚かなくなった。
バリエーションのない顔とお決まりの記念写真。
さっきの雫はとうに流されて感情の順番待ち。
慌ただしいよ、春春春。
あなたの背中今日は丸まっていない。
震えるように伸びたまま。空気の薔薇を投げる。
行ってらっしゃい行ってきます。

負け戦な予感の天気ほど高揚するものはない。
ノーガード。
寝姿を晒して今日はこれでこんにちは。
ゴムも弛緩してこんにちは。
彩度が落ちた世界に皆気付いていないふり。
地面と対話しながら歩く老婆は、あの世の使者のようだ。
物言わぬ犬を連れて、赤子の亡骸を拾う。
とんでもございませんわたしも丸まり生きています。
丁寧に、歩いて、立ち止まって、潤して、
犬だけはわたしの奧の明日を見つめる。

何時だって部屋の様子の変化を夢想してしまうのは可笑しいことだろうか。
猫の眠りは犯罪者を出しかねない。
首はどこかな?
深い眠りは妨害の誘惑。
おぼつかなさは何歳までかわいいのだろう。あなたを千年後も踊らせるよ。
痛みと戯れるようにわたしを伸ばす。
わたしの裸にも発疹ができてる。
ああ、恥ずかしい。
消えないクリーニング店の光で、あなたもあなたを調整してる。
きっと。
ああ、恥ずかしい。

鏡の前でお辞儀する、わたし。

今回も詩を書きました。
発信することは「みる」ことを真摯にやれているか?やろうとしているか、
自分に問いかける作業になると改めて思いました。
ひとつの事象を微細に見つめ飛躍して拡大しても、そこを頭でなく「みる」ということを大切にしたいです。
ところで、4月以降コンビニのパンやお弁当が軒並みスリムになって呆然としました。。
みんなコンパクトにかわいくなったもんだなあと佇んでしまいました。。
また、来週も宜しければご覧になってください。

平吹正名