【第1話 日本のヤバい女の子】

第19期(2015年2月-3月)

はじめまして、はらだ有彩です。
今日から2ヶ月間、ここで記事を書かせていただけることになったのでうれしいです。

私は日本の民話をモチーフにしたテキスタイルを作っています。
ここでは日本の民話に登場するヤバい女の子、ジャパニーズ・デモニッシュ・ガールたちの涙について、想像したいと思います。

かわいくつよい女の子、その涙をどうか拭かせてほしい。

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【第1回:日本のヤバい女の子】

◾︎清姫(道成寺)

日本の民話に登場する女の子は怖い。
好きな男を追いかけて殺したり、つきまとって殺したり、怒りくるってこの世のものではなくなったり、簡単に「こちら」と「あちら」の世界を行き来する。
彼女たちはエモーションを爆発させて、その後ぱっと消えてどこかへ行ってしまうのです。

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能や歌舞伎で有名な道成寺は、
一夜をともにした男が自分を騙して捨てたと知って、愛しき美貌の僧 安珍を蛇になって追いかけ、恋の炎で焼きころす清姫の伝説です。

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彼女は安珍を追いかけているうちにおそろしい蛇になってしまった。蛇になっては好きな人と愛を語りあうことも、キスをすることもできない。蛇になってしまってはかわいい顔もつやつやの髪もない。その代わりに爆発するようなエネルギーがある。道成寺に駆け込み、鐘に隠れる安珍を焼きつくした清姫は、挫折と同時にはつらつと爆発を手に入れた。

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悲しい、という気持ちはどこからやってくるのだろう。
私は悲しいときにはわんわん泣くのですが、そこには爆発的なエネルギーがあると思います。悲しいときには、悲しくなかったときに持っていなかったエネルギーがある。清姫は蛇になるまでは男ひとりを焼きころす力を持っていなかったのです。

悲しみの原因を取り除いても、悲しい気持ちはなくならないですね。私はそう思います。そして悲しみと同時に手に入れたパワーフルな衝動も、爆発的なエモーションもなくならない。自分を捨てた男を恨み、「彼を許さない」という望みを叶えたあとでも、清姫は女の子の姿に戻らなかった。だけど蛇が女の子より魅力的でないなんて、誰が言えるでしょう。

一番欲しかったものを諦めたあとに、その次に欲しかったものを手に入れた時が、この世でいっとう悲しいかもしれない。それでも何でも手に入れてほしい。悲しくてわんわん泣いてほしい。そうして少しの涙を拭かせてほしい。蛇みたいな姿でも、性格が悪くても、モラルに反していたって、君はかわいいから。