おんなになる-ちちばなれ-

第19期(2015年2月-3月)

いつも実体験を元に書いています。
今回はつい最近、ようやく父離れをしたお話です。

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女性の皆さん、お父さんの匂いが嫌になったのはいつ頃ですか?
私の記憶では12、13歳ごろだったような気がします。
そして同時に、多感で片思いを沢山していた時期だったことを思い出します。

思春期の少女がお父さんの匂いや言動が嫌になる、というのはよく聞く話ですが
思春期の少年がお母さんの匂いが嫌になる、はあまり聞かないように思います。
口うるさくて、うざい!等はあっても。

「女性の方が嗅覚が敏感」とは確かによく聞く話です。
脳細胞の違いで生まれつき女性の方が嗅覚が優れている割合が多いのだそうです。
女性には匂いフェチも多いといいます。パートナーの匂いが大好きで、安心するという女性は多いのではないでしょうか。

嗅覚とはあまりにぼんやりした言葉ですが、
好きな匂い嫌いな匂い、安心する匂い、興奮する匂い、こういった匂いを嗅ぎ分け素直に従う事は重要だと感じます。
振り返ると、パートナーの体臭を初めて嗅いだ時、とても好きな匂いだと感じた記憶があります。

異性に対してはっきりと嫌いな匂い、として意識するきっかけは
まさに「父の匂いが嫌だと感じる」事では?
これをきっかけに、絶対的な存在であった父に拒否感を覚える。
それは少女にとって、とても重要な成長過程だと思います。

昨今、親離れ子離れが出来ない現象があると聞きます。
そして恋愛離れも耳にします。
ここに関連性があるのかどうか、断言はできませんが、少しは影響し合っているのではないかと思います。
実家は居心地が良く、父は自分を守ってくれる存在で、圧倒的な安心感があります。
しかし、実家が居心地が良いなんて思っていてはいつまで立っても自分は巣立てないのだと感じるようになります。
親は先にこの世を去るものです。
親が居なくなったとき、親が助けを求めるとき、自分自身がしっかりと立っていなければいけないと危機感を覚えなくては甘えっぱなしです。

昨年は父と娘を描いた映画が立て続けに公開されました。
「渇き。」「私の男」
この二つの作品に出てくる親子は決定的に環境が違いました。
「私の男」は養子縁組。強烈な程に他者を求め認められたい人間の姿、これは時に親子関係を越えていく。どうしようもない渇望。
私の男。にかんしては、親子関係が物語を彩る要素の一つに過ぎないので「背徳的恋愛サスペンス」だな、と思いました。
「渇き。」の親子関係は、肉親関係だからこそ、見られたくない顔はある。そして肉親関係だからこその思い込みと現実のギャップ。表裏一体性。眼を背けてしまう心の弱さが招く溝。
この物語で表される、父が眼を背けたくなる娘の本性。という点は私も感じる物がありました。
テレビドラマにもなった「パパとムスメの七日間」はこの親子だからこそ知られたくない顔をコミカルに暴いた作品でした。
私も「父には知られたくない姿」があります。

それは恋愛をしている自分の姿です。
恋愛をする、恋人がいる、というのは2人の間に肉体関係があることを容易に連想させます。
恋愛している姿を知られるということは、父を哀しませる事だ。と思い込んでいました。
しかしこの気持ちは時に自分自身を「娘」の型で縛るのです。
この時期の私は「父の匂いが嫌」と思った13歳の私は消え去っていました。
父にとって安心できる娘の姿を演じていた様に思います。

おかげで恋人を紹介するときは大荒れでした。
いままで女の香りを一切見せなかった娘が突然、父の前で「女」となって話をし始めるのです。
父は混乱していました。
そんな父に対して、子離れしてよ!と思ったものです。
私自身も父離れ出来ていなかったのに。

「父の匂いが嫌」になったあの13歳のころ、恋をしていた思春期、恋愛を隠そうとするのは当然の行動だったのかもしれませんが、打ち明けるきっかけがなかったのかと思うのです。
人は恋愛をし、ふられたり、別れたり、付き合ったり、そうやって経験を積み重ねるものです。親だって同じ経験をしているのに我が子とは恋愛の話が出来ない。そういうものなのでしょうか。
特に性の話題がタブー視され色物扱いされ、形式的な理由と結果だけを説明するような性教育のこの国では、親子間で性の話はままならない。
親子間での性の話とは、初恋の話から初潮や精通を経験する成長期、恋人が出来るころ、誰かを恋しいと思う気持ち、高校生や大学生に向けて話すべき性の意識、セックスという存在を隠さず話す事、何故セックスをしたいと感じるのか、何故するのか、身体を守る為にすべき事、年齢や経験に応じた身体と心に関する話です。
そういった話が少しでも出来る親子関係はこの世にどれくらいの比率で存在しているのかとても興味があります。

今は両親に恋人を紹介し、私はその壁を乗り越えることが出来ました。
私にとって両親、父と恋愛の話が出来たことは、娘ではなく「一人の大人」として認めてもらったような気持ちでした。
そして決定的な親と少女の関係性の終焉であり、新たな関係の始まりでした。

少女の頃に経験した「父の匂いが嫌」になった思春期の記憶、感覚。
大人になったいま、パートナーの匂いが好きだと思った感覚。
嗅覚はとても素直で、そして時に道しるべになってくれます。

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17歳の頃初めて手に入れたインポートランジェリー”chantal thomass”

この記事を書きながら気付いた事ですが、私がランジェリーに倒錯するのは、父への反動もあるのかもしれない、と思い始めました。
「女」を強調するランジェリーを身につける事で、娘を演じる自分と女の自分のバランスを保っていたのかもしれません。