シェリー

第33期(2017年6月-7月)

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僕はお酒ってやつが好きだ。
とはいえ、酒に弱い母方からの遺伝が強いのか、
残念ながら浴びるように飲めるというほどではなく
まあ、嗜む程度といったところなのだが。
昔は会社の同僚なんかと結構飲みに行って、
それこそ仕事の愚痴とか、先輩の振り翳す仕事論なんかを酒の肴にしていたのだけれど
もっぱら最近は仕事とは関係ない趣味の合う友達や、飲み友達と飲みに行くようになった。
そしてそれよりも何よりも、気の向いた時にふらっと一人で飲みに行くことが多くなった。
そういう時には大抵よく行く立ち飲みのお店に行く。

立ち飲みの扉をくぐると、カウンターを挟んでお店のスタッフの人とお客さんが談笑していて
「あ、ろっくくん」とか「おお、がんちゃん」とか、お店によっていろんな呼ばれ方をされた後
「こんばんは」と挨拶をされるので、僕も自分の立場所を探しながら「こんばんは」という。

飲みに行った日のメンツというのは、基本的にはその日によって全く違うものだ。
お店側の人は、まあ大抵は決まったパターンで回っているので知らないということはないのだけれど、
お客さんの方はといえば、立ち飲みという場所柄、割と僕と同じようにその日の気分で一人ふらっと、
というパターンのお客さんが多いのだろう、初めましてということも結構多い。
もちろんお店には常連さんという存在が必ずいて、お店に行けば会えるという人も結構いる。
僕も飲みに行きたい気分、というのが大体毎日のように続くときもある(というか多い)ので
結構常連さんの一員という感じになっている(と思う)。
そんなお店の中から、今日の自分の立場所を決めて、いつも通りのお酒を頼んでから、
お酒を飲みながら、隣り合った人やいろんな人と話をする。
話をする内容はその時によって様々で、天気の話とか、最近話題の映画の話、
音楽のイベント・フェスの話、お互いの仕事の話、趣味の話、まあ大体がそんなところなのだけれど、
お客さんの年代も様々なので、たまに老紳士といった感じの人が来たりもして、
その方は「バーで隣に女性が座ったら、あるお酒を勧めてそれを一杯御馳走するのが嗜みで、
その後女性の方からあるお酒を勧められたら、それはバーの後のお誘いなんだよ」というような
今は風化してしまったような昔の夜の街のルールとか、そう言った面白い話をしてくれたりもする。
そういうのを聞くと、どこかで試してみたい気もするのだけれど、
僕と同年代やそれよりも若い女性にやってみたところで、そういう流れになるわけもないか、
と思いながら、そのお話を女性に披露した後に、そのお酒を勧めてみるというのもいいかもしれない
なんてことを、その時も思ったし、文章を書いている今も改めて思ったりもした。笑

お酒を飲むと、仕事の中でいつも張りつめていた部分とか、
そういうものが少し緩むのだろうなと思う。
だからか、大抵お酒を飲む場所ではみんな笑っている。

笑っている人を見るのは楽しい。
笑ってくれれば僕も自分の話をすることができる。
うまい酒を酌み交わせる人のことを僕は大好きだと思うし
はじめはふらっと立ち寄っただけの場所だった酒場に
最近じゃあ笑った顔を見たい人のことを思い浮かべながら行っていたりする。

そういえばちょっと前、みんなで虫を撮影しに行く「虫会」という企画があって
その件の話の流れから、僕の撮っているものの話になって
そのときに、虫会主催の中山さんが「こいつは女ばっかり撮ってんだよ」と
向こうを見ながら吐き捨てるように言ってみせてからこっちをくるりと向いて
悪戯っ子のように笑ってみせた顔が最高に最高だった。
僕はきっと暫くそのラブリーな笑い顔を時折思い出すんだろうな。
そういえば中山さんは僕の親父と同い年だったな。
そういう年代の人と、酒場でそんな話ができるなんて、だいぶ最高だ。

そういえば酒場の話題からは少しそれるけれど、
昨日も久しぶりに会った友人たちと、お酒を飲んできて
結局、音楽に纏わる空想話をしながら大笑いした最高の時間を過ごしてきた。
みんな結婚したり子供ができたり、一緒に遊んでいた時期とはきっと違う日常を過ごしている。
なのに結局集まって盛り上がる話は、キャンプしながら酒飲んで火を囲んだあの頃と変わらない。
僕はそいつが嬉しくって嬉しくってたまらなかった。
きっとそいつも、お酒で緩ませてもらってもらったおかげなんだろう。
大体、音楽が好きで集まった連中なんだから、みんなどっかしら不器用なんだろう。

そういうところが最高にラブいです。

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いやー。
お酒っていいものです。酒場っていいものです。
これを読んでくれた友達やまだ見ぬ知らない人。いつしか是非とも酒を酌み交わしましょう。