20191108

第47期

秋だな、と思う。

勢いを増してきた食欲、重さを増してきた布団。
ハラリと落ちるのは紅葉、フワリと浮かぶのは鱗雲。

冬だな、と思う。

在学中の通信制大学は、後期が始まった。
今は4年生だから、最後の授業が始まっていく。
「最後」と聞こえはいいものの、単位が取れなければ卒業は先延ばしだ。
大丈夫だろうか、ふとそんな自分の声が聞こえる。

徐々に、沼は凍っていく。

人々は寒さを耐え凌ぐために、人恋しいと嘆いては身を寄せ合う。
鍋をつつきながら談笑をしたり、温かいマフラーに包まれながら夜空を見たり
そんな相手はどこにもいない今年、僕は寒い冬を迎えそうだ。

寒くなると、体は動かなくなる。
息も出来ないほど、空気は冷たくなる。
生きづらさは息づらさになり、ようやく吐いた息は白く靄がかって消えていく。
まるで今までの努力がなかったかのように、煙のように消えていく。

冷えた空気が肺に溜まって、吐き出した空気は水蒸気になって、手に落ちた雪はすぐに溶けて、枯れた木の葉は全て落ちて。
そんな季節はもう目の前に来ている。

だけど、今は。

秋は、少しだけ息がしやすい季節だ。
暑さと寒さの真ん中で、晴れた空の下で大きく伸びをすれば、それは気持ちの良いことで
些細なことも吹き飛んでしまうほど、胸に広がるのは、心地よさ。
雁字搦めの制服も、窮屈縛りの校則も、そんなことはなかったかのように、腕を振り回す。

実がつき始めた植物と、稲穂が揺れ始めた植物と、高くなる空と、伸びゆく影と。
普段は息がしづらいけれど、外に一歩出てみると、そこには視野の幅が大きくなった世界があった。

歩いてみよう。お腹を膨らませて。
走ってみよう。肩を上げ下げして。

そうして見えていく、日常を少しだけ、振り返る。
思ったよりも世界は悪くないんじゃないかって、自然は思わせてくれるかもしれない。