結び目 : knot theory
人間が初めて紐を結んだのは、いつなのでしょうか。
古代の遺跡から、穴の空いた美しい貝殻が発見されました。
その穴にひもを通して結ぶことで、首飾りとして使用していたと考えられます。
そのとき昔の人達が、どのような結び方をしていたかわかりませんが、紐の結び方には様々な種類があります。
衣服を纏う、荷を背負う、帆を結ぶなど、紐の結び目は日常的に見かけるものです。
しかし、数学の大きな分野には、紐の結び目を数学的に表現し、研究する学問があるのです。
たとえば、蝶結びしようとすると、簡単な間違いで縦結びになってしまうことがあります。
蝶結びと縦結びがどのように構造が違うのかを解明したり、また結び目と”もつれ”を区別する方法など、長年にわたって研究が行われてきました。
この分野は、位相幾何学(トポロジー)の一種です。ある結び目ともう一つの結び目が、位相幾何学的に同じであるのか、見極めるのは困難です。数学的に異なる結び目がいくつ存在するのか、その数は(交点数16以下の等価でない結び目という条件下においてだけでも)170万を超えています。
これら結び目を分類収集する理論を「結び目理論」といいます。
この結び目理論は、機械のケーブル、複雑な蛋白質構造、分子の立体構造など、様々な研究分野にも応用されています。