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風景のある図鑑 23

風景のある図鑑

結び目 : knot theory

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人間が初めて紐を結んだのは、いつなのでしょうか。

古代の遺跡から、穴の空いた美しい貝殻が発見されました。
その穴にひもを通して結ぶことで、首飾りとして使用していたと考えられます。

そのとき昔の人達が、どのような結び方をしていたかわかりませんが、紐の結び方には様々な種類があります。





衣服を纏う、荷を背負う、帆を結ぶなど、紐の結び目は日常的に見かけるものです。
しかし、数学の大きな分野には、紐の結び目を数学的に表現し、研究する学問があるのです。



たとえば、蝶結びしようとすると、簡単な間違いで縦結びになってしまうことがあります。
蝶結びと縦結びがどのように構造が違うのかを解明したり、また結び目と”もつれ”を区別する方法など、長年にわたって研究が行われてきました。


この分野は、位相幾何学(トポロジー)の一種です。ある結び目ともう一つの結び目が、位相幾何学的に同じであるのか、見極めるのは困難です。数学的に異なる結び目がいくつ存在するのか、その数は(交点数16以下の等価でない結び目という条件下においてだけでも)170万を超えています。

これら結び目を分類収集する理論を「結び目理論」といいます。
この結び目理論は、機械のケーブル、複雑な蛋白質構造、分子の立体構造など、様々な研究分野にも応用されています。

coca

coca

1988年、長野県生まれ。
coca、または古河郁という作家名で、絵や文章を書いています。
物理、数学、天文学、鉱物、錬金術を主なテーマとして作成しています。


書籍「風景のある図鑑」 https://minne.com/items/1739054

Reviewed by
中村 梨々

雨が降った後の秋の陽は柔らかく細く、街を、人を、冬のつなぎ目を、しなやかで長い陰に沿って結びます。明日出会うことをまだ知らないあなた。夜のあいだにそっとたどり着いた小さくてたくましい結び目。

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