「分子シャペロン:Molecular chaperone」
人間の設計図であるDNAは、4つのアルファベット、A、T、G、Cで構成されているタンパク質のヒモです。
そのアルファベットの並びは3つで1組となっており、
1組には対応する1つのアミノ酸(タンパク質を構成する分子)があります。
DNAを読み取ることで、DNAに書かれた通りの並び方の「アミノ酸のヒモ」を作ることができます。
タンパク質には様々な働きがあります。
細胞の壁となり人体を支えるもの、
酵素となり体内で化学変化を起こすもの、
必要な場所に必要な物を運送するものなど、それぞれの働きを担っています。
それらのタンパク質は正しく配列された「アミノ酸のヒモ」が正しい形に折り畳まれなければ正しい働きをすることができません。
その手助けをするのが分子シャペロンと呼ばれるタンパク質です。
ある種の分子シャペロンは袋状になっており、「アミノ酸のヒモ」を自らの中に隔離することで、
ヒモが周りの影響を受けずに、正しく折り畳まれる手助けをします。
シャペロンとは元来、ヨーロッパで若い女性が社交界にデビューする際に付き添う年上の女性のことです。
タンパク質が正しく成長し、デビューする手助けをする働きにふさわしい命名です
実際、ほとんど注目されていなかったこの主のタンパク質を「分子シャペロン」と名付けられてから、
急激にその研究が盛んになり、一般にも認知されるようになったと言われています。
名前を付けるということの力を知ることのできる、奇異なタンパク質です。
「オールトの雲:Oolt cloud」
オールトの雲は、彗星の巣です。
オールトの雲があると仮想されているのは太陽系の外側7兆光年、
太陽系誕生の際に残った物質が氷の塊となり、
それら無数の天体が殻のように太陽系を覆っていると考えられています。
太陽系は、太陽を中心としたドーナツ状の塵の塊から形成されました。
ドーナツの内側、太陽に近い場所は高温になり、いくつもの岩石がぶつかり合って大きな惑星が誕生します。
ドーナツの外側は低温のため、有機物を含んだ塵は無数の氷の結晶とぶつかり合い、
有機物をそのまま閉じ込めた氷の塊が無数に残っています。
その近くに恒星が通ると、氷の屑が引力の影響で押し出され、太陽の方に向かっていきます。
それが長周期の彗星となるのです。
こんな仮説があります。
宇宙の塵から地球が形成されたばかりのころ、表面の軽い塵は宇宙空間に吹き飛ばされ、生命に必要な有機物が地上にほとんどありませんでした。
そこで、外部から新鮮な有機物を持ってきてくれる存在が必要でした。
それが、オールトの雲から来る彗星です。
オールトの雲は惑星の故郷であるばかりでなく、我々地球上の生命の故郷であるかもしれないのです。