当番ノート 第9期
バランスをとろうとしてるだけだから。 今あなたは、なにしてる。 他人を否定しなさんな。 他人がどう考えて 何を思ってるかなんて そんなこと、わかんないんだし。 本当のことなんて、誰もわからないんだし。 今人生で、どんな場面に直面していたとしても それをしてたら、それでいいよ。 きっと、バランスをとろうとしてるだけだから。 ただ、ありのままの自分でいれたら、もっといいけどね。 今あなたは、なにしてる…
当番ノート 第9期
これは、宇宙で迷子になったアルパカの青年の話。 「助かりたかっただけなんだ。」 . . . . . .
当番ノート 第9期
専門学校を卒業した年だから、あれは2006年。 その頃フリーターをしていたわたしは、夕方からのアルバイトまでの時間をつぶそうと 自由が丘のヴィレッジヴァンガードに行った。 いろんなものが天井近くまで積まれた島をいくつか眺めながら、 ぱっと目についたのが、トイカメラコーナーだった。 本当に写真なんて撮れるのかあやしいような真っ黒くて四角いプラスチックの山を眺め、 その山の下に置かれた入門書のような本…
当番ノート 第9期
写真を始めたのは大学生になってから。フィルムカメラを貰って暗室に入って展示してたらいつの間にかどっぷりはまってた。途中からギャラリーのワークショップに参加して写真を通しての友達が増えてきて東京という場所で「写真」を中心に生活していた。ような気がする。写真を撮ることは好きだしなにかを作ることも好き。展示だってもちろん楽しい。ただ去年くらいから思い始めたことは僕は写真を撮る行為が一番好きなわけではなく…
当番ノート 第9期
あなたの目に映る私のこと。 私の中から見える私はたくさんいて あなたの瞳の窓から見える私はせいぜい二つか三つ、 耳から聞こえる私を足したら四つくらいにはなるのかな。 とにかく、私の中にいるたくさんの私のことは、きっと私しか知らない。 それと同じように、あなたの中にいる全員のあなたのことは、きっとあなたしか知らない。 だれかと初めましてを言うとき、 私は必ず、私の中にいる私のうち一人を紹介する。 こ…
当番ノート 第9期
その時、僕は18年前の夏にいた。 見渡す限りの水田には、青々とした稲穂がびっしりと実り、 整然と並び交わる畦道が、世界を均等に区別していた。 真夏のじりじりと照りつける太陽の光と、うだるような暑さのなかで、 ほんの一瞬だけ、無邪気に口笛を吹くようなそよ風が、僕の頬をなでた。 ずっと向こうまで続く緑色の稲穂が、まるで大きな絨毯のようで、 どこからかやってきた風に吹かれて、軽やかに波打つのが見えた。 …
当番ノート 第9期
お休みの日。窓越しの空で電車の音がする。踏切の警報機。いくつも並んだ車輪の音が、青い空の岸を大きく曲がり、雲の森へ入るのを、ソファに埋まったまま見ていたら、器の割れる音がした。 「うわ、ごめん」という声に、ソファの背もたれ越しでキッチンを見れば、太郎さんが割れたお皿を警戒しつつ、機嫌を伺うようにこちらを見ている。 私はいいよと伝えるつもりで、「にゃーお」と一言口にした。 「だいじょうぶ、怪我し…
当番ノート 第9期
ぼくらの生きるこの世界は 捉え方で、見え方で、伝わり方で どうにでもなるし どうにでもなってしまう。 結局ぼくらは、自分が可愛くて仕方がない。 現代をある程度不便なく生きれている人は、 そんな思考が、どこか頭の片隅にあるはずだ。 もしくは、片隅にも置けないほど忙しくしているか。 世間体、立場、環境、在り方、居場所、偏見、生き方、存在することについて。 あらゆるテーマが転がるさなか、 ぼくらは、いつ…
当番ノート 第9期
やさしい死神は、不器用に人前にあらわれるから 村人たちから嫌われていました。 やさしい死神は、誰も死なせることができないから 死神たちからも嫌われてしまいました。 雨の日、やさしい死神は森の老人の小屋を訪れました。 嘘をついて、迷子の人のふりをして、おじいさんを困らせました。 もうすぐ死ぬ順番の、森のおじいさん。 帰るところがないと告げると おじいさんは一緒に暮らそうと言ってくれました。 ミルクコ…
当番ノート 第9期
先日、父と妹が東京まで遊びにきてくれた。 こちらの予定も聞かずに勝手に日取りを決めて、それを妹伝いに連絡してきた父に対し、 妹は「予定空けてもらってごめんね。でもおねえちゃんにひさしぶりに会えるの楽しみにしてる」と言ってくれた。 わたしと妹は年が5つ離れている。 わたしが18歳で上京する時、妹はまだ中学生で、 互いのいろんな出来事を相談したり、励まし合ったりするには10代の頃の5つの年の差というの…
当番ノート 第9期
いつも見ていた風景 けどなにか違う風景 懐かしくもあり どこか他所よそしい そんな風景がそこら中に広がっていた 年二回帰るその場所は 変わらずその場所にあって そして少しずつ換わっていく もちろん自分も換わっていく それに合わせて場所も変わる 場所は姿を変え 僕は僕を変える その変化に巧く合わす事は難しく 知らない場所や物事は増えていく かつて自転車で駆け抜けた通り道 その場所で過去を見付けてみた…
当番ノート 第9期
あ、どうしよう不安だ 自信がなくなってきた 周りもみんな敵に見える あ、どうしよう 僕ちゃんと誰かに必要とされてる? どうしよう どうしよう! どうしようどうしよう! どうしよう! いいか。よく聞け。 そんなふうに不安だらけになったところで、実のところ世界は何も変わっちゃいない。 君の頭の中から覗く世界が、君の思い込みで急に恐ろしいものになっただけだ。 世の中は君のこといちいち相手するほどヒマじゃ…