ショートな絵本
あれれ ここ、どこだろう なんにもないのね きゃあ くも、だわ 私、くもがこわい 子ぐももいっぱいでてきた くもの家族かもしれない なんだか楽しそうにはねている これからなにが始まるのかな くもたちが、巣をはり始めた くるくると、かっちりと くるくる、かっちり、あんでいる きれいなレースみたいな、くもの巣 おかしいな、ほんとにレースをあんでいるわ まあ、きれいね くもがレースをあみ終えた おや、雨…
当番ノート 第14期
1989年4月20日 最高気温16℃ 最低気温7℃ 快晴 今朝、アパートのポストを開けてみると手紙が入っていた。白い封筒には私の名前が書かれていたが、切手も差出人の名前も無かった。 銀の封蝋を丁寧に剥がし、開けてみるとケント紙のような厚めの紙が一枚入っていた。 “恒例・ミクロ天体観望会ご招待のお知らせ” 聞き覚えのない会合だった。その文字のすぐ下を読んだ。 “満月、日没後より開催。各々、夜食…
長期滞在者
[撮影 : 2005-2007] ・・・・・・ 7〜9年前の写真のベタ焼き(ネガをそのまま全コマ印画紙に密着プリントしたインデックス)の束が出てきたので、久しぶりにしげしげ見ていた。 僕の写真で「面白さ」という尺度でいうならば、おそらくこの時期に撮ったものがピークなのだと思う。昔の自分の写真を見て「面白い」と思うのはなかなか複雑なものなのだけれど(写真にとって「面白い」とは何か、という肝心な定義は…
当番ノート 第14期
先日夢をみた。 「赤い風船を十五個用意して」と頼まれたから用意して渡したのに、風船のことをすっかり忘れられて、風船はどんどん萎んでる。どうしようどうしよう、と思ったけれど、しぼんでもしぼんでも風船は浮いたままで、ずっと見ていたらクランベリーの木みたいになった。 今回は、その夢で見たものににいろいろ混ざった絵と詩。 ——————…
当番ノート 第14期
わたしのおばあちゃん、「玲子さん」と呼ぶ。 何でも、玲子さんの兄弟二人とも、外国に住んでいて、外国では名前で呼び合うらく、 名前でよんでほしいとの要望で、中学生の頃から名前で呼ぶようになった。 そんな玲子さん。 眼鏡をかけていて、小柄でかわいらしいおばあさん。 でも頑固で几帳面でさっぱり明るい性格。 気さくな方で、よく電車で横になった人に話しかける。 昔は学校の国語の先生。 子供が生まれるも、ベビ…
当番ノート 第14期
僕は魚釣りが好きで海や川へよく出かける。 ジリジリと肌を焼き、あちこち虫に刺されながら刻々と変化する潮や風を読み、 朝早くから夜遅くまで水辺に立つ。 そんな釣り人の心理は単純なもので、遠くのポイントには手前よりも大きな、そしてたくさんの魚がいるように錯覚する。 全力で投げて、巻きとり、少しでも遠くのポイントを狙う。 そのほとんどは空振りとなってルアーだけがするすると返ってくるのだけど、 小刻みに震…
the power sink
こんばんは。今回も特に意味のない絵を載せています。 意味のない絵を描いていると、大体の場合はとても眠たくなる。 見て頂けると嬉しいです。ではよろしくお願いします! 12 1.お父さんに締められる 2.木と人 3 3.無気力状態の人を、ほとんど無気力のおばさんが見張っているんだ 4 4.叩く人達、たぶんパイプかなんかを叩いている 56 5.ココナッツをコンコンする人 6.透けている複数の幽霊 78 …
当番ノート 第14期
はたち 平吹正名 A はたち。 B そうね。 A はたちかあ。 B そうだね。 A はたちだよ。 B うん。 A 。。。 B ゴールが見えた。 A 見えた。 B 。。。 B あおいね。 A お腹空いたなあ。 B ラーメンかな。 A 簡単だな。 B 簡単じゃないものってあるんだね。 A 何それ? B お姉ちゃんは、みそじになって本当の大人なんだって言ってた。 A え? B 現実…
長期滞在者
3月26日 門下の試演会。試験とは違うのだし、たかだか1曲弾くだけだと思っても、緊張して落ち着かない。 弾き過ぎないように指を慣らしてから、支度をして家を出る。 途中、Gからのメッセージを受け取る。「N’oublie surtout pas de t’amuser(とりわけ、楽しむことを忘れないで)」 まるで側にいるみたいに、つめたくなっていた指先に暖かみが戻るのを感じ、す…
当番ノート 第14期
まだ少し寒さが残るので 今回は濃厚なガトーショコラを選んでみました。 湿り気を含んで みちみちに詰まった重厚感あるチョコレート生地と 新雪の様にキメ細かく柔らかで、表面に僅かな艶のあるクリームの 黒檀と白の対比。 またそのクリームの、垂れそうで垂れない ギリギリの緊張感を留めた曲線フォルムに一目惚れです。 まるで彫刻のような佇まい。 近寄って色々な角度から見たいと思わせる盆栽的面白さもあって ケー…
当番ノート 第14期
今回は前回に引き続き、私の作品について書きたいと思う。 私の光のシリーズは前回書いたように祖父の記憶からスタートした。 現在私は祖父以外の写真でも同じように光を透す作品をつくっている。 そこに祖父の時とは共通するところや、また違う意味を込められると感じているからだ。 この作品は友人から頂いた写真がもとになっている。昔の結婚写真だ。よくみると男性は軍刀を持ち、軍服を着ているので出征前の姿だと思う。友…