風景のある図鑑
「 クラゲ : jellyfish 」 クラゲの大半には、ポリプと呼ばれる植物のような時代があります。 クラゲの受精卵は、メスの保護嚢の中で0.2mmほどに育つとプラヌラ幼生となって外へ泳ぎだします。 プラヌラ幼生が海底の岩などにくっついて定着し、触手を伸ばします。 この海底に咲いた花のように見えるものがポリプです。 ポリプは、水温が15℃以下になると体がくびれ、花びらが重なったような姿になります…
当番ノート 第16期
世界の片隅の扉の向こうに、その町があり、その天使たちがいる。 ”天使の踊り場” 住所:ツバメ町 C地区 麦の小路 天使の頬は何色をしていると思う? 天使の髪はたまご蒸しパンの黄色、 天使の肌は白パンのクリーム色、 天使のまつげはライ麦パンの小麦色、 天使の頬は——— (ツバメ町の言い伝えより) 世界にただ一つの、ツバメ町ガイドブックを標榜しているこの本としては…
イルボンと小鳩ケンタの空席商会
◇出てくるひと(順不同・敬称略) イルボン(gallery yolcha車掌/詩演家):以下、車掌 小鳩ケンタ(詩人):以下、鳩 谷内亮太(アクセサリー作家):以下、亮太 ケント・マエダヴィッチ(イラストレーター)欠席 Murgraph(イラストレーター):以下、 Murgraph ◇◆◇◆◇ 【2014年8月の相席】 2014年7月19~8月10日、ケント・マエダヴィッチ×谷内亮太「Refres…
当番ノート 第16期
8月を振り返ってみると、カクテルのことばかり書いていたなぁ、ということに気付いておろおろ。それ以外にも書きたいことはたくさんある。プロフィールに「くらしとカクテル、たまに妖怪。」と入れてるので、そろそろ妖怪について触れてみようかと思う。妖怪、けっこー好きなんですよね。 ぼくは小さな頃から、水木しげる大先生の妖怪図巻を眺めながら育ってきた。ぼくは伊平屋島(沖縄)の出身なんだけど、自然がゆたかな場所で…
長期滞在者
「ご賛成のかたは、右前足をおあげねがいます。(中略)反対のかたは、左あと足をおけりください。」 (『黒ネコジェニーのおはなし』より) 東京の地形は意外と起伏があり、谷のつく地名がたくさんあるのですが、夏が過ぎ去るのと同時に谷から新しい谷へと移り住みました。煙猫にとっては2回目の引越しです。さて煙猫は体つきは堂々としているのに気は小さくはにかみや、いつもおっとりくったりしてるのですが、移動はまったく…
長期滞在者
本庄早稲田には人がいなかった。駅の光だけが煌煌としていて、無人の駅の中、こんなところに新幹線はこないだろうと思った。車をおりて、母を抱きしめたとき、老眼鏡を使い始めた母の目が潤むのをみた。わたしは舌を噛んで、必死に堪えたけれど、母の顔を直視できなかった。わたしはあまりに無口な娘だ。父や母が望むような言葉を、何一つ残さなかったし、希望も残さなかった。無口で、不透明で、不安定な娘を、彼らはどうにか助…
長期滞在者
ヨーロッパの8月は学生だけでなく社会全体が夏休み気分である。 そういう気分に乗っかってのんびりしたかったのだけど、なかなかそうは問屋が卸さない。 やり残していた確定申告だとか、失業保険のための再登録手続きだとか、 飼っていたモルモット(羽左衛門)が急死したのでその葬式だとか、 人生初の運転免許講習だとか、水墨画の特訓だとか、相変わらずの作陶活動だとか、 今年一番忙しい月だったんじゃないだろうかと思…
当番ノート 第16期
もう4年前にもなりますが、2010年に野田秀樹の『農業少女』を池袋の芸術劇場で見ました。戯曲自体は古く、初演は2000年です。今年は2014年ですが、今読み返しても全く色あせていないと感じます。 http://www.nodamap.com/site/play/21 この戯曲は、片田舎の農家に生まれた15歳の少女である百子が、劇的な人生を夢見て上京したものの、失敗して田舎へと転落してしまう物語です…