長期滞在者
先日、琵琶湖が見渡せる道路沿いをひとりで歩くことがあった。ここしばらくは、せっかく仕事が休みでも疲労困憊で家でひたすら寝たり、なにもせずぼんやりするばかり。無印で新しい枕を買う目的で、久々に人の多いところに外出した。 晴れているのに、山沿いではよくしまける。晴れているかと思ったら、数秒後には雨がちらつくような日なのに、不思議と寒さは感じなかった。春の気配。濡れないようストールを頭に巻いて、とぼとぼ…
当番ノート 第19期
赤い色。赤い実。赤い空。 赤色の服を定期的に身に纏いたくなる。 普段、青色の服を選ぶことが多いのだけど、 一定期間を置いてふと赤い色のものを強烈に欲する時が何故かあるのです。 赤で一番に思い浮かぶ映画は、セルゲイ・パラジャーノフの「ざくろの色」だ。 刺激的な赤色がたくさん出てくる。 赤い服を着た少年を挟んで赤く赤く染められていく糸。 置かれた石榴から流れる赤い色。 血のような赤い色。 あれを初めて…
当番ノート 第19期
幼心に 女は一生 おんな なんだ、と。 勘づいていた様に思います。 実は私は10代のころに2人の女性とお付き合いした事があります。 恋愛関係のお付き合いです。 初恋も初めての恋人も男の子なので、後天的なバイセクシュアルです。 女性を恋愛対象にみることは極めて少ないタイプなので、バイセクシュアルとしての気質は薄いのかもしれませんが、恋した女性達は私にとって新鮮な人間でした。 新しい世界を案内してくれ…
当番ノート 第19期
【第4話 罪とヤバい女の子】 ◾︎八百屋お七 井原西鶴の「好色五人女」にも登場する八百屋お七は、恋人に会いたい一心で町に火をつけ、火あぶりにされた女の子です。 彼女は火事がきっかけで出会った恋人にもう一度会いたいと焦がれ、もう一度火事になれば会うことができると考えた。その足跡は羽よりも軽く、熱風にくるくると巻き上げられる。 罪な女はなぜ魅力的なのだろう。 八百屋お七は手を替え品を替え、時代を超え、…
当番ノート 第19期
ゼンハオ君という友達がいます。 もう先の文章に書いたような気がしますが、2011年から2012年にかけてイタリアに留学していました。 その間に、休みを利用してイギリスにも行った。 ジャグリングフェスティバルがあったからです。 BJC(ブリティッシュ・ジャグリング・コンベンション)という名前で、やっぱりここでもテント暮らし。EJCと同じです。 ▲テントの群れ 会場までは、ロンドンから電車で約二時間。…
当番ノート 第19期
朝顔。 花の模様は星にみえる。 栄光の朝、だなんて、良い英名を頂いたこと。 motoco oki
当番ノート 第19期
農家の仕事として 山に木を植え、お茶畑を管理して、畑に種をまき、土を耕す。 多くの人がこれらの風景を見て、自然の風景が素敵だと喜びます。 もともとある自然に、人の手が加わりひとつの自然をつくりあげる。 畑には肥料をまくこともあるし、トラクターなど機械が入ることもある。 不自然のかたまりのようでもあるが 実は自然を生かして、自然に寄り添うように手を加えているだけ。 長い月日がたって、自然に寄り添うよ…
当番ノート 第19期
私の苗字には、白の字がはいっている。 白。 余白。 空白。 明明白白。 白は憧れの色です。 余白は憧れの場所です。 余白の美しい絵を見ると溜め息がでてしまう。 自分で描くと隅まで埋めてしまう傾向にありなんとも余白とは向かい合えてないように思えていた数年前。 そもそも溜め息を着いてしまう絵はもう白い部分は余白ではなく空間になっているのだけど。 すごいすごいよ、この白は!と心の中で地団駄踏んでいたりす…
長期滞在者
先月大阪の国立国際美術館で観た映像作家フィオナ・タンの動画展示で、メインではない小さなブースでの作品だったのですが、静止した女性の周りをカメラがゆっくり一周して撮っていく、いわば「背面まで写るポートレート」というようなものがあり、目が釘付けになりました。 美しい諧調のモノクロ映像で、どこかでその映像を切り出ししたらそこからいくらでも「ポートレート」が抽出できてしまいそうなクオリティ。 それを観て、…
当番ノート 第19期
[日本舞踊演目/鷺娘をテーマにした学生時代の作品より] おんならしさ、おとこらしさ、の正体とは一体なんでしょう。 時代の変化とともに、このその「らしさ」の姿を変えながら議論は続いています。 仕事をして家族を守る、家庭を守る、子供を育てる、といった社会的な事柄から、 話し方、仕草、趣味にいたるまでその対象は尽きません。 例えば、 女の子はピンク、男の子はブルーというイメージ。 料理の出来ない女の子は…
当番ノート 第19期
【第3話:命とヤバい女の子】 ◾︎八百比丘尼 花の命は短いけれど、命短し恋せよ乙女といいますね。それでは、命が短くない女の子の恋はどうか。 八尾比丘尼は人魚の肉を食べて、不老不死になってしまった女の子です。彼女は誰よりも長生きし、若く美しい姿であちこちを旅した。そしてあらゆる人と永訣しました。 よもつへぐい、とは非日常との交わりだ。 自分と異なるものを口に入れて、それを受け入れて同化してしまうこと…
長期滞在者
例年のことながら春先は、学生や学校を卒業したてのフレッシュな作家さんたちが意欲的な展示を見せる時期です。 現役の学生がぼくたちのような会場を自分で確保して新しいステップを踏み出す、とても素晴らしいです。ぼくが大学生の頃では考えられないことです。だいたい20年以上前、東京にも大阪にも若い人たちが自由に作品発表が出来る場は殆どありませんでした。 ギャラリーは今よりもっと閉ざされた存在であったし、そもそ…