Slow times
くちのないひと くだもののかおりをすいこむ それから そっと ぞうのせなかをさわる
当番ノート 第21期
こんこん。 あっこんにちは、はじめまして。 本日からこのおもしろにぎやかアパートメントに2カ月ほど入居させていただきます、ヤカというものです。へへ 得意なこと?うーんなんだろ、食べることかな。好きなこと?うーんなんだろ、食べることかな。特になにが好きかって? そりゃあ決まってんじゃない、甘いもの!糖分!(そのあとに食べるほかほかごはんも大好きだよ) そう、私はとある街の商店街の隅っこの隅っこでお菓…
当番ノート 第21期
倉庫とパッケージ。 フィレンツェはあの日、雨だった。 物語。 忘れないように努めていることは、 やがては忘れてしまう事であり、 思い出さないようにしていることは、 何かの拍子に必ず思い出してしまう事である。 この二つの事柄は、 或いは別々の倉庫に同じ名前で保管されているか、 同じ倉庫に別々のパッケージで保管されている。 つまり、 記憶というものは僕たちの意思や考え方だけでは完全には管理できないもの…
当番ノート 第21期
僕は写真が好きなサラリーマンで、ひょんなことからルーマニアで働いている。縁あって寄稿させてもらうことになったので、ここでは日本人にとっちゃまあ馴染みのないルーマニアという”未開”の地での日々をつらつらと書いていこうと思う。2ヶ月間、宜しくお願いします。 まずルーマニアを知らない人の為に簡単に説明すると、場所としてはバルカン半島の付け根に位置し、北にウクライナ、西にハンガリー…
Native Language
当番ノート 第21期
▼ 横浜 物心ついた時にはもう人魚を飼っていた。どこの海で拾ってきたかは記憶にない。小さなマグカップに塩を入れ、毎日水を取り替えた。子どもなりにいろいろなえさを試したが、人魚がいちばん好んだのは角砂糖だった。雑然とした勉強机の上、ペン立てにしている空き缶の横にマグカップを並べてカムフラージュして、誰にも知られずここまで育てた。家族を離れてひとりで暮らすようになってからは、台所でひっそり飼った。たま…
長期滞在者
ちょうどよかったわ。いっしょに おやつをたべてって 『おまたせクッキー』より 小学生の頃、家庭訪問の時期が待ち遠しかった。学校から家庭訪問の日程表が配られると仲の良い子4、5人で集まって作戦会議を開く。14時半にともちゃんち、つぎはひろえちゃんちだね、と先生が各自宅を訪れる時間を確認する。学校から先生にぞろぞろくっついてみんなの家をはしごしたり、時には先回りして待ち伏せしたりと、先生にも親たちにと…
当番ノート 第21期
アパートメントの起源はローマとも言われているが、現代の産業革命以降の労働者階級の都市部への人口集中に対応すべく発展した大量住宅供給のためのビルディングタイプの延長であろう。都市は田舎者の集まりである、はよく言う常套句であるが、要は根無し草、身寄り無しのような人々の集まりなのである。かくいう筆者も今は都内のマンション暮らしである。(マンションは本来「豪邸」という意味であるが、このカタカナ英語は明らか…
はてなを浮かべる
こんにちは 近ごろ彼、僕の方を見ません どうやら人間は、忙しいようす そもそも僕に構うことが、 そんなに簡単じゃないってこと一応わかってます …
当番ノート 第21期
週一の日記なので、その時々の取り組んでいることを整理して書くよりも、 その週ごとに思ったことを書いて行きたいと思います。 文体も内容もバラバラになるでしょうが、 抽象的などろっとした言葉の連なりから、 何か片鱗を拾っていただけたらありがたいです。 さて今回は、 優しく在ることについて。 高木正勝さんの音楽がつめつめのせっかちな音の連続で、 それが総体としてあたたかい世界観を形作るように、 腰の据わ…
日本のヤバい女の子
こんにちは、はらだ有彩です。 今年の春に2ヶ月間、アパートメントで連載をさせていただいていました。 またここで記事を書けることになったのでうれしいです。 (前回の連載 https://apartment-home.net/author/hurry/ ) 私はmon・you・moyoという屋号で、日本の民話をモチーフにしたテキスタイルを作っています。 (http://mon-you-moyou.ji…
長期滞在者
5月はほとんどの時間を作陶に費やした。 1年ほど前に無謀にもホテルの食器を引き受けてしまい、散々な思いをしながらいろいろ学びもしたのだが、 1ヶ月前にまたかなりの数の食器の注文が来たので、1年前のトラウマを抱えながらもそれに取り組んでいた。 去年とは違い、自分が好きに使える工房があるので、楽になった部分もあるのだが、 場所が狭いので、成型の終わった器を乾燥させる場所を確保するのに手間取ったりもした…