当番ノート 第25期
夏の休暇が始まると、僕とミアキは毎年祖父の家へ泊まりに行く。休暇のはじめから二週間は、必ず祖父が独りで暮らす家で過ごすのが僕たち従兄弟の決まりだった。 僕は数えで十一歳、ミアキは一つ上の十二歳になる。親族の中で数少ない歳の近い男同士、それに互いの趣味も良く合うためか、僕たちはお互いがいれば遊び相手には困らなかった。 ミアキは母親の血が濃い整った相貌に利発な頭を持っていたが、いかんせん少々気難…
日本のヤバい女の子
【3月のヤバい女の子/秘密とヤバい女の子】 ■見るなの座敷 ―――――――― うぐいす女房(見るなの座敷) 一人の男が山の中で迷っていた。歩いても歩いてもどこにもたどり着かず、水も食料もない。もうだめだと思ったとき、突然目の前の草むらが開けた。そこには一軒の立派な屋敷があった。 屋敷の中からとびきりうつくしい女性が顔を出す。彼女は男を気遣い、風呂を沸かし、食事と酒をふるまい、宿を貸してくれた。男は…
当番ノート 第25期
三重県地図を眺めていると道の軸が見えてくる。高速道路に国道、旧街道と時代を重ねても伊勢神宮に吸い寄せられのびているのだ。なんだか磁石に吸い寄せされる砂鉄みたい。 「三重のおへそは神宮にあり!」企画会議の時、発行人の一声で街道歩きの新シリーズがスタートとなった。ご遷宮目前の2012年、来るご遷宮を目標に各街道を健脚女子2人が神宮へ向かって各街道をいく。東海道から派生する伊勢街道に、京・大和方面から続…