当番ノート 第27期
高松に来て、ちょうど3年が経つ。 高松に来た理由を聞かれて答えを濁してしまうのは、「瀬戸内国際芸術祭がきっかけ」という理由が、気恥ずかしいからだ。 (なんだか、「それっぽい」感じが…) 「アート」と呼ばれるものに初めて触れたのは、大学二年生。 2011年に、熊本市現代美術館で開催されていた小谷元彦という作家の個展だった。 その日は、毛皮のマリーズの解散ライブだった。「ああ!わたしは、ボロボロのTシ…
長期滞在者
「先を譲れるか」 電車に乗るときのことだ。朝、いや、朝でなく他の時間帯でも、渋谷、新宿、東京駅など、人が大きく交差する場所に行けば行くほどに、モヤっとする光景に出くわすことも多い。 プラットホーム、乗車を待ちかねて並ぶ人たちの中には、電車が来るやいなや、車内から出てくる人たちをお構いなしに、ターゲットの座席だけを目指して、なんとしてでも自分が座るべくお隣さんたちと小競り合いをはじめる。妙な心理戦が…
当番ノート 第27期
前回、 ファシリテーションに出会った時、身体が震える衝撃を受けたと書いた。26年間生きてきて、震える感覚は、あの時限り。 一雫の言葉が落ちてきて、波紋のように身体全体を震わせているような感覚。嬉しくて小さく握った拳は、これから知る、まだ、ふわふわした言葉を逃さないぞという意思表示だったのだろう。 感動とはまた違う、渇望していたものに、ふとした瞬間に巡り会えた幸せ。なかなか味わえない感覚だ。 ここま…
the power sink
こんばんは!今回も絵を載せます。ではよろしくお願いします! 手を重ねる男女 玉ねぎ 手と足と顔をそむける人 尖った突起がついた柔らかそうなものと、手を細かく動かすおじさん ダムと、気持ちの悪い蝶とティッシュと、あと僕の脳は小さい パックに並べられた種 馬鹿みたいな理由でとても悲しくてとても怖かったので…
当番ノート 第27期
突然ですが、自己紹介が苦手です。 例えば・・・ 「スパゲッティ カルボナーラ」 香ばしく焼き上げたパンチェッタ(豚バラ肉の塩漬け)とパスタが、たまご、チーズ、生クリームがベースのソースと絡んだローマの伝統料理。 黒胡椒のアクセントと濃厚な味わいと、まろやかな口当たりが特徴。 たまごに火が入り過ぎない様に加熱するのが美味しくできるかどうかのカギ。 「麻婆豆腐」 中国四川省の料理の一つ。 豆腐とひき肉…
長期滞在者
ヨーロッパというか、西洋の主だった国ではそろそろ年度末である。 もちろんベルギーも例外ではない。 公の機関がほとんど機能しなくなる夏休みに向けて、あれこれ忙しい時期だ。 ぼくが通っている美術アカデミーもそういうモードになってきた。 大の苦手であるお片づけの指令がお上から出たので、渋々従ってみたり、 釉薬を決めかねて溜まっている素焼き状態の作品に慌ただしく施釉したり、 その隙間になんとかもうちょっと…
当番ノート 第27期
只今5月28日(土)の19:00過ぎ。 明日は2ヶ月振りの「道明寺天満宮手づくりの市」。出店準備と車への積み込みが終わり、 奥さんと市で使う麻紐をホームセンターへ買いに行き、夕食の買い出しから戻って これを書いています。 つい2日前には時折風呂に現れては我が家を離婚の危機に追い込む 黒光りするアイツのおかげで一悶着、網戸の無いほうの窓を開けた犯人は特定出来つつも このやり取り何度目?と頭の中を巡る…
当番ノート 第27期
はいけい 絵の中の女の子たち お元気ですか? わたしは元気です。 絵が描けるようになってもうすぐ一年。 また この季節が巡ってきました。 もう一度信じてみてもいいんじゃない? もう だいじょうぶだよ。 あたなたちがそう言ってくれた あの朝のこと、 今でもはっきり覚えています。 あの時、絵はまるで魔法のようだと思ったよ。 頭で考えても描けない。 この感覚と この心を信じて紡ぐ 不思議なちから。 また…
はてなを浮かべる
すべてが等しく切り分けられるべき? どうでもいいことをどうでもいいと、思う工夫をしなければ 思考はたやすく連れていかれる? 向上心って一種の病気? 柔軟でいようとすることが僕を弱者たらしめている? 他人にばかり測られすぎて参ってるのかな? 自分のルールばかり逞しくなっていくのか?…
当番ノート 第27期
告白をしたい、と思ったのです。 告白、と言っても、愛の申し出、秘密の暴露、取るに足らないこと、重大なこと、懺悔、様々あるけれど、そうではなくて、ただ告白をしてみたい、とそう思ったのです。 ようするに、嘔吐だ。誰もいらない、アタシの心の内容物を、あたりかまわず無分別にゲエゲエ吐き散らす。見て、綺麗でしょ、など言いながら、地面に散った吐瀉物をかき集め、そうして、三越あたりの包装紙で綺麗に梱包してから、…
長期滞在者
きのうころしたいちまんびきのライオン いちまんびきのライオン いちまんびきのライオン きのうころしたいちまんびきのライオン きょうはなんびきころそうか (『子どもに聞かせる世界の民話』より 「ヤギとライオン」) 雨が降ると一般的には商売あがったりだが、学校の図書館は一転大賑わいとなる。授業の終わりのチャイムがなるやいなや、外で遊ぶことのできない子供らが、わんさわんさと押し寄せて、芋洗い状態になる。…
当番ノート 第27期
出身地を聞かれると、愛媛県だと答える。福岡に住んでいた頃はそれだけで十分だったけれど、わたしは今、香川で暮らしているから、生まれ育ったのは同じ四国にある「愛媛」の「どこ」なのかというところまで、聞かれることが多くなった。 わたしの出身地は「愛南町」という町だ。その名の通り愛媛県の南部に位置しているが、2004年の合併で愛南町が生まれるまで、わたしが暮らしていたのは「内海村」という村で、自分の暮らす…