当番ノート 第29期
「ばいばーい。」「またね~。」 「また会いましょう。」「今日は楽しかったです。」 「じゃあなー。」「うーす。」 「では、また。」「ええ、また。」 私たちは毎日人と顔を合わせては別れていく。 毎日別れ際のひと時を過ごしている。 また会えると無意識に信じて、一緒に過ごした時間が楽しかったから、笑いながら別れていく。 人との別れ際の時、私はその人が見えなくなるまで見送る。 その人が振り返らなくても、すで…
長期滞在者
梅田にあるジブリショップの前を通ったら、『天空の城ラピュタ』公開30周年記念セールとか書いてある。 ジブリにはあまり興味がないのだが(最近まであの「バルス!」ていうのも知らなかったくらい 笑)、それでも30年と聞けばちょっとびっくりする。 そんなこというなら僕も見ていた『未来少年コナン』は38周年だし、別にジブリじゃなくたって、YMOだ結成38年とか、戸川純だってデビュー35年、といくらでも驚くこ…
当番ノート 第29期
お前は誰だ、と聞かれたとき、ヒーローは名乗り、口上を述べる。 なぜ、口上が付くのか。 ここに人間の希望があると知らしめるため、と本郷猛なら答えるだろうか。許せない巨悪に対して断罪の恐怖を与えるため、と答えるのは一乗寺烈だろう。特捜戦隊デカレンジャーのように、職業上そもそも身分を名乗る必要がある場合もあるだろう。 だが、そのどれでもないパフォーマンスがある。民衆に対してでも、敵に対してでもない、独語…
長期滞在者
17歳の頃、池袋のセゾン美術館で開かれた「表現としての写真150年の歴史」展でエドワード・ウェストンの「Pepper,1930」を見たときの衝撃は今でも強烈です。それから10年と経たない後に、カリフォルニア州カーメルのウェストン邸に自分が足を運ぶことになろうとは、当時は全く想像できないことでした。 ぼくのギャラリーディレクターとしての一番最初の仕事が、ウエストンの作品を100枚買うので、それを使っ…
当番ノート 第29期
こんばんは。先日の「スーパームーン」は残念ながら本州広い範囲でお天気悪く見られませんでしたね。 その前日とその翌日、どっちもきれいでした。 前日は大阪から帰り、ずっと追いかけてくる月を見て(車なので、ずっと見てるわけにも いかないのだけど(笑)) 翌日は浜松で、建物を出たら目の前に昇ってまもない大きなオレンジ色の月を見ましたよ。 今、今年の大みそかにオンエアされる予定のラジオ番組をつくってます。 …
当番ノート 第29期
////////////////////////////////////////////// 2010年6月25日からの手紙 ////////////////////////////////////////////// 笹舟を2つせっせと作る。 川面に放たれた小舟は岸からぐんぐん離れて 寄り添って、追いかけて、ぶつかってやがて見えなくなる。 心が口からあふれだしてしまうような感情も、 一度熱を失え…
Mais ou Menos
————————— 今日は、母の50回目の誕生日。こんな日に、母さんによく似たひとを街で見かけたよ。 歩き方や、体型や、髪型、とてもよく似た人だった。母さんに雰囲気が近い人って、日本ではあまりみないけれど、脳が母親に似てるって認識した瞬間、大波に攫われたような気持ちになった。 こうやって、た…
当番ノート 第29期
すきじゃないものにさわらないから すきなものにさわれるようにしてください。 よくばらないから ほしいものをください。 きらいなもののことかんがえるために こころをさかないから すきなものでこころをうめつくしてください。 ひていすることで てにいれられるあんしんにすがらないから ゆるしてください。 みとめなくていいから ゆるしてください。 ————…
当番ノート 第29期
その日は雨が降っていた。 荷物を運び出している車の中で、YUIの「東京」が流れた。 正しいことばかり、選べない、それくらい、分かってる。 答えを探すのは、もうやめた。間違いだらけでいい。 福岡から東京に上京してくる彼女の心境を歌ったこの曲を、いままでも好きだったけれど、なんだか今日ほど沁みてくる日もないなと思った。窓ガラスに小さな雨粒がついていくのを、ワイパーが繰り返し、ゆっくりと払っていった…
当番ノート 第29期
女でいることにコンプレックスを感じる時がある。 女でいる自分や女性を見て、女って苦手だなと思う場面に遭う。 もっと女を楽しめたら人生違うと思うが、自分は女を楽しめていない気がたまにする。 オカマちゃんたちが聞いたら、代わってよ!と言われそう。 なぜ女でいることにコンプレックスを感じるのか、女でいる自分に劣等感を抱くのか。 私の働いている職場は男性が多いのもあって、女性を優遇というか大切にしているよ…
当番ノート 第29期
人は身体という入れ物に入っている。 よく聞く表現だが、これは不正確だ。デカルト的心身問題。私の意見としては、人間は身体でしかありえない。生じる際に肉体をもって生じている以上、肉体を離れて存在する何らかのエネルギーがあったとして、それは「私」ではない。別の何かであろう。 人は身体によって人であり生命である。 では、これをどうしても実感できないとき、生きることは出来るのだろうか。 仮面ライダー龍騎(2…
当番ノート 第29期
星空書簡6―大きな月 こんばんは。秋を飛び越えて冬が一気にやってきたような今週です。 北海道の美瑛に住む友人は、まだ、収穫も終わってないのにすっかり雪が積もりの さすがの北海道人もパニックといっておりました。 私のいる山梨は、高い山々に囲まれているので、季節をまたぐとき、何かその 季節の間をいったりきたりできるような時期があります。美しい紅葉と雪の稜線を 一緒に抱きかかえる山々を眺められます。 東…