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当番ノート 第31期
へんな人。見方によっては近寄りがたいが、噛めば噛むほどに味わいぶかいスルメのように、話せば話すほどのめり込んでしまう人のこと。 そして、独特の価値観を持ちながら、暮らし、働いてるへんな人が、考えるへんな人。 そんな「考えるへんな人」を知ったり、会ったりすると、「こんな人もいるんだ」と、世の中の選択肢みたいなもんが広がるような気がしてて、そういう人の存在は貴重だなぁと。 ということで、2~3月の当番…
当番ノート 第31期
その頃わたしは冷暖房のない部屋に住んでいた。2月なんかに1日中家で仕事をしたりすると、どんなに分厚いフリースにくるまっても、ブランケットを何重に巻きつけても、日が翳りはじめる頃には、身体が芯まで冷えた。 銭湯を楽しむようになったのは、たぶんその部屋に住んでいたときからだと思う。東京は北千住の、下町の商店街からひとつ路地を入ったところにあるその家は、5畳の広さしかない1Kだったけれど、東向きの気持ち…
日本のヤバい女の子
【2月のヤバい女の子/執着とヤバい女の子】 ●橋立小女郎 ――――― 《橋立小女郎》 天橋立の近くに一匹の狐が住みついていた。頭が良く、意地が悪く、毎日のように通りかかった旅人や漁師を騙すので、皆手を焼いていた。 素行の悪さを隠すように可愛らしい娘に化けて現れる狐をいつしか人々は「橋立小女郎」と呼ぶようになった。 ある日、一人の漁師が浜で舟を出そうとしていると、松林から突然見たことのない娘が現れ、…
当番ノート 第31期
東京の下北沢でクラリスブックスという古書店を営んでいる。 店をオープンして3年が経った。月並みな言い方だが、ほんとに、月日が経つのが、早い。 私は現在42歳だが、店をオープンした時期に、私より一回り年上の人から、40代はほんとに早いよ、あっという間だよ、と言われたのを思い出す。 業種は全然違うが、その方も私と同じくらいの年齢の時にお店を立ち上げたようで、なるほどそういうものかな~、とぼんやりと心の…