画家と7人の肖像
地球と月ですら年に3cmずつ離れているのだから、きっとこの世には変わらない距離なんて無いのだろう。 Photo by Kazuki Hiro 今回の制作の「終着点」にはギリギリまで葛藤があった。 あれこれ考えるより始めてしまわなければわからないことの方が多い。ラフ画を元に完成の話をするのが苦手だ。ほぼ完成に近い状態、もしくは完成形を用意して初めて議論されたい。過程でああだこうだ言われ、時に「それっ…
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
2年間、小学校へ通わなかった頃のことを話すのは、これで最後にしようと思っている。 最後、というのはこの話が人を悲しませるからじゃない。これからお話しすることはきっと、思いがけず枠からはみ出てしまった人や好きなもの以上に「嫌いなもの」がはっきりしている人をすこしだけ安心させられると思う。誰かを励ますこともきっとできるし、役に立てるかもしれない。だけど何しろ過去のお話だから、旅先で出会ったひとからの打…
当番ノート 第36期
6月にカナダのトロントへ来て、今に至る。 まだそれほど寒くなる前、真冬用の防寒具を求めて友人と出かけたアウトレットモールで、盛大に体調を崩した。 東京にいた時も、並んでいる膨大な数の新品の服をずっと見ていて気分が悪くなることはしょっちゅうあったのに、完全に油断していたなと今になって思う。 出かけたアウトレットモールは巨大だった。 新潟の実家から時折車で出かけていたショッピングセンターの、5倍くらい…
当番ノート 第36期
旅をして作品を作るという生活を送っています。 今年の8月にオレゴンの森の中で皆既日食を観て来ました。(写真は友人ダイちゃんが撮影したもの) 他人の共感ではなく自分の信じるものは何たるかを確かめる場所だと思っていたので、電波も何も繋がらない一週間はとても貴重で、その時にもっと人生を遊ぼう、必要なものだけでもっともっとシンプルに生きていこうとより強く思いました。 帰国してすぐに借りていた部屋を解約し、…
長期滞在者
初音ミクではなく、本人バージョンの「砂の惑星」(by米津玄師)が ずっと頭の中でヘビロテ再生中の今日この頃、すっかり寒くなりました。 ヒートテックのパッチが手放せません。寝るときの毛糸のソックスも必需です。 米津玄師といえば、DAOKOとの「打上花火」も菅田将暉との「灰色と青」も なかなか良いです。好きです。 そういう意味では「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」が 気になっているところで…
当番ノート 第36期
皆さん、はじめまして、杣Booksこと細井と申します。 長野県の上田市で林業をしていて、たまに山の上で本屋さんをやっています。 今日から2ヶ月、水曜日にこちらで連載させて頂くことになりました。 どうぞ宜しくお願い致します。 (↑極めてわかりやすい林業の風景) …と3行書くやいなや、英語で言うとas soon as possible. とにかく、3行書くやいなや、空々しさに襲われている私。 自分で書…
当番ノート 第36期
「願い」 「世の中の役に立たずに生きていきたい」 高校生の頃、そう願っていました。 どうしてそう思うようになったのか、今となってはまるで分かりません。 けれどひたすらにそう思っていたことだけは、はっきりと覚えています。 神戸という海沿いの街で暮らしていました。 通っていた高校は小高い丘の上に建っていました。 教室の窓からは大阪湾が一望できました。 授業中、ぼくはずっと海を眺めていました。 晴れた日…
当番ノート 第36期
高校までに教わる教科の勉強なんて、 社会で生きていくには、ちっとも役に立つはずがない、と思っていた。 目に前のテストや受験に「使えたら」、それでいいと。 それは多分まちがっていなくて、 だけど、この歳になるまで(どの歳だ?)生きてくると なぜか、ふと、突然、 「ああ、あの定理って、こういう人生の文脈の中では、 つまり、こういうことを説明してくれていたわけね!」と、 まったくもって、正解からは程遠い…
日本のヤバい女の子
【12月のヤバい女の子/抵抗とヤバい女の子】 ●松浦佐用姫 ――――― 《松浦佐用姫》 佐賀県唐津市。今から1500年前、この土地に一人の男性が立ち寄った。彼は大伴狭手彦(おおとものさでひこ)という名で、新羅へ出征する道中だった。 松浦の地に身を寄せた狭手彦を、地元の長者の娘が世話をすることになった。松浦佐用姫という少女だ。あれこれと面倒を見るうち、二人は仲良くなり、恋が生まれるまで時間はかからな…
当番ノート 第36期
魂のどこかが繋がっているかのような、心が不思議に近しく感じる種類の友人が、ここ一年ほどで数人できた。 そのうち一人は、同い年の女の子だ。 私たちは同居人だった。 今年の春先に、東京のとあるシェアハウスに3ヶ月間だけ住んでいた。 元々実家に帰る予定だったのだけれど仕事の都合などもあって、どうしてももうしばらく東京に留まる必要があった。 留学を控えていて、ほとんどのものを実家へ送り、仕事の道具と少ない…