長期滞在者
買ったばかりの本を読みながらコーヒーを飲むようなお店は都内に限らずあちこちにあると思うけれど、今日は図書館で借りてきた本をその場で読みながらコーヒーを飲むという経験をしました。ここは、外部持ち出し不可で、全て開架式になっているライブラリーで、各所に配置された学習スペースで読むスタイルなのだが、併設のコーヒーショップには持ち込んでも良い、ということなので、早速いくつかの本を手に座りごごちの良いソファ…
当番ノート 第42期
私の家族はフィンランドの北部に住んでいるが、大工である父はクリスマスまで首都圏で働くことになった。初めて遊びに来た時、私の部屋に灯りが殆どないのを見て、今週はシーリングライトを二つ持って来た。 父がライトを天井に取り付けた後は、オーブンで焼いた冷凍ピザを食べながら私の新しい仕事について話す。オートキャドのライセンスが高いと思う父は、最早プログラマーとして働き出した私がCADソフトウェアを作ってくれ…
長期滞在者
わたしにとって、言葉はこの世界の真実であり、冷たい輝きを放つ美しいものである。言葉を口に出そうとするときには、それが自身の思いや世界の景色を正確に映しとったものであるかが気になり、頭のなかで何度も反芻した言葉を、けっきょく口に出すことなく、押し戻してしまうことがほとんどだったりもする。 人と1対1で話しているときには、頭のなかでじっくり言葉を転がして吟味する時間をとれるけれど、3人以上になると、わ…
Mais ou Menos
————————- Pちゃん ここ数日、寒い日が続いているね。今年の冬は暖冬と言われているけれど、気温が一ケタだとやっぱり寒い。 2018年最後のアパートメントです。今年は2人にとって、試練の多い一年でした。Pは転職の年。私は病気とたたかう一年だった。 この一年、Pの姿を見ていて思ったのは、自分自身の強…
メニハ ミエヌトモ
我が家に猫が家族として加わった。 実は1月に犬を飼う計画を家族で立てていた。 どの犬種がいいのか、ペットショップで飼うのかそれともブリーダーで飼うのか、どのタイミングで飼うのか、そんな本格的な計画を少しずつ立てていたのだが、その計画はあっさりと打ち破られ、我が家には猫が来た。 犬を飼う計画が進められる前、私の娘は猫を飼うか犬を飼うかでとても迷っていて、どちらにしろ子犬か子猫の段階から飼いたい、と言…
Do farmers in the dark
表題:僕は頭をパイプに固定して、手で持ってグリグリしているので、まともに歩けない。さらに他の人にもグリグリしてもらっているので、もう全然まともに動けないんだよ。手を離せばいいと仰る方もいるだろうが、なんでか手を離すのはとっても不安でやめられないよ こんばんは!すみません今回は何も考えつかず、漫画も描けずで自分の最近の事を書きました。ちなみに何か文を書いている時の自分は、すごく格好をつ…
当番ノート 第42期
二か月ぶりに日本に帰国すると、あたりは秋になっていた。 パリコレで踊って世界のスーパーモデル達のスーパースタイルに唖然としたり、オランジュリー美術館のモネの絵の前で踊るという長年の夢が叶ったり、スイスのアルプスの山で霧の世界をみたり、イタリアでハチャメチャにおいしいローストビーフを食べたり、とにかくド派手なツアーライフからの帰国。ツアーから帰国して自分の部屋に帰るのはこれが初めてだ。わちゃわちゃと…
当番ノート 第42期
・・・ こんばんは。当番ノート42期のヨシモトモモエです。 毎週火曜は私のお部屋で、のんびりしていきませんか。 27歳・実家暮らし。 会社勤めを楽しくしながら、家業を手伝い、踊りなどもしています。「踊れる・食卓」では日々のくだらなくてすこしくだることを、我が家と我が家の外を行き交いながら、ゆるっと書いていきます。 ・・・ 第二回:ソウルフル冷凍ごはん 「ねぇ、ヨシモトさ〜ん」 「なんでしょう!」 …
長期滞在者
家を作ったら、その次は生活を作らねばならない。 ひとつひとつのことが当たり前で、時に退屈に、時に尊く感じられる。 何十年も経った時にこの日々を振り返ったら、きっと温かな記憶として取り出されるだろう。 キラキラと輝くのではなく、ステンドグラスのように柔らかい光を呼び起こさせてくれるはずだ。 だから私はその輝きをひっそりと思い描きながら、生活している。 11月1日(木) 燻製のために網を100円ショッ…
当番ノート 第42期
12月6日は、フィンランドの独立記念日だ。今年は独立100周年だった去年ほど大げさな祝いはなかったが、毎年大統領公邸で舞踏会が開かれ、その舞踏会のテレビ放送が毎年一年のテレビ番組の中で最高の視聴率を収める。大統領夫婦が次々とやってくるお客と握手するシーンが永遠まで続く割ともつまらない番組であるが、フィンランド人の多くにとってお菓子やおつまみを食べながら招待された政治家やスポーツ選手、外交官やアーテ…
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
大学生の頃、旅に出ることだけが本当に魅力的で、ほとんど大学にいない大学生だった。ユースホステルを渡り歩く贅沢をしない旅行でも旅費はそれなりに掛かるのもので、私は3つのバイトを掛け持って旅費を貯めた。 ただ、稼ぐという点においては非効率な職場ばかり選んでいたように思う。食堂の給仕兼洗い場と寂れ切った居酒屋の接客、そしてポストカード専門店の販売スタッフ。このなかで1番好きだったバイトがポストカード屋さ…
当番ノート 第42期
てくてくと歩く私のよこを新宿行きの準特急電車が走り抜けた。 都心から電車で1時間弱、山と川に挟まれたこの静かな町にアパートを借りたのは今年の夏のことだ。それまで私は部屋をもたない旅人生活をしていた。ダンサーという職業の都合上、どこにいってもホテルが用意されていたから、部屋を借りる必要がなかったのだ。全財産を詰め込んだスーツケースを片手に、世界中の劇場と空港を巡る日々。ツアーがない時期は友人や恋人…