長期滞在者
歩いているときには、細い小道を見るとそちらのほうに曲がりたくなるし、分かれ道ではまだ通ったことのないほうを選びたくなる。そうしたささやかな願望を満たしてやるためには、時間や体力に余裕がなければならない。急いでいたり気にかかることがあったりすれば、最短距離で早めに目的地まで着きたくなるものだし、だいいちそんなときには交通機関を使うから、ゆったり歩くこともまずない。 そんなわけで、ゆったり歩く時間を強…
長期滞在者
かなり寒くなってきたので服装とか厄介なのだけれど、あいかわらず夜行自転車を続けている。 防寒しすぎると汗の逃げ場がないし、風を通しすぎると風邪をひく。難しい。 しかし冬は空気がしんと澄んでいるし、夜の光がよく見える。 暖かい時期には靄ってしまっていた仄暗い遠景が、目を凝らせばすーっと暗部が持ち上がって景色に結像していく。 明暗は逆だけれど、現像液に沈んだ印画紙からじんわり景色が立ち上がってくるよう…
長期滞在者
展覧会の余興のような位置付けではあるけれど、年に何度か演奏家の方が投げ銭ライブをやってくれることがあります。小さなスペースで15人とか30人のお客様を前にしての演奏は、お客様にとってみれば、大きなホールでの演奏よりも体全体でその魅力を受け止めることになり、喜びも大きいわけですが、それゆえに演奏家も一切手を抜くことができない、心地よい緊張感がここにはあります。ささやかな空間でありながら、演奏家の方々…
当番ノート 第42期
砂、流れる雲、動く太陽、小さな花、地平線。遠くを飛ぶ飛行機の音、鳥の羽の音、動物の鳴き声。 どうして砂漠にいくと、普段みえないものが見えたり、聞こえたりするんだろう。 先日、友人が日本からイスラエルまで遊びに来てくれた。お気に入りの場所に連れて行ってほしいと言われて思いついたのは、数年前に一度だけ訪れたことのある砂漠の中の小屋だった。電話もネットも繋がらない砂の世界…という砂漠への恐怖心を克服す…
Mais ou Menos
まちゃんへ 新年になりました。 ここ数日本当に寒くて、朝はなかなかベッドから出られなくなってしまっている。 でも、今日はいつもより、少し早く起きて、ゴミを出して、それからも二度寝せずに起きていられたこと、すごく嬉しかった。 毎年まちゃんも、自分も寒さが苦手で、だから冬は苦手で冬季うつ気味で苦労してる。この時期は、早く春にならないかとばかり思っている。しんどかったり、つらかったりするのは、冬のせいだ…
当番ノート 第42期
・・・ こんばんは。当番ノート42期のヨシモトモモエです。 毎週火曜は私のお部屋で、のんびりしていきませんか。 27歳・実家暮らし。 会社勤めを楽しくしながら、家業を手伝い、踊りなどもしています。「踊れる・食卓」では日々のくだらなくて、けどすこしくだるなぁ、と感じたことをゆるっと書いていきます。 ・・・ 第七回:名無しのポタージュ 街を歩いて、料理屋さんを見つける。どこの街へ行っても、料理屋さんを…
当番ノート 第42期
子供の頃、私はずっと本を読んでいた。宿題を終えたら、友達と遊ぶ時以外、基本的にずっと何かを読んでいた。誰かに話されても、本にあまりにも夢中になって何も聞かないこともあった。 読書は今でも大好きだが、今の私は集中力がかなり乏しい。いつの間にか将来のことばかりを考え、今ここで簡単にできることを楽しめなくなった。本当に馬鹿馬鹿しい。 今年は目標何も立てないと言ったにも関わらず、結局一つだけ立てた。今年は…
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
お正月はいつも居心地が悪い。何事にしても、いっせいに動いたり停滞する空気に弱いのだ。違う空気を吸いたくて、早朝に出かけた。絶望的なほど朝に弱い私は、朝日を見たいだなんてあまり考えたことがなかったけれど今年はそんな気分だった。それに、日の出の遅い冬の間は朝に弱い人でも比較的日の出をみるハードルが下がるシーズンなのではないか。夏はとうてい間に合わない。 都心から1時間弱、大好きな港町に向かってまだ暗い…
メニハ ミエヌトモ
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。 2000年になって早くも19年目に突入したのだなあと思うと、時の流れの速さを感じます。 2019年、どんな年にしようかな。そしてどんな年になるのかな。 さて、冬になると毎年楽しみな事がいくつかあって、その中に「味噌を作る」というものがあり、12月に入って新しい大豆が出回り始め、私の元にも新しい大豆がやってくるともう、そわそわ~そわそわ~としてしまう…
長期滞在者
この家は2011年の12月に生まれた。 震災があった年。 誰もがそう記憶している。 振り返ってみれば、この家は絶望しないために生まれてきたのじゃないかと思う。 便利な場所にあるから、誰かと住む方が経済的だから・・・ この家が必要とされてきた理由はたくさんある。 けれど実は、希望をつなぐ場所として生まれてきたのではないかな。 近頃、そんなふうに思う。 今、この家はどう変わっていけるだろうかと考えてい…
Do farmers in the dark
表題:落書き こんばんは! すみませんほとんどいつも謝ってばかりですが、今月も、今月は特に年越しと正月で、ものすごくだらだらしてしまい、以前の漫画の続きも書けず、前回よりさらに馬鹿みたいな中二の文章を載せています。 僕はタバコを吸っていい時は何事にも優先してタバコを吸い、お酒を飲んでいい時は何よりも優先してお酒を飲むような人間です。なおかつ僅かな体調不良も嫌なので、タバコもお酒もとて…
当番ノート 第42期
「Pleasure of dancing」 遠い異国の地でその言葉を聞いたのは、10年前、20歳の夏だった。大学の講義をぬけだして行ったさきの劇場で、イスラエルから来ていた舞踊団に恋に落ちた私は、ダンスをはじめてたったの2年、英語も喋れやしないのに、数か月後には、バットシェバ舞踊団の本拠地イスラエルで踊っていた。 先日、久しぶりにバットシェバ舞踊団のスタジオにいくと、100人程のダンサーがうご…