今年も、もうすぐおわり。
このコラムを書いている今、googleによると、そろそろサンタクロースは赤鼻のルドルフと仕事に出ている頃だそうだ。
世界じゅうの子どもたちが、鼻の頭と頬を真っ赤にしながら1人と1頭を待つ。
プレゼントはそれぞれ。
たとえそれが石ころひとつでも、その子のこころに火が灯れば、それは素敵なプレゼントになるのだろう。
嬉しいことや楽しいこと。
可笑しみや、ほほえみ。
かなしみやさびしさ。
郷愁や愛情。
虚無感。
人の体温のこと。
今年はさまざまな感情をいっぺんに味わった。
しかし、感じたことがすべてとは思わなくて、これからまた味わうために探すことや、待っていることも多いのだろうと思う。
プレゼントは部品でいい。
全部をもらうことほど、つまらないことはない。
そして今。
毎年この時期は、むだにテンションがのぼり調子になる。
その高いテンションのまま勢いで大晦日を迎え、まちがえてフライングし、そして元旦までもたないという「お先にやりきり型」タイプの私だが、今年は少しだけイレギュラーだ。
新しく、はいと渡される来年を、じっと待っている感じがする。
すごく静かな湖のほとりで、ボートを待っている。
またやってくる新しい年が、みんなみんなに、ずれた日常の、その延長線上に。
ほほえみとユーモアと、ぬくみのある1年になりますように。
「先の見えない迷える子羊に、何か縁起のいいひと言をくれないか」
「見えている希望は希望ではありません。しかし、見えないものに希望を抱くのであれば、わたしたちは忍耐してそれを待ち続けるのです。」
作家、藤谷 治さんの名作「アンダンテ・モッツァレラチーズ」より