昭和60年頃まではここから南に2キロ程度続く砂浜があった。
海水浴をしたり、潮干狩りができたり。
その砂浜で人の手の入ってない箇所は
2キロのうち200m程度しか残っていない。
防波堤の建設や海砂利の採掘でその姿は変わってしまった。
そんな昔話を娘にしても、
わかったようなわからないような顔で
「ここで泳げるからええねん」
あまり気にならない様子で海に向かって泳ぎ出した。
以前を知っていてもその郷愁に浸るだけの僕とは違い、
娘の言ったことはもの凄く現実的だ。
今の自分に何が出来る訳でもなく漠然とした思いだけを抱えている。
そして、妻も似たような思いを抱えている。
娘の目に2つの故郷はどんな風に映っているんだろう。