くい、と、顎を引いてやって
耳の下あたりに額を寄せて
鼻の冷たさを君へ
吸って這わせて
形を辿る
顎の骨を僅かに舐める
向かい合わせもなんだし、
すっと、
後ろから抱く
指で唇をなぞる
緩んだ口の端から指をいれて遊んでみる
向こうの鏡で顔をみてやる
不服な目と目が合う
堪らなくなって、
一気にそのまま組み敷いてしまう
許された中で
できる限り甘く乱暴にして
二度三度
何よりも護りたいものを
自分だけ
欲のままにする
何処かでいけないと思いながら
目の前のかわいい人
何処からも零れないように
全てを熱で塞いで追い詰める
+
知らないところへ
今日の空
千度呼んでも手に入らない君の名を
あの日の空
重ねても引いても異なる青の事
+
吸えない煙草を咥えて
昇る煙の向こうの夕陽
空は彩度を失う代わりに、ぱらぱらと星を撒いてゆく。
絶え間ない車の行き交う音の中から
ひとつ、角を曲がるために速度を落とす気配を、少し遠くに探す。
待ちきれないんじゃなくて、
こうして、待つことをする
陽の高いうちから、夕暮れの予定をこう決めてしまう。
次、もし、君を見つけたら。