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2F/当番ノート

四国

当番ノート 第5期


「四国」より 2007


「四国」より 2007

前回より数年遡りますが、2007年に四国へ八十八カ所のお遍路へ行きました。遍路へ行く理由は人それぞれいろいろあると思いますが僕はといえばどんな理由があったか、当時はいろいろ思うところもあり四国へ行ったと思いますが、今思えばなんてことはない理由だった様にも思います。遍路中特別大きな変化などはありませんでしたが、巡礼の道という場を借りてひたすら太陽の光を浴び続けていました。
遍路の道中では風呂も入らず野宿しながらただ歩くというやり方をしていたので、その日歩けるところまで歩いて日が落ちたところで寝る事にしていました。遍路道を歩いていると歩く速さが似た人とたまに一緒に歩く事があります。上の写真のAくんとは最初の頃、道の途中で出会い、少しの間だけ一緒に歩きました。その日、夕方頃まで一緒に歩いたので川のそばの公園のはじっこで野宿をする事になりました。夏の暑い盛りに歩いていたので二人とも疲れていたということもあり、銀マットに上で寝そべるとろくに喋らずそのまま寝る事にしました。朝日に照らされ目が覚めると、肌寒い中でAくんが川へ降りていくのが見えたのでその姿を後ろから追いかけると、Aくんは川のほとりでおもむろに服を脱ぎそのまま川に入りました。朝の行水か何かのようでしたが、遍路道を歩いて引き締まったその後ろ姿には何かしらはっとさせるものがあり、Aくんの背中からは彼の意思とはまた別のところにある四国に来なければならなかった必然性のようなものを感じた気がしました。その後二言三言話してすぐAくんと離れ一人で歩く遍路に戻り、山を抜け谷を抜けながら出会う様々な人との縁の不可思議さを思いつつ、約一ヶ月間四国中を歩き回り八十八番目のお寺で結願しました。

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