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2F/当番ノート

花。

当番ノート 第5期

『花』のような人だから。
それは美しいって意味じゃなくて。
水と光を与えてもらって初めて、育って、花を咲かせられる。
キホちゃんは、そういう人なんだよ。
人に支えられて生きているということを、忘れてはいけないよ。

夜勤明けの夫を連れ出して、10月に入ってすぐの月曜日、
静岡の街を散歩した。

目的はいくつかあった。
一番の目的は、鷹匠にある大野カメラ店へ行くことだった。

今回、このアパートメントのコラムを書くことが決まった時に、
また写真を撮ろう、って思った。

実のところ、8月から9月にかけて私は、
自分のカラダをうまくコントロールすることができなくなっていた。

そんな時は、いつもカメラを手にすることができない。
写真を撮ることができなくなってしまう。

今までのことを振り返ってみると、カラダが不調の時だけでなく、
精神的に落ち込んでている時も、そうだった。

静岡に住まいを移してすぐの頃なんてのも、自分では気づかないほど不安定で。
まわりから言われて初めて気づいたが、そういえばその頃の写真はほぼ無いに等しかった。

それでも娘たちと散歩する時間だけは多く、ぽつりぽつりと撮ることはあったのだけど。

写真を撮ること、人が撮った写真を見ること。
続けていてよかったと思える瞬間は、人と繋がれた時。
一方的に好みの写真を見つけて、ドキドキしたり、涙流したり、
なんてことも日常において、何度あったかわからない。
また、自分が撮った写真を見てもらえて、さらに言葉をいただけることだったり。
あるいは、被写体に声かけて撮らせてもらう時。
そんな瞬間が私には、たまらない。

そして今回も、救われた。救い出してもらった。
また、撮ろう、撮りたい、と思えた。

フィルム2本分が撮れた。
その2本を現像、プリント。
この作業を、いつもの量販店でなく、もう少しこだわりを持ってやっていただける場所。
それを探していた。見つけた場所が、大野カメラ店だった。

静岡の街を歩くのは久しぶりだった。しかも、夫と。
夫と静岡の街を歩くのは、友人を呼んで披露パーティーをした時以来ではないか。
挙式をするタイミングは結局のところ逃しっぱなしで、今に至ってしまったが、
あの時、あの披露パーティーはやっておいてよかった。たくさんの笑顔に再会できた。

大野カメラ店の店主大野さんは、とても丁寧な対応をしてくださって、
来てよかった、と思った。
夫も、久しぶりにおもしろい話が聞けた、と喜んでいた。
数時間後受け取りに行くと、プリントの仕上がりが想像以上にキレイで、
あぁやっぱりココに来てよかった、と再び思った。

写真は、この日写真の仕上がりを待つじかん。
静岡の街を、ぶらぶらと散歩したじかん。
その時に撮ったものだ。
帰り際に、カメラに入ったフィルムを巻き上げて、最後に依頼して帰った。
その中に入っていたもの。

こうしてまた、繋がっていくんだな。
同時に私は、こうしたものに支えられていることを、認識する。
忘れてはいけない。

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