写真と文章が同時にやってきた。
初めての写真展と初めての原稿書き。
これまで写真展をしたことないし、文章など書いたこともなかった。
両方とも何をどうすればいいのか分からなかったけど、
やってみろと自分の中の声が聞こえたのでやることにした。
自分では気づいていないものに触れることができそうだったから。
終わってみて、本当にその何かに触れられたのかどうか、その自信はない。
ただ、自分が以前とは少し違う場所からものを見ているということだけは感じている。
文章を書いている時も、写真を撮って選んでいる時も、
その最中は出来上がりの形はほとんど見えていなかった。
ちょっとずつ進んでは目の前に出来上がったものを土台にして、
その土台からさらに違う場所へ行くことだけを考えていた。
その時々で自分の中にある不確かなものを探りながら、
書きつつ、撮りつつ、そして戻ったりしながら、
一文字一文字、一枚一枚積み重ねていったのである。
結局、コラムとして、写真展としてできあがったものは、
何度もその輪郭に触れて残った手垢が、
さらに何層にも不細工に堆積したものだった。
この作業を何週間もしていて途中で気がついたことがある。
この二つの同時並行の作業は、例えてみると、
目をつぶって左手で文字を書き、
右手で写真を撮るような感じで、
しばらくたって目をあけてみると、
左手が文字の先で触っていたものと、
右手がシャッターの向こうで触っていたものは、
じつはまったく同じだったということ。
まるで別の作業のように見えて、
ほとんど同じ事をしていた。
自分の中でうっすら光るものの輪郭を、
自分の中のドロドロとした暗い部分を、
時には慎重に探り、時には偶然見つけては触り続けていた。
自分の中にある光と影のその輪郭を、違うやり方で触っていたのである。
とても新鮮で楽しい9週間でした。
声をかけてくださったアパートメント運営スタッフの方々、
拙い文章にお付き合い下さった読者のみなさん、
写真を見に来てくださったお客さん、
みなさんに感謝します。
どうもありがとうございました。
またいつかどこかでお会いしたいです。
ではでは、また。