世のなかにはいろいろな生き物がありますが、そのなかでも妙に気になる生き物があります。
カタツムリに寄生するロイコクロリディウム、虫に寄生する冬虫夏草、胞子で自分を殖やす変形菌やキノコの類い、
こんなものがなんとなく気になって、たまに絵の題材にしたりします。
この生き物たちのなかで特に気になる点は、自分と自分以外の境があいまいであることです。
自と他を区別するもの、それはきっと遺伝子でしょう。
では、同じ遺伝子を持ちながら違う意志で動いている一卵性双生児はどうなるのでしょうか。
春は、そんなことが気にかかる季節です。
春は、空気中を漂う有機的な気配のせいか、自分と自分以外の境があいまいで、ぼんやりしてしまいます。
そんなときに、胞子を蓄え、にょきにょきと子実体を伸ばす菌類の絵を描きました。