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2F/当番ノート

おんなになる5ー野性と寂しさー

当番ノート 第19期

DOS

数年前、まだ学生だったころ「嫉妬」「本能」「憂い」という3つそれぞれを作品テーマにしたことがあった。
この3つは単体ではなく本能に集約されるのだな、と今頃になって気がついたお話。
よく語られるテーマでもある、女の情緒不安に関して。

圧倒的な孤独に蝕まれる日がある。
おんなという生き物は本当に不思議な生き物で、突然そんな曇った日が訪れる。

理由なんて特にないのですが
「あ、私、いまなんだかとっても寂しい。孤独。」
と思ってしまう。
孤独がじわじわを身体中を蝕み居ても立ってもいられなくなる。
そこからは、些細な事がなんでもかんでも気になって、
例えばカフェの隣の席にいる女性達の会話や笑い声さえも心を揺さぶってくる。
からっぽの筒がからから揺れるような感覚。

そして無性に、ほんとうに無性に寂しくて、誰かといたいような、いたくないような、落ち着かない気持ちになる。
恋人にくっついて、構って欲しくて、でもそんな時に限って素直になれない天の邪鬼になってしまったりする。
とにかく抱き締めてほしかったり、放ってほしくなったり、抱いて欲しくなったり。

数日するとけろっと陰鬱な気分はどこかにいってしまうのだ。

私も少し前に突発的な陰鬱な気分になって天の邪鬼を発動してしまった。
私からすると「心から彼を信頼しているからこその発言」だったのだけれど
彼からすると「彼女が自分を信頼していないからこその発言」と捉えられてしまった。
つまり私は自分の中で留めておけばいい言葉で彼を不安にさせてしまったのだ。

彼はもちろん困惑しつつ、「まただ、時々あるよね」という。
私にとって愛故の思考回路でも、彼からすると信頼されていない故の思考だと感じてしまう。
説明してみても取り繕うようになってしまって意味がない。けれど黙っていれば益々不安にさせてしまう。
この話、女友達はすっごくわかるよ!と言ってくれる。
男性は思考回路をわかってくれなかったよ、と伝えると女達は驚愕していた。

女が情緒不安定期間は男と女の境目が最も深まる。
こういう時に限って幼稚な承認欲求が高まって暴走したりする。
寂しいと感じてしまうけれど、わかり合う必要はないのだ、女の勝手な思考は女の中で留めておけば良い。
わかってもらおうと必死に言葉を繕ったり、逆に黙り込んでも、男と女はすれ違う。
男と女は物体として見ている景色は同じでも頭の中や本能で見ている景色は異なるのだ。

こういう時、あなたを信頼し愛している。という事実だけが重要なのだと気がつく。
最終的に、女の私は、男の彼に「あなたを心から信頼している。」という最も大切な1つだけを伝えるしかない。
女の思考回路は一つは対象に向かって近い物を様々な角度で複数拾える。
男性の回路は、対象に向かってまっすぐ一点を見ている。
本能の部分から異なるのだな、と。今回のことで実感したのです。

そして私は、「あなたを愛している。」という気持ちを、男と女の境目を埋めるように身体でぶつけるしかなかった。
時に身体は言葉より饒舌だ。

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(photography by she

このときの事を振り返って、日数を確認してみると、排卵予定日の前日と重なった。
排卵期間は最も妊娠がしやすく、ホルモンの分泌により女性の身体はふっくらと柔らかくなると言われている。
子宮自体も柔らかくなって、受精しやすくなる(=子孫が残しやすい状態)という。

女性は妊娠しやすくなる排卵前~排卵期にこういった情緒不安定になりやすいのだそう。
または無性にむらむらしたり。

私の場合は、「無性に寂しくなる」という形で訪れた。
寂しさとは、他者を求める根源だと思う。
人間は寂しくさを持たない時、一人で平気だ。
留学をしていた時期の私は、目的達成の為に没頭していて、寂しさをほぼ失っていた。
とにかく知りたい事やりたい事が多く、一人であちらこちらへ出かけていた。
ごくたまーに、思い出した様に寂しくなって、友人を誘い出しカフェで何でもない話をして紛らわした。
こころにぽっかり穴が空いて、一人では塞ぎきれないのだ。
そう言う時にかぎって、恋人同士の仲睦まじい姿をみるとたまらなく羨ましかった。
単純に嫉妬していた。
私も愛されたい!と。

こうして振り返ってみると、人肌恋しいとはよくできた感情表現で
寂しくなると、人肌に触れたくなるのだ。
そして自分だけでなく他人から愛されたいのだ。
年齢と共に、その対象は親から友人そして恋愛対象と、変化していくのだと思う。
私を例にとってみると無性に寂しくて、誰かと触れ合いたくて、自然と恋人へ甘えたくなる。
恋人に心に出来た隙間を埋めてもらう。2人の間に隙間がなくなるほど抱き締めてもらう。

万が一その時に受胎したとしたら、種の保存本能の通りである。
本当に人間の心理と本能よくできているな、と思う。

寂しさとは、人間が子孫を残す本能なのだ。
とても野性的な感情だ。

女の身体に空いている穴の正体は寂しさが形になったものなのかも、
なんて詩人みたいな事を思う晩冬の夕方なのでした。

KO1

seina

seina

女のからだとこころの観察者

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