明けましておめでとうございます。
いかがお過ごしですか。
新しい年が来て、連載も残り1ヶ月になりました。
新年最初のコラムは、去年から数着続けて衣装を作らせてもらっている、ダンサーの今村よしこさんについて。
前回書いた、朝弘佳央理さんが参加されていた公演の舞台のひとつ、祖師谷のムリウイという会場でよしこさんと知り合った。
ほどなくして衣装製作のお話を頂き、打ち合わせがてらお会いすることになった。
作りたい衣装のことは勿論、他愛のない話をしたり、自分の経歴を改めてお伝えしたりもした。
このとき本当に二人で爆笑しながら衣装のデザインを決めたのだけど、本番の舞台は踊りも音楽も切なくて、魅入られてしまった。
生き物の無邪気さに触れて笑みがこぼれるような、ささやかな温かさに満ちた踊りだった。
よしこさんと知り合った場所、ムリウイにて。
ひとめあなたに
この日のエンディングでよしこさんが衣装の尻尾を持ってぐるぐる振り回していて、それを見たときも何だか嬉しくてはしゃいだのだった。
そして約一ヶ月後の別のソロ作品にも衣装を依頼してくださり、またぜんぜん雰囲気の違うものを作った。
よしこさんの踊りはいつも伸びやかで、少しシリアスな雰囲気の振り付けのときも根底に温かさを感じる。
考えてみたらよしこさんと会うときはいつもたくさん笑っている気がしていて、よしこさんの踊りを見ていて心がふっと微笑むような気持ちにさせられるのはきっと、そのことと無関係ではない。
よしこさんを含めて今まで知り合ったダンサーの人たちはほとんどみんな、衣装の調達にはいつも困っているんですと口を揃えて言う。
既製品とは違うものを自身で用意しようとすれば当然手間も時間もかかるし(そんな余裕があったら踊りのことを考えたいよな、と私でも思う)、ほしいデザインの製作を気軽に頼める衣装作家もなかなかいないのだそうだ。
踊る人がたった一人で舞台に立つとき、その身体のいちばん近くに寄り添うことができるのが衣装だと思う。
服からどんな影響を受けるのかを、パフォーマンスをする人と同じ感覚で理解することはできないけれど。
飾るためだけでなく気配や面影のように寄り添って、その人に力を貸すようなことができたら、と思う。
よしこさんとはまた新しい衣装製作の約束もしていて、早くもわくわくしている。
また踊りが見られるのを楽しみに、もう少ししたら仕事始めだ。