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2F/当番ノート

はしやすめのおはなし

第33期(2017年6月-7月)

今週は、ストーリーテリングから離れて、箸休めのようなおはなし。

私の目下の趣味はガーデニング。
2年前にあるきっかけから、九十九里浜近くに家を持った。そこには、庭がありちいさなちいさな畑もある。東京とは別の静かな暮らし。

IMG_9143 写真上:ポタジェの風景

北海道生まれの私は、東京生まれ育ちの夫の言う、「紅葉を見にいく」というのが不思議に思った。
紅葉は、秋になればそのあたりで起こる自然現象だったから。東京で暮らし始めて、すぐにそれが理解できたのだが。
今では、私は自然に恵まれて育ったことに大きな感謝をしている。

IMG_9144IMG_9146写真上:たわわのミニトマトとゴーヤ

そんな私が、ずっと憧れていた畑のある生活。

私の畑はポタジェ方式と言って、野菜とハーブやお花を混在させて育てている。
植物にはコンパニオンプランツと言って、お互いを守りあいながら虫や病気から守る、相性の良いものたちがわかっている。
例えば、トマトにはバジルやキャットミント。茄子には、ナスタチウムやチャイブ。
中には、自らを虫に食われ、他者を守ったりするものもあったり。

植物たちは、寄り添って、受け止めて、励ましあっている。

農薬を使うことに抵抗があって、有機農法。コンパニオンプランツもその一つの方法だ。
一番の心配はバラだった。バラは定期的な消毒が必要だと言われているし、無農薬は難しいと聞く。
バラに棘があるのは、弱い自分を隠すためなのか、、、。
でも、よく観察して虫や病気になる前に予防して、菌を増やして丈夫に育てるとたくさんの花を咲かせてくれる。
手をかけるとかけただけ応えてくれる気がして、花が咲くと心が躍る。
でも、1年目は消毒をして育てた。やっぱり怖かったから。
今年に入り、なんだかそれは違うだろうと思い直して、農薬を辞めたら、庭に虫たちが戻ってきた。
益虫のてんとう虫や蜘蛛、カマキリには頑張ってもらおうと励まし、イモムシ、ケムシ、バラゾウムシたちには引っ越しをしてもらっている。
カエルも時々遊びに来てくれる。モグラは迷惑なんだけど、戻ってきた。
鳥たちもたくさん来て、虫を食べている姿はかわいい。
多種多様なものたちがやってくる庭になった。

IMG_9040IMG_9038写真上:元気な今年のバラたち

そして、不思議と込み合って見える地上の植物たちの根は、地下では譲り合い喧嘩はしない。譲り合いながらそれぞれを尊重しているのかと思うと、なんだか嬉しくなるんだなあ。

今日も明日も庭にいます。

来週は、見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。

Hanayo Ito

Hanayo Ito

ストーリーテラー
こどもとおとなの ハーナのおはなし屋さんを主催
  木工アーティスト

Reviewed by
ふき

なんて素敵な庭だろう!ハーナさんの植物に囲まれた暮らし。のびのびと育っている草花が美しい庭の写真をみて、ハーナさんはチト少年と同じ「みどりのゆび」を持っているに違いないと思った。
チトは、『みどりのゆび』(モーリス・ドリュオン作 岩波少年文庫)の主人公。チトの指には不思議な力があり、その指先で触れたところからは一夜にして植物が育つのだ。
ハーナさんのみどりのゆびが生み出す美しい庭では、植物どうしが助け合い、小さな生き物たちも共存している。ハーナさんは彼らの声に耳を澄ましながら庭を歩き、四季折々の物語を教えてもらっているのだろう。キラキラ国ではちょことうさぎこが、おはなしの種を育てていたように。

チトは、その〈みどりのゆび〉を使って、病院や刑務所を花いっぱいにし、世の中を少しづつ変えていくのだけど、ハーナさんもまた、庭からおはなしを摘み、世の中を今よりもほんの少し楽しく生きていくためのエッセンスを私達にそっと教えてくれるのだ。

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