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2F/当番ノート

ヴァーチャル・スナックモモコー新宿系おじさんー

当番ノート 第45期

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いらっしゃいませ。
ここはアパートメントの中にある小さなお店「ヴァーチャルスナック・モモコ」へようこそ。
ありきたりのどこにでもあるようなお店。
ふらりとたどり着けたあなたはラッキーね。
期間限定でオープン中よ。
私は店長のミス・モモコです。
ゆっくり腰掛けてハイボールでも飲んでいってくださいね。

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さてさて、今日はこないだ来たお客さんについてお話でもしましょうか。
まず、スタンダードの量産型新宿おじさんね。

愛され系新宿おじさんは、基本的に一人行動していることが多いわ。
生息域は基本的にJR圏内に多数生息しているわ。メトロは苦手みたいね。彼らの仕事はバラバラだったりするけれども、お店を開けた瞬間に来てすでに酔っ払っていることもあるわね。
それかものすごく遅い時間に「あら、どうしたの?」って時間にはしご酒で寄ってくれたりする可能性も。
自由な職業、マスコミ関係や出版関係など時間が自由になる仕事をしてる場合もあるし、カタい仕事をリタイアメントして悠々自適に暮らしている場合もあるみたいね。

ハゲでもハゲじゃなくても、ハンチングやバンダナなどのヘッドアイテムを着用している可能性も多いわよ。
襟付きの服が好きで、夏場はアロハシャツになることもあるわ。
そして、なぜかメガネ率が高いのよね。

好きなものは昭和の香りよ。話に困ったら「ここら辺の街の歴史」なんかを聞いてみなさい。
きっと嬉々として話してくれるわよ。
でも最近、時代の波に飲まれて、SNSを始めたみたい。
いままでは「ガラケーで十分だ!電話は電話だけれの機能があればいいんだよ!」
と言っていた数年前のセリフを、芋焼酎を飲みすぎてコロッと忘れたのか
最近じゃマメにフェイスブックを更新しているわね。
内容は・・・どれどれ
「立ち飲み屋」「焼き鳥屋」「家飲み」「公園を散歩」
たまに入る自然が愛おしいわね。
慣れてないおじさんの真顔の自撮りも素敵よ。ちょっと顔が欠けてるけど。・・・

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たまに「日記のようなメール」がくる以外は基本的に無害ね。
ちょっと話してあげたら?返信も早いわよ。
老眼が進んでるのか、メガネをずらしてメールを打っているけど・・・ずいぶん文字が大きわね。みんなに見えちゃうくらいの文字設定でもお構いなしとは強めね。
気に入ってもらえたら、地方のお土産のお菓子をくれることもあるわよ。
あとはなぜかキーホルダーとか。
お菓子は困ったことに「箱」でくれるのよね。
「ままどおる」や「通りもん」や「赤福」という定番のお菓子率が高め。
一人でそんなに食べたら太っちゃうから、スタッフとお客さんでいただいちゃいます!

新宿のバー界隈に生息する新宿系女子が、舞台、写真などの芸術活動をやっている子が多いから、気に入ったら応援してくれるかも。
根は優しいのよね。
クレイジーな芸術活動と自意識の間で揺れ動く新宿系女子と、それを支えたがるやさしい新宿系おじさん、この共同体の図式で成り立っているのよ。
「酔ってしまえばブスも美人も皆同じ」
だからお酒の飲みすぎは注意よ。
こないだバイトの巨乳ちゃんが店のカウンターで土下座しながら「きらめき」を口から発射して、オーナーのママが「お金払ってるバイトの「きらめき」を掃除するなんて、怒るどころか悲しくなってきた・・・」ってこぼしてたわ。
「お金もらってる客ならまだしも!バイトなのに!」
って。
あら、ちなみにあなたのその座っていた席よ?
大丈夫。綺麗に拭いておいたから!

さて、そろそろゾンビが出る閉店の時間ね。
はい❤️お会計お願いします

モモ コダテ

モモ コダテ

1988年生まれ/新宿区在住
グラフィックデザイナー、ライター。
ゴールデン街のバーテン、様々な面白い人に出会う中でヒトの面白さに、独特の角度から切り込み、観察中。
2019年5月の文学フリマにジンを初出店。

Reviewed by
ヨシモトモモエ

‪アパートメントの一室を借りて、どうやら期間限定のスナックができたみたい。怖いもの見たさに入ってみたら、クセになっちゃいそう。ママの観察眼は末恐ろしい!だけれどママって、きっと人が好きなのね。

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