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当番ノート 第58期
夏休み前に、信じられないくらいドラマチックな日があった。 早朝からのアルバイトがあった日。人生で二度と経験する事の無い(というかしたくない)ほどの靴擦れを起こし、家の鍵とSuicaを一度に失くした。 鍵の紛失には家を出る段階で気づき、Suicaの紛失には改札を通る段階で気づいたため、乗車時には既に重箱状で絶望していた。しかも足もめちゃくちゃ痛いのである!絶望!絶望! 駅から出てバイト先に向かう道中…
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当番ノート 第58期
一度完成させた作品を修正する事は、作品を完成させる事より難しい。 少なくとも私にとってはそう。 私は見直しがとても苦手だ。勢いでばーっと作品をつくる癖があるから、それを見直して削って書き変えて……という行為が非常に非常に不得意。 一度カタチにした言葉の並びを消すのが、もったいなく思えてしまうのが原因の一つだろう。要するにケチなのだ。 これは私の弱点である。 その文字列を思いつくまでにかけた思考時間…
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当番ノート 第58期
遠いものの連結、という言葉がある。 以前大学の講義内で得た知識なのだが、近しいものどうしを繋ぎ合わせるのではなく、離れたイメージを持つものどうしの単語が組み合わさった時に、その言葉と言葉の距離のぶんだけ、想像力をかきたてる余地がうまれる、という考え方のことを、「遠いものの連結」と呼ぶらしい(厳密には間違っているのかもしれないが、今の私はそういう説明しかできない)のだ。 例えるならば、 あかい リン…
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当番ノート 第58期
文字ばかり書いている。 文字ばかり書いているのに書かなければいけない文字が一向に減らない夏休みが、もうじき終わる。 私はよく、書きたいものを思いつくための散歩へ行くのだが、近ごろはアスファルトの上に蝉の死骸がごろごろ落ちているので季節の変わり目を感じざるを得ない。 この散歩はいわば現実逃避だ。自分に思考力・想像力が無いという現実から足を動かし逃避するという意味で。 今週あたりで当番ノートの期間も折…
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当番ノート
昨年、大学で、ハートにまつわる文化を学ぶ講義をとった。 その講義をうけたことで、私の中に深く残った知識がある。 「涙は心臓に由来するモノだから、感情を感じているのは心臓。だから、思考を”している”のは血液である」 と信じられていた時代があったらしい、ということ。 確か日本の外のいつかの人々の話なのだけれど、細かい部分はノートに書かれていなかったので確認できなかった。とにかく『思考する血液』というメ…
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当番ノート 第58期
最近は制作している作品のひとつを他人と作業を分担しながら進めていたものの、熱量の違いによって頓挫しており困っている。 真面目に頑張っているはずでもうまくいかないことはたくさんあるが、大体そういうときは他人任せにしてうまくいかないので自分がもっと頑張るべきだったなと反省している。大体何事も自分が悪い。 自分の内面や、抱えているものを開示することはとても難しい。 最近友人と「面白い作品を作る人は自分の…
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当番ノート 第58期
人は死ぬと体が残る、だから何も遺さずにはこの世から居なくなることはできない、というカンジの話を、以前テレビで誰かから聞いた。『孤独死』についての作品をつくる作家の方の言葉だった気がする。 そんな言葉が心に残っているので、今週は“人間と物語”についての文章を書く。 (先週は時間とは物語なのだという事を3000文字くらいは語ったので、今週は少し短めでいきたい。) 人は死ぬと何かを残さずにはいられないの…
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当番ノート
町というのは、大体は陸の上にある。 もしかしたら今後、科学技術が発達したら、空に住んだり海の中に住んだりが主流になるかもしれないが、今のところは大体の町が陸、つまり土の上に存在している。 土地には物語が存在しており、だから土地こそが物語なのだという意見を前回の記事で述べたつもりなので、今週はその土地の上を撫ぜて過ぎる【時の物語性】についての感想を述べたいと思う。 近頃私は就職活動に力を入れている。…
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当番ノート 第58期
私のアパートメントに訪れてくれたあなたへ、はじめまして! 私の名前は荒々ツゲルです。 そして、私がこの名前のときに発表する作品は、いまのところすべてが日本語で書かれた『物語』です。 アパートメントという場所でこの名前をつかって言葉を紡いでいくにあたって、私は私自身の物語について書いていきたいと思います。 いじわるな担任が嫌で、学校を休んでは家で脚本を書いたりしていたから、優等生でした!とは胸を張っ…