当番ノート 第21期
昔読んだ漫画で、主人公が空中に投げ出されて落ちていくシーンがあった。 主人公はもちろん絶叫する。 するとすぐ脇にいた別のキャラクターが「絶叫とは、余裕だな」って言う。 すぐにその意味に気がついて、冷静になった主人公は自分の体勢を立て直す。 一度くらいしか読んでいないと思うけど、何度も何度も頭に浮かぶシーンだ。 もしかしたら、詳細は全然違うかもしれないけど、 いつもそれを大事に思い出してる。 将来に…
当番ノート 第21期
カラン、カラン、 いらっしゃいませー わーーーーーー! ・・・どれにしようかなあ・・・ フレッシュなイチジクに瑞々しい白桃、黄色と橙色が交互に並んだオレンジとグレープフルーツ こっちは胡桃とアーモンドのキャラメリゼ・・・ あっ!こっちにはたっぷりのカスタードクリームとソテーしたバナナが! あっこっちには お客様、お客様 は、はい! ケーキは逃げ出したりしませんので、どうぞごゆっくりお選びくださいね…
当番ノート 第21期
倉庫とパッケージ、7。 音楽、の話。 忘れないように努めていることは、 やがては忘れてしまう事であり、 思い出さないようにしていることは、 何かの拍子に必ず思い出してしまう事である。 この二つの事柄は、 或いは別々の倉庫に同じ名前で保管されているか、同じ倉庫に別々のパッケージで保管されている。 つまり、 記憶というものは僕たちの意思や考えだけでは完全には管理できないもので、その類似性が記憶の引き出…
当番ノート 第21期
今週はルーマニアあれこれ。主に出会った人々の話。 まずはタクシーの運ちゃん編。 ・総論 6割が陽気に延々と話し続け、3割が真面目に黙って運転し、1割が超絶陽気に女の子を斡旋しようとしてくる。 ・タクシーの運ちゃん① 乗ったらいきなり「お前日本人か?」と言われ、そうだと言うと「これ直せる?」と携帯を見せられる。エンジニアじゃねえって。 ・タクシーの運ちゃん② 物凄い高速で運転しつつも、敬虔な…
当番ノート 第21期
▼浦賀 なくしちゃったのね。 魔女は言った。 それで、南へ、来たのね。 声が出ないので、うなずいて答える。 ところで人魚はげんき? 不意をつかれた。少しためらったが、うなずいた。 げんきなら、だいじょうぶね。 魔女は微笑んだ。嫌な感じはしなかった。しばらく黙って、バスに揺られた。 あ、ここだわ。 魔女が唐突に声をあげた。 向こう岸に、行ってるからね。 言うと赤い帽子の魔女は私のほおにちょっと触れ、…
当番ノート 第21期
「私たちが日常生活の諸事にかまけている間は、その目覚めている記憶の視界は狭いものである。昨日や先月あるいは去年起きた出来事はこまごまと想起されようが、わたしたちの生涯のなかでははるか遠い出来事となると、もはや殆どわたしたちから逃げ去っているものだ。むろんそれらが起ったということは覚えてもいようし、どんな位置で、どんな連関の下にあったかも知ってはいよう。しかしそれらは見えないのである。 」(※1) …
当番ノート 第21期
いかんいかん ざくざくっと書きますね。 でも今日はなにを書こうかなー。 そうだ。 人と会うことについて。 それとその発展性についてかきます。 「世の中に 人の来るこそ うるさけれ とはいふものの お前ではなし」 大田蜀山人 「世の中に 人の来るこそ うれしけれ とはいふものの お前ではなし」 内田百閒 すごくキュートな短歌だけど、これを書き出しにします。 人と会うことの粋というか、キモがここにある…
当番ノート 第21期
じゅわわわぁぁぁ・・・ かたん さくっ、さく、 サラサラサラ さ、揚げたてですよー! ん・・・? あっ違います、鶏の唐揚げじゃないですよ! 本日のお夜菓子 ★ ドーナツ まあるいわっかの中を覗きこんだ外の世界は、なんだかとってもキラキラして見える気がしませんか? つい食べる前、こっそり穴を覗きこんで視界を見渡してしまいます。 同じ空間でも全く違う景色が見れてとっても楽しいの。 是非、こっそりのぞい…
当番ノート 第21期
倉庫とパッケージ、6。 旬、の話。 忘れないように努めていることは、 やがては忘れてしまう事であり、 思い出さないようにしていることは、 何かの拍子に必ず思い出してしまう事である。 この二つの事柄は、 或いは別々の倉庫に同じ名前で保管されているか、同じ倉庫に別々のパッケージで保管されている。 つまり、 記憶というものは僕たちの意思や考えだけでは完全には管理できないもので、その類似性が記憶の引き出し…
当番ノート 第21期
少し中休みとして周りの国々の話でも。 去年の夏はバルカン半島巡りをした。ベオグラードに始まり、サラエヴォ、ドゥブロヴニクと回った。当初は車で出発し、ベオグラード、サラエヴォ、ドゥブロヴニク、コトル、ティラナ、スコピエ、ソフィアと回って帰ってくる強行軍を計画していたのだが、免許の書き換えがうまくいかず結局空路とバスの旅になった。はっきり言って正解だった。 因みにルーマニア人はどこへでも車で旅行…
当番ノート 第21期
▼馬堀海岸 ひとりになってからというもの、ねむれない。夢を見て、疲れ果てて起きてもまだ二十分しか経っていないこともざらで、昼間も夜もそれは変わらない。目がさめて深夜二時過ぎに家の中をうろつくと、今度は人魚が起きてしまう。どうしようもないので、朝の暗いうちから浴槽に水をはり、人魚を泳がせる。疲れると人魚はそのうちねむる。私も、人魚のたらいの横でつかのま船を漕ぐ。しばらくして目をあけては、たらいの青く…
当番ノート 第21期
中島晴矢の展示「ペネローペの境界」を観た。 http://tavgallery.com/nakajima/ 展示について、気になったことを書いてみる。 展示の始めに「walk this way」という静かな映像作品があった。それは緻密な構築性を持っている。冷たい薄雲の空の下、荒廃した大地の中で生い茂る緑の植物と、整然と積み重なる巨大な黒のフレコンバック。そこを、静かに歩く赤い衣服を纏った白い肌の女…