当番ノート 第12期
色。いろ。 それはどうやら 組み合わせ ということです。 白い画用紙 に 赤い色鉛筆 クリーム色の紙 に こげ茶色のインク オレンジのような赤 と ほとんど黄色の黄緑 という具合です。 色は色ひとつではなりたたなくて、 必ず隣の色が とても重要なのです。
当番ノート 第12期
人間の心や行動のほとんどが無意識で占められているという 抑圧された潜在意識とは 表層意識下の深層意識とは 何処まで深い深いものなのか
当番ノート 第12期
すっかり陽の落ちた室内にて、ランプを灯しては街を沈め、 窓ガラスに映り込む部屋を隠すように、ねこたくんはカーテンを閉めました。 その拍子に、カーテンの外側に付けられていた鳥を模したオーナメントは まるで鳴いているかのように身体を揺らします。 バン バン と、お腹の深くに響く音をあげ、ゆっくりと扉が開きます。 「こんにちは…いえ、もうこんばんはですね。 どうぞ、こちらへ来てお名前を」 最後の訪問者…
当番ノート 第12期
八年前、俺はギャンブル、それも他人に言えないくらいリスクのでかいギャンブルが原因で、 1200万の借金を背負っていた。 まずどうしてもタバコが吸いたくなるのだが、それを買う金も無く、 というかまず飯を食うための金が無い。 しかしタバコが吸いたい。 不思議なことに、貧乏になればなるほど、 飯の心配よりタバコの心配のほうが大きくなるのだ。 これがクズ人間という奴だ。 仕方が無い。 俺は人間社会から、ク…
当番ノート 第12期
人々はそれぞれの想いで同じ社会の中にいる。 駅のホームにいる人は何を目的にどこへ行くのか。 同じ交差点を渡っている人は渡ったあとどうするのか。 道ばたで待っている人は何を待っているのか。 カフェにいる人は休憩をしているのか、おしゃべりを楽しんでいるのか、仕事を片付けているのか。 なんてことを日々想いながら、自分も社会にいて他人とは違う人生を歩んでいる。 同じ社会にいるのに、関わる人はほんの一握りで…
当番ノート 第12期
ことばがあるから、誤解されるのでしょうか。 それとも、ことばがあるから、理解できるのでしょうか。 ことばがなかったときのことを考えてみるのですけれど、 赤ん坊のころ、ことばがじぶんの中にはなかったのです、きっと。 それで、まわりにたくさん浮かんでいたり落ちていたりしたことばを拾ってみて、 それで、意味はわからなくたって、言ってみたんです。 何度も何度も言ってみたんです。 わからないのに、わからなく…
当番ノート 第12期
感情に流される日 真ん中から始まります。 もう消えたい 消えたいから悲しい 消えたいから怒れる だめだってわかってるのに 全然コントロールできなくておちこむ 気を取り直して 絵でも描こう 気持ちをひきずって そのまま描こう いろ いろ? 赤だね 赤 って気分だよ はげしいんだよ いろんな赤があるね すごいね いやー本当にすごいね いつの間にかもう大丈夫です どうもありがとう
当番ノート 第12期
鏡よ鏡よ鏡さん・・・ 美容院が苦手であります。 できることなら避けたいくらいの場所なのだけど、時にヘアースタイルも変えたくなるし 伸びてきたらカットもしたい。 髪型ひとつで印象はガラリと変わるもの、私もまだまだおしゃれを楽しみたい。 だって、女ですもの。 だというのに、どうにもこうにもいかなくなった時の最終手段的な存在とは いかがなものなのか。 それこそ女としてどうなのさ。 若かりし頃、そんなこと…
当番ノート 第12期
トン と小さく高い音が、ただ一度だけ飛び込んでくるのが聞こえました。 過去の恋人たちとの再会を繰り返すことで、 彼が必ずいつかは現れることは分かり切っていたのですが それでも顔を見た瞬間に「ひっ」と一瞬息を止めてしまうことをみみこちゃんは避けられませんでした。 「コウくん…久しぶり」 彼の薄平べったい身体と共に、扉の隙間からは宵闇が忍び込んでくるのが見えました。 もうすぐ夜が来ます。一日が終わるの…
当番ノート 第12期
タバコがやめられるかもしれない話 みんな、明けましておめでとう。 正月は用があって東京に行った。 かつて俺も東京に住んでいたことがある。 住み始めてすぐ、夢破れて光の速さで静岡に逃げ帰ったのだが、それから東京に殆ど縁が無い。 電車を乗り継いで某区に辿り着く。 某区のとあるバス停でバスを待っている間、俺は標識の路線図をぼんやり眺めていた。 あ、そうだ。 話が急にそれて申し訳ないが、そんときムカついた…