当番ノート 第11期
寄せては返す波のように 音は何度も繰り返す 水際に反射する光のような人々と共に ———————————– 美大に入ったのは学歴やら学びたいことの為ではなく、 環境やそこにいる人々と関わる為だった。 まだその頃は漠然とモノをつくることをしたいとしか思っていな…
当番ノート 第11期
とらえどころのないものや、どうしてもはっきりと言葉にできないものに、すごく惹かれます。たとえば「世間様」。たしかにあるんだけれど、だれもその実態をつかめないという不確かさ。音楽をやっていた時も、他者とのあいだに自分が作る表現があるのだと思っていたし、今も宿をしていて来てくださるお客さんとのあいだにこそ、「芸」があるのだと思っています。 間の大切さ、間の不確かさ。 ホトリニテで繰り広げられる、さまざ…
当番ノート 第11期
2012年 4月27日 当たって砕ける きのう、夜になっても胸のぼこぼこがおさまらなくて、時間外だったけれど病院へ行った。 行くまえに、どうしても彼に返事をしておきたかったけれど、 長文は打てそうになかったので、伝えたいことだけ書いて送った。 今朝、いつもと変わらぬ返事が来た。見事なスルーぶり。 短くさっぱり書いたつもりだったけれど、それでもびっくりさせてしまったみたいです。 当たって砕けるよりも…
当番ノート 第11期
面接官が入ってくるとざわついた空気がピンと張りつめた 500を超える受験者たちの目が一斉に面接官の姿を追う 面接官は受験者たちの前に立つと深々と一礼し 開口一番に言い放った 「男性はお帰りください」 会場がどよめいた 「前もって言っておけ」 「書類審査で分かることだろ」 そんなつぶやきがあちこちから聞こえた 無理もない 応募資格には「粘り強く仕事のできる方」としか明記されていなかったのだから だが…
当番ノート 第11期
コーヒーに睡眠薬とかして飲んだみたいなさ やったことないけど、そんな感じなんだよ カーテンの中みたいな 君といるとずっとそんな感じがするんだよ 君はなんだか知らないけど、 いっつもポッケに小銭入れててさ、 それみっともない感じがするからやめなよ と、私が言っても 子どもっぽいよ と言っても聞き入れてはくれない そうだ、私の言うことを聞いてくれたこ…
当番ノート 第11期
ある午前の雨が降りそうで降らない。 暗鬱な赤裸。眼球の裏側。 これはコマ落ちではない。運動場。数羽の鴉。無から有へ個体が成長する精神分裂のパロディ。小さなウィンドウはバランスを守り続けようとウエイトを積む。そして、どんな微細な動きも吸収する。 思えそうで思いつかない矢印。環状線が揺らぐ。ミクロコスモス。空に眼が浮かんで、偶発的に複数のイメージを濡らした。真剣にぐれている昔人達はページを飛ばされ、積…
当番ノート 第11期
必要なものがないことがどれだけ不便(ふびん)か、それを感じられる人は、何もないことによる不便(ふべん)がどれだけ幸せなことかにも気付くことが出来る。 数多ある布団の中で、おそらく心地の一番良い自分の布団の中で目覚めたとき、最初に聞く音はなんだろう? 日本の場合、夏であれば、おおよそクマゼミの大合唱で1日が始まるだろうし、冬ならばセットしたタイマーの指示通りに起動する石油ファンヒーターのスタート音、…
当番ノート 第11期
昔から周囲とのズレを感じて生きてきた。 違和感といってもいいかもしれない。 小学校で教えられた「赤信号を渡ってはいけない」「公共の場所では大きな声でおしゃべりをしてはいけない」というルールをやぶることが出来ない。 誰しも自分の中だけに適応されるルールがあると思うのだけれど僕の場合は嘘をつかない、というのが非常に大きい。 自分にとって都合が悪いことでも訊かれたら答えてしまうか押し黙るしかない。 もっ…
当番ノート 第11期
僕は仕事に対して、ひとつの考えがあります。 それは、宿の「経営」をしているのではなく「芸」として捉えているということです。もちろん宿の責任者でもあり経営者ですが、経営という言葉が、あまりしっくりこないし大事なんだろうけど経営力より、芸力。宿業ではなく、宿芸としてホトリニテを磨き上げてゆきたいのです。 訪れた人が気持ち良くすごして頂ける事が大前提の上にある、芸。 前回に書いた「宿にこそ、冗談を」を目…
当番ノート 第11期
わたしは感動しいで、それでよく疲れています。 共感はできなくても、いつも何かを持ち帰る。 世の中には、美し過ぎることが多くて困ってしまいます。 心地よさを通り越して、せつないくらい。 ああ、これはひどく感動するのだろうな、という予感があると、 見ずに逃げたくなってしまいます。 あまりに強い衝撃は、どぼんと胸に飛び込んで、 隕石が湖を一瞬で干上がらせてしまうみたいに、 わたしからたましいを溢れさせて…
当番ノート 第11期
暦の上では間もなく16月を迎えようとしている 「その土地では1年の節目に雨が立ち昇り 大地と空とを繫ぐ」 彼は遠い昔に刻まれた記憶を思い出しながら 砂漠を歩いていた 砂漠では砂混じりの強い風が時折吹き その度にうずくまってじっとやり過ごしたが 吹き付ける砂が彼の体を徐々に傷めていった 彼は乾いていた 頭の中にある地図では その土地まで歩いてあと3日というところだった 砂地に緑や潅木が混じるようにな…
当番ノート 第11期
はずれた ちっこいゴミ箱の少しむこうに、丸めたティッシュが転がる 自分が好きで出したやつだけど そりゃエッチな気分はおさまったけど、 なんかしらけた きたねえからそのままにしよう ほおっておこう 今日、タワレコにいった 日本のロックバンドのコーナーで 試聴してる髪の長い女の子がいた 可愛かった。 黒髪でさ、 遠くからわりとずっと見てた…