当番ノート 第11期
2013年 3月10日 日曜日 「Human」の語源は「色の人」 今朝から曇っていて、刺繍糸の色と、 土台になる生地の色との組み合わせがうまくいかなかった。 午後晴れて、 カーテン越しのやわらかい光で現われた色がきれいで、 学生時代に習った色彩のはなしを思い出した。 赤になる要素が光に反応して赤になる。 そんなふうに青、黄色、みどり、むらさき、そして万物の色へと続いていく。 その色になるべくして与…
当番ノート 第11期
自動ドアを抜けると 男はようやく生きた心地がした スーツにネクタイで歩くこと それだけで男にとっては大仕事だった かばんはすでにぬめり気を帯び始めていた 額の汗をぬぐって一息つき それからいつものように窓口へ向かった 男の姿をみとめた女が受付でほほえんでいる 「いらっしゃいませ」 かばんから振込用紙を取り出すと男は受付に差し出した 「振込ですね 少々お待ちください」 女は用紙を受け取るとそのまま処…
当番ノート 第11期
頬んとこが ぴって冷たかった ほてってるから、なおさら いつもの線の終電に まにあわなくて 中央線に乗り込んだ 電車には線路っていうわずらわしいものがあるからさ、 あたりまえだけど私を最寄り駅まで運んでくれなかった。夜 少し遠いけど 歩いて帰ろう 雨だとわかってから これは降りだすかもしれないと思ったときから、 ずっと雨は、降ってはこ…
当番ノート 第11期
反復の地区にて。 それらは繰り返される。 銀輪の兜。無限の滑台。永遠に剥がされ続ける仮面。動揺の訓練。辺鄙なエクスプレス。崩れ落ちるカケラ。つぶれかかった色彩。拡張のレヴェル。浮く臭気。微かに醜い長音。老人の座標。刻み込む見覚え。陳列される<ひも>。 美しい蜜柑は、必ずしも美しい場所から生まれるのではなかった。 明るい匣に四角い球体。暗い屋根に蔓の雨が降る。歩数の∞で。 そして、ビニールの針が恐怖…
当番ノート 第11期
今日はJohn Lennonの誕生日。 The Beatlesが解散して43年経ち、彼が亡くなってから33年経った今でもビートルズやジョンの楽曲が愛されているのは事実でしょう。その魅力について評論家的な見解でモノを言うことはできませんが、今日は彼の書いた曲について綴ってみようと思います。 彼の曲の最大の特徴は自分自身について多く歌っていることでしょう。実生活や実体験をそのまま生々しい歌詞と共に曲に…
当番ノート 第11期
20時を過ぎた頃、道の駅で寝ようとしていた。 新月の夜は暗く自転車で走るのはもう危険だった。 建物の影に寝袋を広げて寝ようとしたところで少し離れたところで花火をする若者の集団の中のひとりと目が合った、気がした。 急いで寝袋を仕舞いその場を離れる。 どうも道を間違えたらしくバイパスへ続く道しかない。 しばらくあたりを走り左手に抜け道を見つける。 砂利道の向こうに自販機がふたつ煌煌と光っているだけで他…
当番ノート 第11期
はじめまして、高村直喜と申します。 僕は、山梨県山中湖村というところで「ホトリニテ」という名の宿をしています。まだまだ経験も考えもないのに人様にお見せするような文章を書いてしまうなど、生意気だと思いましたが、これもよい勉強になると思いましたので、いままで感じ考えてきた事、体験してきた事を綴ってゆこうと思います。 まず、題にもある私事ですが簡単に現在までの自己紹介をさせて頂きます。 1979年生まれ…
当番ノート 第11期
ひらめいたなら それはあなたの仕事だよ わたしのじゃない あなたは それをさずかった わたしは 別のをさずかった ときどき 気むずかしい あなたにささげる セザンヌの林檎 はじめまして、リカと申します。 海に憧れつつ、六甲山の麓の町で暮らしています。 これからはじまる2番目に好きな季節、ここでお会いできることが嬉しいです。 お礼は2ヶ月後の、今よりもオープンハートしたわたしになってお伝えしたいです…
当番ノート 第11期
連綿と続く茫漠の海と 傍らに横たう白い砂地 点々と続く足跡の先 少女の姿があった 少女は指の隙間からこぼれ落ちる砂を見つめ そしてまた砂をすくっては同じことを繰り返していた 砂はかつて「言葉」と呼ばれていたという その一粒一粒には「意味」があったのだという 人はそれを使って想いを伝えていたが 誰にも届けられなかった言葉は 色も温度も損なわれ そして数えきれないくらい長い年月を経て降り積もったその言…
当番ノート 第11期
まだ暑いのか きのうの夜は寒いくらいだったから、 少し着こんできちゃったよ 長くなった髪がうっとうしい 切りたかったけどさ、 切りたかったタイミングで夏が終わってしまいそうだったから 空気が涼しくなって 私の頭も涼しくなっちゃったら さすがに風邪をひいてしまうかなと思ったんだ 顔を空にむけて髪を重力に垂らしてみる 喉がのびて気持ちがよくて …
当番ノート 第11期
様々なシーケンスについて考える。不等号。解釈。最中。無作為。間違いなくまるで恒常を保ち、徐に枯渇しても、思考の先端に限って。回転や大小の気付きの誕生から採掘する闇。多量の刹那の勢いを失ったとき、ただ虚に黒い線 (延々と堅苦しい) が豊富にある。隙間はあるが通れない。一様に広がる。感覚の矛盾が不安定で現象。時折、詰まる小さな破片は瞬く間に食うし。一定で波だけが主要。超高速にも見えるがとてもゆったりに…
当番ノート 第11期
宇宙は文字通り、星の数ほどある銀河で溢れています。 唐突ですが、 “宇宙人は居るのだろうか” こんなことを考えた経験はありませんか?今までの人生で宇宙人について思いをめぐらせたことがない人は、まず居ないだろうと思います。そういう人はおそらく本人が他でもない地球外生命体だからでしょう(笑)。 僕も宇宙人のことを考えるのは好きですが、実際のところ宇宙には僕ら以外にも果たして生命体が存在しているのでしょ…