当番ノート 第4期
昔、平民新聞を有料に出来ないだろうか、と妄想した事がある。 それは自分の日記は「金を出すに値する物である」と高らかに宣言する意味では全くなく、単に今も昔も生活が苦しいので、日記を読んでいる人からカンパしてもらえないだろうか、と思ったからだ。何年か前に書いたんだけど、ストリートミュージシャンや大道芸人が自分の前にひっくり返した帽子を置く事に近い。それをブログで出来ないだろうか、と。 僕の理想は平民新…
当番ノート 第4期
いま私の頭の上には車が走っていて、 たくさんの人が歩いている 顔をあげれば 上の人達の足の臭いがしてくるようだよ。 丸ノ内線、銀座駅を降りて。 この空調の効いた地下道はどこまでも続いているような気もするし、 あっさり ぷっつりと終わりがくる気もする。 私は髪の毛をポニーテールにして、 格好悪いスーツを着て歩く。 仕事が決まらないことより何より、 こんな幸の薄い格好で歩き回っ…
当番ノート 第4期
書くことは怖い 言葉はそのもの一つにいちいち意味があってそれが人の意識を規定してしまうから。 どう書いても受け取め方は読み手の自由だと頭では わかっているつもりでも、それでも私には怖い でもこうして書いて、残す場所を与えていただいて わたしはまた書くことになった たとえば あの人が わたしのこのエントリーを読んで にこにこしながら私の言葉を好きだといってくれたとしても 次にわたしとまた会った…
当番ノート 第4期
朝、あの人は目を覚ます。 いつものように一日が始まる。 あの人は一緒にいるその人と一緒に旅した思い出の旅行の記憶が全くない。 確かに行ったあの場所。 たくさんの写真の中で、あの人はその人と笑顔でいる。 まばゆいほどの太陽と共に。 他にもある。失った記憶。 あの人の歴史の一部をぽっかりと。 まちがいなくあの時間はあの人と共にあった。 不思議なものでそれは地震によってできた地割れのように あの人にとっ…
当番ノート 第4期
「ドキュん!ゴキュん!!胸の奥〜♫」 「おいおい、兄ちゃん。船の臨時便がなかなか来ないからってDAPANPをそんなにバナナを握り潰しながら 熱唱されたら、船を待ってる他のお客さんに迷惑だよ。それに何より、ドキュん!ゴキュん!じゃなくて、 ドキュん!ドキュん!じゃろうに。」 「ドキュん!をゴキュん!に歌い変えているのにはれっきとした理由があるんです。 ゴ(5)キュ(9)ん。私は59歳までに、島で恋と…
当番ノート 第4期
八月の夏の勢いを過ぎれば予感がある どんな人の中にも冬への覚悟がある 北のもう少し北の内陸に海を知らない盆地 二本の川に挟まれその合流を抱く街 そういう土地は 寒さを逃がそうとしない 雪の影は青く 昇華した氷晶が煌めき 忽然太陽柱が現れては消え 除雪車に削り取られた雪の道は 朝の一瞬鈍く虹色に反射を起こす オーホーツク沿岸が樺太から流氷を招き入れる二月の頃 これでもかと凍れ上がる 北緯…
当番ノート 第4期
最近ぼくの頭の中には、「出来るまでやる」ということばが常に浮かんでいます。 2011年に企画した杵島隆写真展「日本の四季」に展示したプリントは、1990年頃制作した和紙仕立てと呼ばれる大変珍しいプリントでした。経師の職人さんがカラー印画紙の乳剤の部分だけを慎重に剥がし、厚手の和紙に丁寧に仕立て直したものです。日本の職人さんの技術は、例えば新聞紙を包丁で二枚にすることが出来る程だそうで、水墨画などは…
当番ノート 第4期
七月末。野馬追という、祭りというか神事を追いかけて、三日間、福島県南相馬市の原町区や小高区にいた。 東京に帰るとインターネットがつながらなくなっていた。 このまま更新されないアパートメントというのも気持ちが良い気がする。 野馬追行脚の三日間で出会った人たち、見た風景について、帰ってきた今も色々と考えることが多い。 南相馬の銭湯で、湯上がりのおばはんに「じゃ、来年も祭りで会いましょう」と笑って挨拶し…
当番ノート 第4期
「じゃあ一言だけ」と遠慮がちに言ったババアが、 さっきから永遠と全校生徒の前で、なんだかわけのわからない話をしている。 蝉のミーンミーンの方が、まだ言いたいことまとまっている気がするよ。 夏の朝、校庭。 私は何時間か前まで一緒に居たあの人のことばかり考えていて、 まばたきするのも忘れてしまうくらいに忙しい。 朝方、あの人を残して 一人こっそり家に帰って着替えをして 高校生の姿になっ…
当番ノート 第4期
ある公園へ撮影をしに行った日の出来事。 その公園には噴水があって、その周りでは鴨の親子や鳩達が 日光浴や水浴びをしていた 噴水のそばに1羽、けがをしているのか人間が近くにいても飛び立つ事のできない鳩がいた 近くには鳥達に餌をあげないでという趣旨の看板が立てられていたけれど 私はポッケの中に入れていたクッキーをその子にあげたい気持になってしまった しかし、私が一定以上の距離に近寄ってはよたよたの…
当番ノート 第4期
夏休みが終わり飛行機で乗り継ぎの為のミュンヘン空港についた所。 相変わらず東京ーミュンヘン間、長い11時間半ほどにおよぶ機内は もう慣れてはきたものの、着いてみると一体自分は何をしてこんなにも狭いスペースで 時間が過ぎていったのかと思う。 そして毎回のように感じる事があって それは飛行機は本当に飛んでいるのか?ということ。 実感がない。 それはどこか、例えば映画の為のセットだったり アミューズメン…
当番ノート 第3期
ほぼ体温と同じ気温が肌にまとわりつくようになってきました。 要は暑いですね。 っていいたいんです。 夏なので暑苦しく言ってみました。 暑い時に「暑い」と言うのは禁物。 ということで、 みんなで涼しいものをたくさんイメージしてみる。 かき氷、風鈴、うちわ、滝、すだれ プール、木陰、アイスクリーム、プール… それぞれで涼しいものを想像して 涼しくなろう作戦もむなしく、 3分後くらいにはもう 「暑い」っ…