当番ノート 第44期
ときどき誤解されるが、わたしは自分が書く内容についてよく知っているから書くわけではない。まったくの逆で、わからないから、どうしようもなく書きはじめるのだ。 わたしは思考を拡散させがちで、ただ思いをめぐらせているだけだと内容があちこちへ氾濫し、かえってぼんやりしてきてしまう。書くことでそれに順序をつけ、足し引きし、輪郭をはっきりさせることができる。わたしにとって書くプロセスは、考えることそのものなの…
当番ノート 第44期
――恋と友情の境目は、どこにあると思いますか? 唐突ですね。それは、異性間の話? ――異性間でも、同性間でも。ある日まで友情だと思っていた感情が、いつの間にか恋に変わっていることはよくある話です。 友情と恋って、そんなにはっきり白と黒のように分かれるものかしら。「好き」という想いに、人のほうが友情や恋と勝手に名前をつけるだけだと思うの。 ――たとえば、異性愛者の男性同士は、どんなに仲が良くても、手…
当番ノート 第44期
早いもので、連載も第3回です。 今回は、よく行くラーメン屋さんで考えたことについて。 ラーメンについてではなく、自由について。 突然仰々しいテーマですが、軽い気持ちでお読みいただけたら幸いです。 水曜の昼下がり。いつものように暖簾をくぐり、食券を買って、着席。 すると、聞き覚えのあるイントロが。このお店のBGMはいつもラジオです。 曲は土岐麻子の「STRIPE」。 1年半前にWebマガジンの記事で…
当番ノート 第44期
東京のなかでは水道橋が好きだ。 まずおいしいごはん屋さんが多い。これは具体的にどこがおすすめとか行きつけとかいう話ではなくて、多い、ということそのものがいい。なんなら、さして色々なお店に行ったことがあるわけでも、グルメに詳しいわけでもなく、多いらしいな~と聞いている程度だが、それでも十分にいい。わたしはよく歩くので神保町お茶の水あたりまでごっちゃにしている気もする。 おいしいごはん屋さんがひとつの…
当番ノート 第44期
――お金持ちになることに憧れますか? そうですね。都心のタワマンの最上階に住んでみたいです。 ――今の仕事には満足していますか? まあ、はい。有名な大手ですし、給料も待遇も良い。そりゃ社会に出れば色々あるので、100点満点ってわけにはいかないですが、デカい失敗してもフォローしてもらってきましたし、そうやって自分も下の尻拭いしてみんなでやってきたんで、しんどいとかそういうのはあまり。でもときどき、考…
当番ノート 第44期
僕の地元は愛知の長久手というまちです。 生まれてから大学までの19年間をここで過ごしました。 郊外のベッドタウンですが、結構強い愛着があります。 愛着を育んだ場所の一つが、道場です。 小学校入学直前から高校3年生まで通った、空手の道場。 多いときには、大人から子どもまでだいたい100人くらいが通っていました。 幼なじみが通っていたことがきっかけで始めたものの、小学校高学年くらいまでは、いつもやめた…
当番ノート 第44期
今年はなぜか桜の時期の中目黒に三回も行った。たまたま用事が立て続いたのだ。ふだんはなるべく人混みを避けて暮らしているので、これは不覚だった。 中目黒には行きつけのワークショップの教室があるのでしばしば足を運ぶ。生活と商業のけはいが、またにぎやかさと静けさとがシームレスに交じり合う町で、歩きごこちがいい。 ところが、桜が咲くだけで、町はまったく別の顔をみせる。 目黒川に人が殺到するせいで、改札を出た…
当番ノート 第44期
――今、大切なものはありますか? 大切なもの? ――はい。 うーん。まあ家族と友だちと彼氏は大事だよね。そのくらい。ほかはいまは思いつかない。 ――あなたにとって大切とは、どういうことですか? なくなったらぜったいに嫌だし、なくなったら超困ること、かな。 ――じゃあ、「大切」と「好き」は何が違いますか? 難しいなー。でも、好きなものは好きだけど、大切なものとか人っていつも好きとは限らないかもね。喧…
当番ノート 第44期
浅草に最近よく行く銭湯があります。 「よいな〜」と思うポイントは色々あるのですが、 こないだもう一つ見つけました。 柵がとてもよかったです。 * この銭湯には半露天風呂があります。 5、6人は入れる大きめの熱いお風呂と、 その半分くらいの大きさの水風呂、 それにたくさんの鯉が所狭しと泳ぐ池。 図のような位置関係です。 黄色の部分が柵です。 半露天風呂内の通路と、 池を含む庭園のような空間とを隔てる…
当番ノート 第44期
「『アパートメント』で書いてみませんか」と声をかけてもらって、いくつか記事を読んだり、なにを書こうか考えたりするあいだじゅう、どういうわけか雑貨屋のことばかり思い浮かべていた。 すれちがうこともむずかしいくらい狭い店内に、ちいさな雑貨がひしめく。知らない絵が飾ってあって知らないお香のにおいがする。そういう店ばかりが何階にも重なってつづく、ひとつの建物。 サイトのどこにもそんなことは書いていないのに…
当番ノート 第43期
趣味というほどでもないけれど、週末は料理をすることが多い。 おいしいものを追求して研究する、というモチベーションはあまりないのだけど、仕込みが必要なもの、漬け込むとか干すとか、ある程度時間差が必要な複数の工程を組み合わせる料理がとくに好きだ。いくつかのおかずを同時並行で作って最後に同時に完成させる、というのも、なんだかパズルゲームみたいで集中できる。それよりなにより、包丁やボウルの金…
当番ノート 第43期
そにっくなーす a.k.a.ひのはらみめいです。 さる3/28、 お誕生日でした。 お誕生日の月ってだめなんですよ。 なんか落ち込んでしまうんです。 多くを期待してしまうからだろうなと思うから、多くを期待しないようにしてるのだけれど、(いろんな人からおめでとうって言ってもらえるとか、プレゼントをもらえるとか) 潜在意識は何かを求めてしまう。 もう大人だから、サンタさん役だってやれなきゃいけない年だ…