ゆうやけビルジングに映る私のまわりには
柔らかい泡ぶくが生まれては溶けていく
足元から大地の熱気を包んで皮膚をなぞり
指のまたを這い上がって
頬をつたいのぼって 頭をかき回してしがみつく
らせんはきらい
そう囁いて鼓膜をびるびる震わさして
ひとしきり三半規管を縦横無尽に跳ね回って暴れると
小さいうめき声をあげて舞い上がる
そうすると瞬く間に泡ぶくは飛行魚に喰われて溶けてしまうのだ
それは誰かが誰かを忘れてしまった刹那
朱い美を潰して歩け
瞳の底まで染め上げるように
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あかるく
ずうずうしく
ちょっと
せつなく