東京の23区外の場所から横浜に引っ越したのが、コロナが拡がる直前の時期。
少しハイソな気配がして、なかなか横浜に落ち着いた場所を感じ取れなかったが、徐々に好きな場所が増えてきた。
コロナの影響もあり、外出となれば公園ばかり目指していたが、公園は公園として在るだけでそれはどれも素晴らしく、今回は公園以外で好きな場所を書きたい。順不同で。
【大倉山】
大倉山もつ肉店:これほどまでにシンプルで、味わい深さのある店は見たことがない。「もつ焼き200g!」と注文して、もつ焼きを持ち帰り、家路に着くおばちゃんも立ち寄る。お酒を飲みに来た人も、生活の一部として活用している人も、いい塩梅でブレンドされたお店。平日の日暮れ前にまた行ってみたい。
ロイヤルホスト:高校の頃に地元で家族と行って以来、ロイヤルホストには10年以上訪れていなかった。値段が高いイメージがあり、足が遠ざかっていたが、いざ勇気を持って先日入ってみたらとても居心地がよかった。他所のファミレスよりも少し高めではあるが、余りある居心地の良さ。その後、モーニングでも再び利用した。ロイヤルホスト大倉山店の窓から見える昭和なビルディングにとても風情を感じ、その景色が居心地をさらによくする。
【反町】
東海苑:古くからあるであろう焼肉屋。何気なく焼いていたら、おばちゃんが”ちゃうねん、ちゃうねん”と秘伝の焼き方をレクチャーしてくれる。鉄板の端っこを使ったロースの焼き方を習った。近くの古着屋の店主に特上を頼むと量が多過ぎると聞く。店の中の雰囲気も含めて全部愛おしい。
【菊名】
港北図書館:月に2度は必ず訪れる図書館。駅から少し離れており、さらに交通量が多い道沿いにあり、図書館が無ければわざわざ歩こうとは思わない道を進んでいく。いつもウェブで予約して、そのまま本を受け取っている形なので、なかなか館内でしっかり時間を作る機会は無い。けれども大変お世話になっている。コロナで図書館も閉鎖されていた時代が遠い昔のよう。
【白楽】
GOKURAKUレコード:新品と中古の割合が絶妙であり、それぞれのジャンルの偏った作品が置かれてある、全国のレコード屋さんの中で一番好きなレコード屋さん。ハードコアパンクとニューウェーブが多め。
Tweed Books:店主がいつもおしゃれ。町田康の眼光鋭い、大きな規格の写真が飾られてある。一度店主が馴染みのお客さんと話している声が聞こえて、その写真はアラーキーが撮影した写真だと言っていた気がする。置いてある本も斜め上を行っており素晴らしく、音楽が一切かかっていないのも、ほどよい緊張感が醸成され、とても入りたくなる。
Border’s:とある姫路出身のブルースシンガーがときどきライブを行っている場所。ある日ライブに行こうとしながらも、緊張するなと思い、とりあえず徳の湯に入って、缶ビールを飲んでから考えようと思ったら、夜風にまかせてついつい気持ちよくなってしまい、この状態で魂が溢れ出た演奏を聴くのは失礼だと勝手に思い、そのまま家へ帰った。家に帰った後、何しに外出したんだろうという寂しい気持ちになった。
【東白楽】
徳の湯:広い銭湯。ビルに囲まれてはいるが、露天風呂もある。ここのサウナは熱すぎて、5分も入ってられない。奇数の日、偶数の日で男女の風呂が入れ替わるはずだが、私がこれまで行った5回はすべて1階が男子風呂であった。特に曜日を固定していたわけでなく、たまたま奇数日か偶数日が続いたのだろう。
【妙蓮寺】
石堂書店:ホームページにも”本のオアシス”と書かれてあるが、お店の中に入ると、日常生活とは切り離された本の世界に引き込まれる。
本屋・生活綴方:石堂書店の向かいにある、ZINEや小さな出版社の本などが販売されているお店。よく展示も実施されている。ここで読みたいなと思った本を港北図書館で何冊か借りて読んだ。次回はしっかり偶然の出会いに身を任せて本を買って貢献したい。
【根岸】
柴原珈琲店:たしかその日は、気になる格闘技の試合が日中にあり、けれども有料放送に入っていないため、結果をTwitterで確認しながら根岸駅を散歩していた。釣りをしている人がいる川(堀割川というらしい)の手前に珈琲屋があり、中に入ってコーヒーとチーズケーキのセットを注文する。コーヒーを注がれる前に、壁に吊るされている中からカップを選ぶ方式。カウンターに1人しかいなかったからか、店主とおしゃべりが続いた。2人とも関西出身だったこともあり、話は店主の奈良の遺跡巡りの話が中心となった。フォークソングの話が出来るかなと思ったらマスターはクラシック好きで、著名なピアニストもふらっと珈琲を飲みに来るとのこと。またコーヒーを飲みに行きたい。なお、店主に教えてもらった神戸新開地のうどん屋さんはもう閉店していた。
【本牧】:なかなか用が無いと行かない場所。普段のランニングコースを変えたいなと思い、休日の朝に馬車道駅まで電車で行き、そこからランニングをスタートした。元町・中華街から急な坂を上り、急な坂を下っていくと、小型のショッピングモールとマンションが並んだエリアに辿り着く。ここがもう本牧エリアだ。そこを更に奥に走っていくと、道沿いに小さな個人店が並ぶエリアに辿り着く。観光ではなかなか訪れることのない本牧という地に惹かれた。
奇珍楼:その本牧の中でもひと際存在感を放っているお店。入ったことはないけど、何でも美味しそう(な店構え)。友人と大事な話するときや、壮行会をするときやお祝いをするときや1人で飲みたいときなど、色んなシチュエーションで奇珍楼に行ってみたい。
まだ横浜市民となって3年弱であるが、最も心を惹きつけて止まないのが、綱島と大倉山に挟まれた大曽根というエリア。
そこには、時代がすっぽり何十年も前にタイムスリップしたような光景が生活が広がっている。ように思える。
【大曽根】
ほんの小さなエリアの中に、少し小さめの、他では聞いたことの無い名前のスーパーがある。そして八百屋がある。肉屋がある。魚屋がある。総菜屋がある。電気屋がある。服屋がある。レコードと雑貨の店がある。呑み屋がある。焼き鳥屋がある。そして、銭湯がある。
銭湯なのに温泉が使われている。先週久しぶりに訪れた際には、「そこの…何やったかな、湯けむりとかいう温泉施設より安いし、温泉の質がこっちの方がいいよな、兄ちゃん」と声を掛けられる。関西弁では無かったとは思うが、標準語でどう話しかけられたか記憶が無い。
タオルを忘れたら、番台のおっちゃんが指を指して示してくれる。指の先にはお客さんが忘れていったタオルがある。あまり気にするタイプでもないので、そのタオルで身体を拭く。なので、手ぶらで向かうことができる。
住む人が代替わりしていっても、駅前だけでなく、駅から離れた場所に突如現れるこうした桃源郷が残り続けて欲しい。