家の近くの銭湯に行くと工事中でしばらく休む旨の貼り紙が出ており、その数週間後には閉鎖することをSNS上で知った。
水漏れが直らず大規模な水道工事が必要になり、閉館することになったと。
その銭湯はいつ行っても多くの人が入っていたし、この地域には珍しく入れ墨もOKな銭湯だからかサウナに入ると墨の入った人がよくいた。
また2階には卓球クラブがあり、その卓球クラブの練習が終わった後の時間には卓球で汗を流した人たちが湯船に浸かっていた。
銭湯価格なのに黒湯があり、水風呂も20度を超えていて何分でも入ってられるような心地よさがあり、とても好きな銭湯であった。
地域に愛されて多くの人で賑わい繁盛しているように見えても、補修費用を賄うのは何年も何年も先になってしまうがゆえの苦渋の決断だったのかもしれない。

実家の神戸にも、最寄り駅の一駅先に温泉が沸いてる銭湯があった。
朝から晩までやっていることもあり、出張なんかで実家に泊まるときはよく立ち寄っていた。
長野県で入った温泉ほどではないが、普段家で入る温度よりは高めなので、長湯は出来ない。
六甲山の麓にあるそのエリアの温泉の源泉は30度ほどで、ぬるめの源泉と熱々に加温された温泉を行き来するのが気持ちいい。
浴場には備え付きのシャンプーとボディソープがあるが、地元の人らの多くが自前のシャンプーボディソープを持参している。
それぞれ洗い方の所作が異なるのが面白い。
風呂桶とタオルの使い方、スキンヘッドの人は頭にクリームを塗り剃刀で剃る、アカスリが要らないくらいの強さで身体を摩擦するetc
「風呂に入ればみな平等」という言葉をよく耳にするが、平等がゆえに個性が目立っておもしろい空間だ。

先日とある温泉銭湯に行ったところ、全身に入れ墨の入った人がいた。場所柄そうした光景は珍しくなく、地域の1つの文化になっている。
その日は背中に入れ墨の入った初老のおじいさんを持ち上げて、同じく入れ墨の入ったおじさん達が湯船に浸からせていた。
1人のおじいちゃんに対して4人のおじさんがつきっきりで様子を見守る。
この地に構える組の親分なのだろうか。湯船に浸かっていた地元の人たちも分かったように親分のスペースを明け、中にはさっと湯船から立ち去る人もいた。
着替え場と受付の境い目に吊るされている「男湯」と書かれた暖簾を、1人のおっちゃんが持ち上げ続け、親分の頭に掛からないように準備していた。
そこに運悪く私が割り込む形になり、「先にこの兄ちゃん通してまおう」と言われ、先に出て入り口の下駄箱に行く。
下駄箱の並んだ玄関口で、「あれ、◯さん先に上がっとったんか」とおっちゃんのうちの1人の声が聞こえる。親分の奥さんも一緒に湯に浸かりに来ており、先に出口で待っていたようだった。
「晩ごはん何がええかなぁ」と奥さんとおっちゃんらが話す。
その日親分たちは何を食べたのだろう。
何でも揃う水道筋商店街で肴や惣菜でも買って帰ったのだろうか。
