長期滞在者
珍しく丸腰だった日。 意図してのことではなく、EOSとベッサ、どっちにしようか朝ずいぶん悩んで、よし、今日はEOS、とベッサを机に置き、そのまま馬鹿なことにEOSも玄関に置いてきてしまったという(嗚呼)。 カメラを忘れて家を出たら、その日は一日パンツを履き忘れているような嫌な感じがする、と誰かが言ってた。 そのとおりである。落ち着かないことこの上ない。 しかもこの、丸腰の時に限って、目につくもの目…
長期滞在者
先日、台北のフォトフェアーに参加していました。 海外の写真事情も、現地での人脈も特にあるわけでもなく、しかし東京での売り上げだけではどうにもならない閉塞感もあり、販路拡大のきっかけが得られればと考えて、初めて参加しました。 初めて降り立った台北・松山空港からタクシーで宿泊先のホテルに向かいます。パソコンからあらかじめプリントアウトしていたホテル名の記載された書類は全て英語で、それを運転手に見せれば…
長期滞在者
拍手の音だけが耳に聴こえる。 全ての司会を終えて、頭を下げた瞬間に聴こえた拍手の音を、そのまましばらく聴いていた。 声の仕事をしてきて、20周年となった、10月のその日。 私は今も、自分の声を誰かに届け、言葉を使った仕事をして、最後に拍手の中にいる。 その事実に、感謝しかない。 20年で出会えた全てのことが、今も私が声を伝えることができる場所へと導いてくれたと感じる瞬間だった。 国連UNHCR難民…
長期滞在者
夏休み明けから、あれこれ整理をつけようと、 部屋の模様替えをやったり、ヨガと瞑想を再開したり、 日記やメモを今まで以上に詳細につけることにしたり、 アイロン台を買ってきてもっとアイロンがけに時間を費やすことにしたり、 と手を替え品を替え思いつくものは手当たり次第にやっているところなんだけど、 その過程でなぜか、植物との関わりをもっと増やすと良いに違いない、 という確信めいたものが降ってきて、にわか…
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デスモプレシン試験ー 入院4日からは、実際に薬を使って症状を抑えることができるのかを検査することになりました。デスモプレシン点鼻薬を投与し、バソプレシンが下垂体から分泌されるのかを確認しつつ、この薬で症状を緩和できるかを調べるための試験となります。デスモプレシンは、とても原始的な点鼻薬で、細い透明のチューブに薬の分量を測る目盛りがついていて、チューブの端から必要な分量の薬を注入します。片方の端を鼻…
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上原隆『友がみな我よりえらく見える日は』(幻冬舎アウトロー文庫) 仕事でなんとなく不調が続き、恋人を怒らせ、打ち合わせで雑に扱われる。みじめな気持ちになることが続いたその日の夜は、進まない原稿を放り出し、気になっていた本を読むことに決めた。 読んだのは、上原隆の『友がみな我よりえらく見える日は』。タイトルは石川啄木の句からの引用だけれど、誰しも一度や二度はそういう気分になったことがあるだろう。常に…
長期滞在者
僕が写真を始めたきっかけは以前にも書いたことがあるけれど、ペンギンだった。 24年前、南米チリでフンボルトペンギンの生態調査をする研究団体の調査旅行に参加して、ペンギンの営巣地の様子を記録撮影するためにカメラ機材を揃えた。 詳しい話はこちら → 「ゾディアック!」 南米の調査旅行から帰ったあと、僕は当時飲食店バイトかけもちのフリーターだったので、旅行中に使ったフィルム代プラス現像代(自腹)、無理し…
長期滞在者
「あれ? 前はもっとCDが積み重なっていたイメージが。」 「そうなの。だいぶ捨てたのよ。」 久しぶりに私の部屋を訪れた者からの言葉通り、 私の部屋から、多くのモノが無くなっていた。 深刻な理由はない。 時代の変化でCDを所有していなくても、これまでの自分の音楽のライブラリーをキープできる状態になった。 事実、私の周りのラジオDJ達からもだいぶCDを片付けたという話がよく聞かれる。 生活において、最…
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縁あって、販売中のマンションのモデルルームの中に、ルーニィで取り扱っている作品飾らせて頂くことになりました。以前からこういうイベントを手がけてみたいと思いつつそのチャンスに恵まれなかったのですが、いつか必ず出来ると念じていたら、やっと廻ってきました。 モデルルームの中というのは、建物の間取りだけでなく、中に配置されている家具や調度品、つまりダイニングテーブルに置かれたワイングラスから、ベッドルーム…
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鷺系の鳥というのはあの優雅な姿形に反して実はかなり獰猛らしい。 白鷺の生態が気になって動画を検索したら、魚はもちろん、小鳥、 鴨の雛鳥、ねずみ、リス、さらには亀まで食らっている 白鷺やら青鷺の様子をあれこれ見ることができた。 というか、いきなり最初の動画で自らの周りを飛んでいる小鳥を 捕食する映像を見たときはかなりショックを受けた。 (閲覧注意) 小学生の頃、通学路の脇の用水路で大きな食用ガエルが…
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11階1111号室ー 入院当日は、電車の遅延で遅刻しそうになるなど、ハラハラした幕開けでした。1週間家を空けることや、面倒くさがりなパートナーの食生活がどうなるのかなど、心配ごともたくさんあり、ついつい常備菜を作りすぎてしまったり。でも、これから先は何があっても受け入れるしかないという覚悟のせいか、気持ちは前向きでした。 わたしに割り当てられたのは、病棟11階1111号室、スカイツリーが見える、窓…
長期滞在者
家族がばらばらになったのは、去年の2月のことだった。 僕が幼い頃は主に父の酒癖の悪さが原因でよく家族喧嘩になっていたけれど、今回の事の発端は父ではなかった。父が年齢を重ね、あの赤ら顔と怒声が昔話になりかけた頃、こんなことが起きるとは。いくつかの問題が連動しながらめまぐるしく進行して、あっという間に縁を切る、なんて言葉が飛び交うようになっていた。 仮に相関図を書いてみるとする。それでいうと僕は誰にも…