長期滞在者
ドはドーナツのド!わたしが初めて一人で作ったおやつはドーナツだった。最初に、本からノートに作り方を書き出し、頭の中へ手順を入れる。溶かしバターを作り砂糖を混ぜていく。次に卵を入れる。ふるいにかけた小麦とベーキングパウダーを入れて生地を作っていく。どうやってあの◎を作ったのか、先に丸いガラスのコップで外縁くりぬき、後から赤い食卓塩の蓋を使い、真ん中に穴をくりぬいた。そして、油で揚げる。今ならネット環…
長期滞在者
京都の某老舗帆布カバン屋のショルダーバッグやトートバッグを、かれこれ二十数年使っている。もちろん、いくら頑丈といわれる帆布バッグでも、重くて堅いカメラを運ぶのだから消耗は激しく、すでにいくつも使いつぶしている。一番良く使うショルダーバッグはすでに四代目。バケツ型トートも初代がもう破壊寸前のズタボロで二代目に移行している。 一時期このカバン屋の製品が女性誌にとり上げられてブームが起き、注文してから半…
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物理は普遍である、と言えるのか。 地球上どこへ行っても物理法則は変わりません。その点では物理は普遍であると言えるでしょう。しかし現在まで続く近代物理は、17世紀の西ヨーロッパという特殊な時代、文化の元で生まれたと考えられています。歴史的に見ると、物理は決して同時的、多発的に発生したものではありません。 自分はこの事実にとても興味を惹かれるのです。 17世紀のヨーロッパ。 科学とあわい、占星術から物…
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2015年11月は色々あった。 やきものの仕事用のウェブサイトを作ってみた。 名刺も持っていないので、最低限これくらいはしなければ、 ということで作ったのだけど、こんなので役に立つのだろうか、 という危惧が無きにしも非ず。 友人が送ってくれたYouTubeのリンクで 水曜日のカンパネラを知る。 ハマりすぎて今でも毎日聞いている。 ほぼ中毒状態。 「ミツコ」 「マリー・アントワネット」 「ディアブロ…
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ひとりでいる時間が増え、本を読んだり、スマホをみたりという時間が増えた。縫い物や編み物をしたり、お掃除を今までより丁寧にしたり、ひとりでいる時間を充実させようとしている。自由だなと思うこともあるから、実のところ、自分が予想していたよりは寂しくは感じていないけれど、なにかが自分の人生からすっぽり失われてしあった感覚があって、それにはまだ慣れない。 ひとりで生活するということは、自分で物事に責任を…
長期滞在者
自分がどこにいるのか、わからなくなる。夕方の体育館で目覚めたとき、異国の街で酩酊してタクシーに運ばれているとき、昼下がりに談笑した友人たちが部屋から去ったとき、目の前を飛びまわる虫を叩くでもなく眺めているとき。そんな感覚に襲われることがあります。 自分と外界を隔てる境界は曖昧として、色や音や風や、誰かの嫉妬や自負や不安が、皮膚のすみずみから神経系をつたって全身にじわじわ染みこんでいく。推定37兆2…
長期滞在者
「自分の」写真に使い始めたのは四年ほど前からだが、仕事(営業写真館のカメラマン)の写真ではもう十年以上デジタルカメラを使っている。最初はフィルム用カメラと違って繊細そうなカメラ(高価でもあった)を怖怖使っていたが、実際使ってみると案外頑丈だし、別に今までのカメラと同等の扱い(要するに手荒)をしても問題はないことがわかってきた。 僕が今仕事で使っているカメラは二台ともに十年選手である。最新のカメラに…
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仕事場の近くに住んでいる衣料品関係の仕事をされている社長さんが、友人から頂いたという古い書物の1頁を切り取ったものを持って寄ってくださいました。フランス語が読めないのでなにが記されているのか分からないのですが、その方の仕事観に響くことばが綴られている詩の一節なのだそうです。書物にしては、分厚い用紙に活版ですられた本文は、それだけでも重厚な表情があり、周囲が茶色く焼けているのも時間の経過が感じられて…
長期滞在者
「魔法使いは、おもしろはんぶんに、肥料の粉で、すばらしいケーキをつくりました。材料は、腐葉土と混合肥料、それに窒素がひとつまみでした。魔法使いはそのケーキに白い石灰の粉をまぶしました。」 『魔法使いのチョコレート・ケーキ』より 「何して遊ぶ?」「天気もいいし、おままごとしよう。」そう決まると、私達は家の裏にあるコンクリート塀をひらりと乗り越える。すとん、と着地すればそこは隣の家の畑で、隅には用水路…
長期滞在者
いきなり余談から。 今期はアニメもドラマも面白いものが揃っていて、チェックするのに時間配分が大変である。 前期が散々だったから、たまにはこういう時があってもいいのだが、いや、大変である。 物語シリーズの本領を久々に発揮してる感のある「終物語」、 それと同じく西尾維新原作で、こちらは実写ドラマ「掟上今日子の備忘録」(ガッキー最高!)、 前期から引き続き昭和テイスト満載の「うしおととら」、久々の当たり…
長期滞在者
日々の生活が変わりつつある。11月からは、今までとはまったく違う生活になる。ここ数年離れることなく一緒に過ごした、もっとも大事な人としばらく別々に生活することになる。一人暮らしというのはどういうものだったのか思い出そうとするけれど、思い出すのはふたりで過ごす日々の幸せな場面の数々。きっと寂しくなるとはわかっているのに、どこか自覚が持てないまま、旅立ちの日は近づいている。 今回、こういう道を選ん…
長期滞在者
時間というのは不思議なものだな、と最近あらためて感じています。いま現在、この文章を書いている瞬間はあっという間に過去になり、歳月がたてば思い出すこともさほど多くはないでしょう。そして私が、数分後、数時間後、数日後をともにする未来の「いつか」は、現在の私にはどこまでも曖昧な異物です。想像はできます。予想もできます。でも、絶対に同じものではない。現在の未来としての「いつか」と、未来の現在としての「いま…