長期滞在者
ちょうどよかったわ。いっしょに おやつをたべてって 『おまたせクッキー』より 小学生の頃、家庭訪問の時期が待ち遠しかった。学校から家庭訪問の日程表が配られると仲の良い子4、5人で集まって作戦会議を開く。14時半にともちゃんち、つぎはひろえちゃんちだね、と先生が各自宅を訪れる時間を確認する。学校から先生にぞろぞろくっついてみんなの家をはしごしたり、時には先回りして待ち伏せしたりと、先生にも親たちにと…
長期滞在者
5月はほとんどの時間を作陶に費やした。 1年ほど前に無謀にもホテルの食器を引き受けてしまい、散々な思いをしながらいろいろ学びもしたのだが、 1ヶ月前にまたかなりの数の食器の注文が来たので、1年前のトラウマを抱えながらもそれに取り組んでいた。 去年とは違い、自分が好きに使える工房があるので、楽になった部分もあるのだが、 場所が狭いので、成型の終わった器を乾燥させる場所を確保するのに手間取ったりもした…
長期滞在者
日々の仕事が忙しいと、日常生活のあれこれが疎かになる。わたしの場合、料理を作ったり、掃除をしたり、きちんとした睡眠をとるために必要なことができなくなる。こういうのはよくないと思いつつ、なかなか思い通りに仕事と生活の両立ができなくて困る。 5月は少しつらい月だった。ここ数ヶ月の疲れが溜まっていたせいもあるけれど、突如任された仕事に振り回されてしまい、右往左往。上司と同僚の間を右往左往。人と人との…
長期滞在者
* 夢の中でエレベーターに乗ってしまうと いつも強制的に別の夢に連れて行かれてしまう 夢の続きに戻れるだろうかと たまに 階数を思い出したり数えなおしたり エレベーターを乗り換えたりするけれど 知らない人たちが次々と乗り込んできては ぎゅうぎゅうと私を奥へ奥へと押し込む エレベーターが消えると それはもう あの夢の終わりでこの夢の始まり またいつかあの場所に戻ろうと かろうじて記憶の崖を霞め留め…
長期滞在者
父は、不機嫌を振りまくひとだった。楽しむことがわからないし、彼が楽しい時間は家族といっしょに過ごすときではなく、滅多に重ならない。そして、問題は、彼が何にムカついてるか(当時そんな言葉遣いはないが)、母の憶測ぐらいしかヒントがないことであった。母の意訳は、「彼女ひとりが一生懸命考えたあるべき家族ゾウ」である。もっとわかりにくくなっている。父の不機嫌が、わたしたちとは関係のないことを言ってくれた方が…
長期滞在者
関西に生まれたのでアンチ・ジャイアンツなのはデフォルトだとしても、小学生の頃から関西標準の阪神タイガースにも目もくれず、ロッテオリオンズ(当時)のキャップをかぶり、長じては南海ホークス(当時)のファンになった。 ソニーのウォークマン(もちろんカセットテープの時代だ)ではなくAiwaやAkai製を愛用し、大人になっても電化製品はすべてナショナル(当時)を避けた。 とにかく「その世界で一番」というもの…
長期滞在者
ぼくの仕事はギャラリーディレクターですが、今までの仕事の中で相当な割合を写真作家を志す方々との関わりに時間を割いてきたと思います。学校での講義や講評、ワークショップ、ぼくのギャラリー以外でも比較的キャリアの浅い人を対象にしたイベントに呼ばれることも多いことからも、周囲の写真業界の皆様からも同じようにぼくの仕事を観ておられるのかなと思います。そういった皆様と時間を共にさせていただきながらしばしば感じ…
長期滞在者
1800年、ウィリアム・ハーシェルは、太陽の光をプリズムに通し(100年前にニュートンが行った実験と同じように)七色のスペクトルに分けました。そして、七色それぞれの温度を測ってみました。紫、青、緑、と徐々に温度が上がり、一番端の赤色の光が最も高い温度を示しました。ハーシェルは、なんとなしに赤色のさらに外側、目に見える光のない部分の温度を測ってみました。なんと、その場所は目に見えるどの色の光よりも高…
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アート・ブラッセルというアートフェアが4月24日から27日まで開催されたのだが、 そこに、日本の堀尾貞治さんとその仲間4人が現場芸術集団「空気」として参加した。 彼らのアテンドのような形で仕込みや客の通訳なども少し手伝うことになり、 仕込みを含めた会期中、毎日会場に足を運んだ。 今回の展示は「Art Vending Machine」と銘打たれたもので、 アントワープにあるアクセル・ヴェルヴォールト…
長期滞在者
台所がおかゆでいっぱいになり、家じゅうがおかゆでいっぱいになり、それから、となりの家がおかゆでいっぱいになり、家のまえの道も、おかゆでいっぱいになりましたが、おなべは、まだ、ぐつぐつ、ぐつぐつにています。まるで、世界中を、おかゆでおなかいっぱいにしてしまいたいと、思っているようでした。 『おいしいおかゆ』より 熱があって学校を午前中で早退した日のこと。食欲がない私に母がお粥を作ってくれるという。め…
長期滞在者
先日、電車の中でとても印象に残る出来事があった。まだ小学校に入学したてのとても体の小さな女の子と、同じように小柄なその母が、電車の中でわたしの横に座った。女の子は終始泣いていて、学校に行きたくないと、ずっとぐずぐずしていた。母は大分高齢で、困り顔で優しくあやすように女の子を励ましていた。 母は次の駅で降りるそうで、学校までの残りの道のりは、女の子ひとり。仕事だから仕方ないと言いながら、母は何度も何…
長期滞在者
路上でぺたんこになった小動物を見つけた。ぺたんこすぎて何なのかもわからない。 子猫にしては尾骨が太すぎ長すぎだし、頭が小さすぎる気がする。そもそも轢かれて伸びてしまっているので生前のバランスがすでによくわからないのだが、猫でないならイタチの類ではないかと思う。死後かなり経つらしく、骨煎餅のようにカラカラに乾燥している。 少し前にも平らになった亀を見つけたばかりである。材質からして亀以外にないはずだ…