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3F/長期滞在者&more

ゆれる日々。

長期滞在者

きっとあなたも、そちらのあなたもそうでしょう?
御多分に漏れず僕もそう。
いろいろ大変なことになってる。

・・・・・・

のんきに構えている事態ではなくなって、しかしのんきに見えるかもしれないことに、実は新しくカメラを買った。
新しく、といっても9年も前に発売された老兵を中古でだが。

本当はのんきにカメラを買い足すような状況ではないのだが、話は逆で、この状況で写真を続けるために何が必要かを考えて、不要なものと必要なものをもう一度考えたのである。

フィルム用の機材は必要なものを絞って整理した。
なきごとを言うわけではないが、これから潤沢にフィルムや印画紙に資金をつぎ込めるような経済状況に、簡単に復するとは思えない。
デジタルで置換可能なものはそうする。もともとカラー写真はここ6~7年ずっとデジタルである。フィルムカメラはモノクロームを撮るための必要最小限があればいい。
50mmレンズを使うための一眼レフ1台、35mmレンズを使う距離計カメラ1台、そして中判一眼レフを1台を残し、それ以外のカメラを手放してデジタルカメラの購入代金に充てた。

暗室は一応残す。
使用頻度は減っているし、必要な時だけレンタル暗室を借りたほうがいいかもしれないと迷い、たった三畳とはいえ別の用途に使ったほうが有意義だとはわかっていても、決心はつかなかった。
いつでもプリントできる暗室があることは心の裏支えの部分で重要な気がする。
同じ理由でシャッター不調のライカも残した。いつか治せる日を夢想する。大事なことのような気がする。

とにかく、この状況でも写真を続けるためのことを考えている。
先月からの繰り返しになるが、あたい写真をやめないわ。である。プカプカ(しつこい)。
やめないために諦めるもの、というものがある。
つらいなぁ。

みんないろいろ頑張ろうぜ。

カマウチヒデキ

カマウチヒデキ

写真を撮る人。200字小説を書く人。自転車が好きな人。

Reviewed by
藤田莉江

「信じる」という言葉の、仰々しさの及ばない凪のような部分。
そういう、ただ疑いもせず、このままあると思っていたはずの、という希望的観測上等のぼやけた未来。

ああ、あれも、信じていた、ということだったのか。あれすらも。

と、過去から未来を見ていた目のことを思い出す。

今、もともと見えてもいなかった未来が、もっと見えなくなってきて。
10年先も、来年という少し先でしかない未来も、そんなに大きく変わらないくらいには霧が濃くなったような気がする。
ただ。今、今日、明日の選択は、間違いなく来年にも、この10年後にも響き及ぶ選択だ。

選択によって削ぎ落とされるもの。濃縮すること。
より煮詰まり、磨かれ、強靭になるものもある。

何があっても、起こっても、それ以前よりも「いいこと」を1つでも2つでも作り上げてしまえれば勝ちだと思っている。転んだってタダでは起きない。

暗室を「残す」カマウチさん。このstay home期に暗室を徐々に「再建」するわたし。
やめないったら、やめない。だって、まだまだやりたいんだから。

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