長期滞在者
カンボジアで日本人の若者2人が、金のためにタクシー運転手を殺めたというニュースを耳にした。 放棄しているようであんま使いたくないけど、あり得ないという言葉しか浮かばない。 今月のアパートメントでは、カンボジアにいる親友について書こうと決め、はてどんな内容にしよかなと妄想している時にこんなニュースが入ってきた。 そんな事件が起こる前、先週金曜に、私の勤務先の農業施設の視察に訪れた、以前から何回か会っ…
長期滞在者
〈下図版:資料はアーカイブの要。これらは全て深瀬昌久関連。左上のファイル群は200冊強の雑誌スクラップブック〉 2014年に深瀬昌久アーカイブス(以下、MFA)を起ち上げて、今年で5年目となりました。5か年というのはひとつの節目ですから、起ち上げ当初に私が掲げた目標と、それを実現するためのビジョンを改めて振り返るには丁度良いタイミングでもあります。そこで今回より数回に分けて、物故作家のアーカイブと…
ギャラリー・カラバコ
今日ですべての額縁が埋まる。 うめる、という言葉はなにか空洞のようなものを、そうでないもので満たすことだ。 この鍵を持っているのが私だけだとしたら、「ギャラリー・カラバコ」の観客はわたしだけであり、 ふたつの作品がここにあるのも、この絵とこの文のあいだでどういうことだろうなあと考える私がいるからなのだろうか。 わたしは空っぽのこの部屋に入って、今まで考えたこともないようなことを考えてる。 それって…
長期滞在者
「さようなら」が言えない。 言葉には現実を引き寄せる力があるから。 「さようなら」を言ってしまえば、それでおしまいな気がして。 「さようなら」を言ってしまえば、二度と会えなくなる気がして。 私は「さようなら」を言うのが、とても怖い。 「最後の言葉」をずっと考えていた。 B3リーグ、東京海上日動ビッグブルーのホームゲームでのMCをもう10年以上務めてきた。 今シーズンで東京海上日動ビッグブルーがB3…
長期滞在者
先日、ある展覧会場の受付で、展示を観終わったと思われるお客様が、職員の方に向かって、目当ての作品が展示していなくて面白くなかった、というような感想を残して会場を後にするところを見かけました。 その後に会場に入った僕は、時間さえ許せばもう少し長くゆっくりとこの会場に居たかったと思わせる素晴らしい展覧会でした。足を運んだ展示で去りがたいと感じさせるものは、一年の中でそんなにはありません。 その展覧会は…
長期滞在者
小さな頃は音楽というものが大嫌いだった。この嫌悪感のみなもとは、小学校の音楽の時間に習ったリコーダーとピアニカにさかのぼる。楽譜の読み方もよくわからないし、指を動かして望むメロディを作りだしていくこともできない。それなのに授業はどんどん先に進んでいき、わたしはますます落ちこぼれていく。吹き口についた歯型の傷のザラザラした感触や、どうしても取れない生臭い唾液が人工的なプラスチックにまざった匂い。うす…
Mais ou Menos
———- Pちゃん 今日もお疲れ様です。もう3月も半ばやね。春は苦手なシーズンです。病気になる前は、少しずつ温度が高くなるこの季節が大好きだったけど、今はすごく辛い時期です。 春は鬱の傾向が強くなるの。毎日のように、寄せては返す波のような身分の乱れと戦っては、まけて波にのまれてしまっています。Pは辛抱強く私を見守ってくれていると思います。 2月後半から3月頭にか…
Do farmers in the dark
表題:あがががが、僕は柔らかくて固い膜みたいなのを突き破ってすごく寂しいところに出た。でも突き出る前の場所も寂しかったよ。 (イケてる山や草や池、構造物は、描けない。イケてなくてもせめて上手ならいいのに。みんなは凄くかっこよくてイケてる独創的な山や草や池などを書いている。自分はテクと、心根が無いんだ。来年くらいには状況は改善されていると思う) こんばんは!今月こそは本当に漫画の続きを…
長期滞在者
一人暮らしをしていた頃、インフルエンザにかかったことがあった。コンビニで大量の食糧を買い込んだので、薬を貰ったあとは特に困ることもなかった。ただ、一人でなんとかしてしまえるということは、それはそれで孤独なのかもしれないとも思った。 もちろん、誰かと暮らしているからといって、全く孤独ではないということではないのだけれど。 温かい雨が降るようになり、少しずつ物事の流れが変わっていくのを感じる。絹江ちゃ…
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
私が小学生のときに道端で出会っているから、姉さんとの友だち歴はもう20年近くなる。親子ほど年の離れた私たちが「友だち」というと周りの人たちは少し意外そうな顔をする。ほかにちょうどいい言葉が見当たらないのだ。会話をしているときの調子は友だちに見えるだろうし、一緒に出かける姿は親子にしか見えないかもしれない。今ではどちらもしっくりきてしまう。 私たちの最初の共通点は、ほぼ同時期に、同じペットショップで…
長期滞在者
先月2月4日、経済学者で補完通貨専門家(本人はMonetary architectという呼び方を好んでいた)である ベルナール・リエター氏(日本ではベルナルドと表記することが多いらしい)の訃報が届いた。 ぼくが約8年前に東日本大震災被災地を訪れた後に、 地域通貨についての話を聞きたくて、 彼のブリュッセルのマンションを訪れて以降、 何度か会ってお金についての個人講義をしていただき、 さらには彼の著…
長期滞在者
先週、5日ほどUAEに出張していた。 海外に行くのは学生時代から好きだったが、物価が高く、ここでの一泊分はインドや東南アジアでの何泊分になるだろうと考えると、UAEはなかなか足が伸びない国であった。 今回は、企業進出支援を行う国の機関の主催のもと、現地市場の視察、現地政府・企業との商談、またそれだけでなく現地の文化に触れる観光施設の見学もコンテンツに含まれていた。 ドバイ、アブダビといった大都市圏…