当番ノート 第35期
こんばんは。第二回目。先週、初回を投稿してから、見ず知らずの方の感想を見かけたり、友人からメールをもらったり、思いの外反響があって、これはお直しについて考えたり手を動かしたりが加速するかもしれない連載だなと、改めてありがたく感じている今。(感想ポストやワークショップ開催のお誘いはいつでも待ちしています、、!) さて、今回は一段ととっておきのやつお届けします。今年のはじめに東京と大阪でお直しの展示を…
the power sink
表題:ゴルフクラブ こんばんは!今回も絵を載せます。 いつも同じ事を言ってしまっているけど、今月は特別に集中力が無く、あまり気の利いた絵は描けず、なんだか少し気持ち悪い形ばかりになってしまった。 集中力は無いけど特別日常生活で変わったところは無く、とても良い季節になって、いつも通り間抜けな事ばかりしながら美味しいご飯、昼は大好きなラーメンを食べたり、やっぱりラーメンばかり食べるのも体…
当番ノート 第35期
物心ついた頃から、絵を描くことだけはずっと続けてきた。 大学四年生の頃にゼミの先生から絵を酷評されたとき、はじめて大きな挫折感を味わったように思う。 就職してからは仕事が忙しくなり、描くことはあくまで趣味と捉えることにして 自分のためだけに描こう、と割りきって描き続けた。 そして夏に鹿のような一本の木と出会った頃を境に、少しずつ絵に変化があらわれはじめた。 最初は、木や葉っぱ、雲、壁のひび割れなど…
当番ノート 第35期
「今から帰る」というメールが届いてから既に一時間以上が経過しているけど夫は未だに家に辿り着かない。夕飯の支度を終えてテレビの電源を点けると携帯電話のコマーシャルがブラウン管に映った。携帯電話をひとり一台持つ時代になったというだけでも未だに信じられないのに最新機種にはカメラ機能までついているのだという。わたしはテーブルの上に置いた自分の携帯電話を手に取り、今どこに居るの、と夫にメールを送った。あのひ…
画家と7人の肖像
例えば、ルノワールが描いたイレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の何を知っている? Photo by Kazuki Hiro あなたの肖像画を描きたいという私の突然の提案に対し、小沢さんは何故とも問わず また条件の一つも書き添えること無く「いいですよ」と返答した。 ゴールまでに越えるものがあるだろうと構え顔をあげたら、ハードルの取り払われたまっすぐな道が延びているような展開だった。 きっと、17歳の頃か…
当番ノート 第35期
「地獄寺」―あの世とこの世の境界にある、人間の本音が隠れている場所― タイは国民の9割以上が仏教徒という敬虔な仏教国である。そのため、まるでコンビニのように至るところに寺院が存在する。その数は約3万といわれており、日本のコンビニの数は2017年現在6万ほどであるので、街中のコンビニの半数が寺院であるような感覚である。そして数ある寺院の中には、コンクリート像で「地獄」を模した空間を併せもつ寺院が存…
当番ノート 第35期
こんばんは。はじめましての人が大半だろうに、でも久しぶりの人や、しょっちゅう顔を合わせてる友人にも読んでほしいなと思って、それでどちらかというと近況報告のような心持ちでこの連載をはじめます。週1回×2ヶ月の全9回。ふと思い出して、いつか全部読んでね。 すみだで暮らしています 最近の私はスカイツリーふもと、墨田区向島に暮らしています。早いもので、上京してから12年とちょっと。もうだめだ大阪帰る、京都…
当番ノート 第35期
旅に出よう テントとシュラフの入った ザックをしょい ポケットには 一箱の煙草と笛をもち 旅に出よう 出発の日は雨がよい 霧のようにやわらかい 春の雨の日がよい 萌え出でた若芽が しっかりとぬれながら そして富士の山にあるという 原始林の中にゆこう ゆっくりとあせることなく (高野悦子「二十歳の原点」より) 学生闘争の時代を駆け抜けた二十歳の女学生が、 自殺する直前に綴った一篇の詩。…
長期滞在者
夏休み明けから、あれこれ整理をつけようと、 部屋の模様替えをやったり、ヨガと瞑想を再開したり、 日記やメモを今まで以上に詳細につけることにしたり、 アイロン台を買ってきてもっとアイロンがけに時間を費やすことにしたり、 と手を替え品を替え思いつくものは手当たり次第にやっているところなんだけど、 その過程でなぜか、植物との関わりをもっと増やすと良いに違いない、 という確信めいたものが降ってきて、にわか…
当番ノート 第35期
午前三時のコンビニには客も居らず特にやるべき仕事があるわけでもなかったから俺とアサクラさんは制服を着たまま店の外に出て灰皿の前でそれぞれ煙草を吸った。深夜の空気を少し肌寒く感じた。東京の夏は随分暑さが長引くのだなとつい先日までうんざりしていたのだけど数日前から急に涼しくなった。俺が一本目の煙草を吸い終えて灰皿の中に捨てると駐車場に置かれている自動販売機の脇からサバトラ柄の大きな猫が姿をあらわした…
日本のヤバい女の子
【10月のヤバい女の子/腕力とヤバい女の子】 ●尾張国中島郡の大領・久坂利の妻 ――――― 《尾張の国の女、細畳を取り返す語(今昔物語/巻二十三・第十八話)》 (一) 今となっては昔のことだが、聖武天皇の時代の尾張に久玖利という男がいた。男の妻は糸のように華奢で柔和な雰囲気の女性だった。 彼女は麻の糸から細畳の生地を織るのがたいそう上手く、夫に素晴らしい着物を仕立てて着せていた。 ある時、久玖利の…
長期滞在者
デスモプレシン試験ー 入院4日からは、実際に薬を使って症状を抑えることができるのかを検査することになりました。デスモプレシン点鼻薬を投与し、バソプレシンが下垂体から分泌されるのかを確認しつつ、この薬で症状を緩和できるかを調べるための試験となります。デスモプレシンは、とても原始的な点鼻薬で、細い透明のチューブに薬の分量を測る目盛りがついていて、チューブの端から必要な分量の薬を注入します。片方の端を鼻…