当番ノート 第35期
温かい赤ん坊が僕の腕の中ですやすや眠っている。この子が生まれてから今日で十日目だか抱いている時は未だに緊張する。もしも自分が何かの拍子にほんの少しでも手を滑らせてしまえばこの子の身体はいとも簡単に壊れてしまうかもしれない。可愛さ以上にそういう恐怖心が身体を強張らせる。こんなふうに感じてしまうのは父親になった自覚が足りないせいかもしれない。現に妻や義父たちは慣れた手つきで赤ん坊を抱くことが出来てい…
Mais ou Menos
———- まちゃんへ ここ数日、食べる物にすごく気を使って生活していることが嬉しいです。 今まであまり関心がなかったけど、食べ物が体や脳に与える影響を身を持って感じています。ヴィーガン(食に関しての)チャレンジをして、砂糖も控えめにする生活は今のところいいことばかりです。何がいいかっていうと、寒くなってきたけど、うつっぽい気持ちになっていないこと、体が軽いことな…
当番ノート 第35期
「地獄寺」―あの世とこの世の境界にある、人間の本音が隠れている場所― ◆地獄めぐり day 3 地獄めぐり3日目は、昨晩宿泊したチャチューンサオ県にある寺院へ。寺院の名前はワット・チョムポートヤーラームといい、市内からバイクタクシーで5分ほどの近場にある寺院だ。前情報によるとここには朽ちかけの地獄があるとのことだが、いくら歩き回っても一向に見つからない。仕方がないので近くにいた僧侶に「この寺院に…
風景のある図鑑
結び目 : knot theory 人間が初めて紐を結んだのは、いつなのでしょうか。 古代の遺跡から、穴の空いた美しい貝殻が発見されました。 その穴にひもを通して結ぶことで、首飾りとして使用していたと考えられます。 そのとき昔の人達が、どのような結び方をしていたかわかりませんが、紐の結び方には様々な種類があります。 衣服を纏う、荷を背負う、帆を結ぶなど、紐の結び目は日常的に見かけるものです。 しか…
当番ノート 第35期
こんばんは。第二回目。先週、初回を投稿してから、見ず知らずの方の感想を見かけたり、友人からメールをもらったり、思いの外反響があって、これはお直しについて考えたり手を動かしたりが加速するかもしれない連載だなと、改めてありがたく感じている今。(感想ポストやワークショップ開催のお誘いはいつでも待ちしています、、!) さて、今回は一段ととっておきのやつお届けします。今年のはじめに東京と大阪でお直しの展示を…
the power sink
表題:ゴルフクラブ こんばんは!今回も絵を載せます。 いつも同じ事を言ってしまっているけど、今月は特別に集中力が無く、あまり気の利いた絵は描けず、なんだか少し気持ち悪い形ばかりになってしまった。 集中力は無いけど特別日常生活で変わったところは無く、とても良い季節になって、いつも通り間抜けな事ばかりしながら美味しいご飯、昼は大好きなラーメンを食べたり、やっぱりラーメンばかり食べるのも体…
当番ノート 第35期
物心ついた頃から、絵を描くことだけはずっと続けてきた。 大学四年生の頃にゼミの先生から絵を酷評されたとき、はじめて大きな挫折感を味わったように思う。 就職してからは仕事が忙しくなり、描くことはあくまで趣味と捉えることにして 自分のためだけに描こう、と割りきって描き続けた。 そして夏に鹿のような一本の木と出会った頃を境に、少しずつ絵に変化があらわれはじめた。 最初は、木や葉っぱ、雲、壁のひび割れなど…
当番ノート 第35期
「今から帰る」というメールが届いてから既に一時間以上が経過しているけど夫は未だに家に辿り着かない。夕飯の支度を終えてテレビの電源を点けると携帯電話のコマーシャルがブラウン管に映った。携帯電話をひとり一台持つ時代になったというだけでも未だに信じられないのに最新機種にはカメラ機能までついているのだという。わたしはテーブルの上に置いた自分の携帯電話を手に取り、今どこに居るの、と夫にメールを送った。あのひ…
画家と7人の肖像
例えば、ルノワールが描いたイレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の何を知っている? Photo by Kazuki Hiro あなたの肖像画を描きたいという私の突然の提案に対し、小沢さんは何故とも問わず また条件の一つも書き添えること無く「いいですよ」と返答した。 ゴールまでに越えるものがあるだろうと構え顔をあげたら、ハードルの取り払われたまっすぐな道が延びているような展開だった。 きっと、17歳の頃か…
当番ノート 第35期
「地獄寺」―あの世とこの世の境界にある、人間の本音が隠れている場所― タイは国民の9割以上が仏教徒という敬虔な仏教国である。そのため、まるでコンビニのように至るところに寺院が存在する。その数は約3万といわれており、日本のコンビニの数は2017年現在6万ほどであるので、街中のコンビニの半数が寺院であるような感覚である。そして数ある寺院の中には、コンクリート像で「地獄」を模した空間を併せもつ寺院が存…
当番ノート 第35期
こんばんは。はじめましての人が大半だろうに、でも久しぶりの人や、しょっちゅう顔を合わせてる友人にも読んでほしいなと思って、それでどちらかというと近況報告のような心持ちでこの連載をはじめます。週1回×2ヶ月の全9回。ふと思い出して、いつか全部読んでね。 すみだで暮らしています 最近の私はスカイツリーふもと、墨田区向島に暮らしています。早いもので、上京してから12年とちょっと。もうだめだ大阪帰る、京都…
当番ノート 第35期
旅に出よう テントとシュラフの入った ザックをしょい ポケットには 一箱の煙草と笛をもち 旅に出よう 出発の日は雨がよい 霧のようにやわらかい 春の雨の日がよい 萌え出でた若芽が しっかりとぬれながら そして富士の山にあるという 原始林の中にゆこう ゆっくりとあせることなく (高野悦子「二十歳の原点」より) 学生闘争の時代を駆け抜けた二十歳の女学生が、 自殺する直前に綴った一篇の詩。…