長期滞在者
夏休み明けから、あれこれ整理をつけようと、 部屋の模様替えをやったり、ヨガと瞑想を再開したり、 日記やメモを今まで以上に詳細につけることにしたり、 アイロン台を買ってきてもっとアイロンがけに時間を費やすことにしたり、 と手を替え品を替え思いつくものは手当たり次第にやっているところなんだけど、 その過程でなぜか、植物との関わりをもっと増やすと良いに違いない、 という確信めいたものが降ってきて、にわか…
当番ノート 第35期
午前三時のコンビニには客も居らず特にやるべき仕事があるわけでもなかったから俺とアサクラさんは制服を着たまま店の外に出て灰皿の前でそれぞれ煙草を吸った。深夜の空気を少し肌寒く感じた。東京の夏は随分暑さが長引くのだなとつい先日までうんざりしていたのだけど数日前から急に涼しくなった。俺が一本目の煙草を吸い終えて灰皿の中に捨てると駐車場に置かれている自動販売機の脇からサバトラ柄の大きな猫が姿をあらわした…
日本のヤバい女の子
【10月のヤバい女の子/腕力とヤバい女の子】 ●尾張国中島郡の大領・久坂利の妻 ――――― 《尾張の国の女、細畳を取り返す語(今昔物語/巻二十三・第十八話)》 (一) 今となっては昔のことだが、聖武天皇の時代の尾張に久玖利という男がいた。男の妻は糸のように華奢で柔和な雰囲気の女性だった。 彼女は麻の糸から細畳の生地を織るのがたいそう上手く、夫に素晴らしい着物を仕立てて着せていた。 ある時、久玖利の…
長期滞在者
デスモプレシン試験ー 入院4日からは、実際に薬を使って症状を抑えることができるのかを検査することになりました。デスモプレシン点鼻薬を投与し、バソプレシンが下垂体から分泌されるのかを確認しつつ、この薬で症状を緩和できるかを調べるための試験となります。デスモプレシンは、とても原始的な点鼻薬で、細い透明のチューブに薬の分量を測る目盛りがついていて、チューブの端から必要な分量の薬を注入します。片方の端を鼻…
当番ノート 第34期
一点の傑作を作るには。この書き出しで始まる自伝も、今回で最終回である。 本当はもっと書きたかったのだが、生来の時間づくりがヘタクソ・ぐうたら・段取り嫌いが祟り、道半ばでこの自伝が終わってしまう。それは惜しいので駆け足で書こうか、、、と思ったが、「遅い、のろま」と自他ともに思われても、わずかづつ積み重ねていくしかないとひらきなおって、前向きに道半ばでこの自伝を終わろうと思う。 一点の傑作を作るには、…
当番ノート 第34期
突然、暮らし方がわからなくなる。 突然、歩き方がわからなくなる。 突然、あり方がわからなくなる。 そんなことがよくあるよね。 ただここに存在するだけのことがどうしてこんなに難しいのか。 ホワイ?と天を仰いで神様に祈って、空に接吻。あら、まるでパープルへイズみたい。えへへへ。つって髭が特徴的なスキンヘットの男の人に抱きしめてもらうと余計な事を考えると気が紛れてとてもいい。 最近は金の事ばかり考え…
長期滞在者
上原隆『友がみな我よりえらく見える日は』(幻冬舎アウトロー文庫) 仕事でなんとなく不調が続き、恋人を怒らせ、打ち合わせで雑に扱われる。みじめな気持ちになることが続いたその日の夜は、進まない原稿を放り出し、気になっていた本を読むことに決めた。 読んだのは、上原隆の『友がみな我よりえらく見える日は』。タイトルは石川啄木の句からの引用だけれど、誰しも一度や二度はそういう気分になったことがあるだろう。常に…
当番ノート 第34期
ようこそ、ようこそ。 私のアパートメントへ。 ひと夏と少しの秋の思い出をダンボールに詰めて、明日私はこの部屋を出て行きます。 (そして例のごとく、ダンボールに仕舞い込まれたモノは今後、開封されないでしょう。) この部屋では私語りとして「岐路」を振り返りました。 岐路を考えることは、自分の構成物を考えることです。 構成物を見るということは、これからのことを想像することでもあります。 最後のお話も、あ…
当番ノート 第34期
あっという間の千秋楽 私がこのアパートメントの話しをいただき、下書きを始めた頃はまだ夏も来ていない時期でした。拙い連載期間が終わる今、百花園の庭はもう萩も終盤となり、秋本番へと移りました。そろそろ落葉もはじまります。 時の流れは速いですね、今年は特に上半期に私の結婚式・祖母の葬儀と言った冠婚葬祭が続いたので、私にとってはこの連載の話しを貰った時が今年の始まり・・・的な感覚がありました。オ…
当番ノート 第34期
ジ・アパートメンツの”A Life Full of Farewells”。 駄洒落というつもりでも無いけれど、この連載を毎回1つの作品を取り上げる形で書き始めてから、最終回はこの作品にしようと決めていた。 ジ・アパートメンツはピーター・ミルトン・ウォルシュというシンガーソングライターを中心に、オーストラリアのブリスベンで1978年に活動を始めた。ザ・スミスなんかのジャングル…
当番ノート 第34期
先週は失礼しました。 本来なら秋田での個展のエピソードから、6年棲んだ横浜のことを書く予定でしたが、絵画のコンクールの〆切があって途中でやめてしまいました。本当にごめんなさい。 一点の傑作を作るには他人との摩擦が必要だ。自分には想像もつかぬほどのスピードで走り続ける人に、伴走もしくは後塵を拝しながらでも走りもしくは歩き続けるべきだ。少なくとも私はそうだ。 2009年7月に秋田市で開催した個展はまさ…
当番ノート 第34期
眠い。 私はいま、とてつもなく眠い。そんな片足夢につっこんだ状態で8回目のアパートメントを書こうと思う。 時代は変わり。現代人はスマートフォンという手のひらサイズの光る板のようなモノを持ち、その板はもちろんただの板ではなく、電話、手紙、CDプレイヤー、新聞紙、写真機、家計簿、掲示板…等の役割をすべて担ってくれるのでとても便利で、しかもそれはどこでも持ち運べるので電車、会社、カフェ、自宅はもちろんト…