当番ノート 第25期
昨年の春、夢を追い求めニューヨークに引っ越してきました。現在は、ブルックリンのアパートで陽気なルームメイト2人と楽しく生活しています。初めての海外暮らし、不安で胸がいっぱい、、、なんてことは来る前も来た後も一切なく。生き心地は抜群にいいけれど、生きていくにはなかなかの気合いが必要なこの街で、日々切磋琢磨しながらも、のびのびと生きています。 不安はないけれど、驚くようなことは山ほどあります。多様な人…
当番ノート 第25期
その夜は今年一番の冷え込みだった。 氷のように冷たい雨は夕暮れどきからみぞれになり、夜半過ぎには雪へと変わった。 凍て玻璃の外は群青いろではなく、こっくりと塗り込めた漆黒の闇だった。その墨いろの中を、羽で撫でるように軽やかな白雪が舞うのだった。 こんな夜は雪が音を吸い込んで、自分以外の生き物が滅んでしまったような錯覚に陥る。 魔女はしんと静まりかえった雪の夜が好きではないらしかった。 …
the power sink
こんばんは!今回も絵を載せます。見て頂けると嬉しいです。 ではよろしくお願いします! 頭がじんじんしているのに、何でか頭はからっぽの大きな穴になってしまった気分。その穴の上に穴に入らないような黒っぽい物が乗っかってくる気分なんだよ 車がぶつかりそう 四つ葉のクローバー。幸運を 唇が分厚いのか、唇が全く無いのかどちらかの人達 大き…
当番ノート 第25期
[男1は動きをとめる] いまね、ぜんぜん違うこと考えてる がまんしてんの? うん ははっ、 なに考えてんの? え? なんだろ、ウクライナ情勢 なにそれー? なるべく関係ないこと考えないとダメっぽいんだもん 社会派じゃん こういうの社会派って言うんだっけ たぶんね この分だと朝になるころには、どっかのコメンテーターくらいにはなってるぜきっと かもねー &nb…
当番ノート 第25期
はじめて文章を書いて本という形で世に出そうとしたときに相談に行った人は、開口一番「やめておいたほうがいいよ」と言った。「ひとたび書いた文章が世に出ると、あなたの記憶も固定されてしまう。書かなかったことは、自分の記憶からもこぼれ落ちていくよ」と。 その忠告に反して私がはじめての本を書いたのは、私が旅先で再会した友人たちの言葉を届けたかった人がいたからだ。それは「10年後、ともに会いに」という本になっ…
当番ノート 第25期
これからどうしようかなぁと、考えています。 このアパートメントの話です。 1月上旬、アパートメントの管理人である鈴木悠平君からFacebookのメッセンジャーでこの連載の話をもらいました。あのアパートメントの話しが私の元に!なんとも嬉しいお話。しかしまあ毎週書けるだろうかとか、書くのは得意ではないなー、でもやってみようかなとか、いろいろな想いが頭の中を駆け巡ったもののすぐに一周して、悠平君が今私に…
はてなを浮かべる
いっそ自分からこぼれるべき? 分断されてるみたいに思う?自分のことなのに? 発したものの受けとられ方が不安で仕方ない? (一人歩きさせる勇気がない?) ふりかかってくるものを避けるほど意志がないだけ? 湯気は泣かせ上手なのか? 隙間から覗くことをやめないほうがいい? いちいち計り直しているから面倒くさがられる? た…
当番ノート 第25期
*** 青い背表紙を撫でるのは、白く細い指。 *** 私が魔女に初めて会ったのは、私がまだ十二の夏だった。 新しい「父」と、「父」との間に新たに生まれる弟か妹を身ごもった母親の邪魔をしないために、父親の知り合いの伝てで紹介された彼女のもとにひと夏の間世話になることになっていた。 数枚の着替えと本、学校で使う教本や筆記帳だけを携えた私は街の外れで車を降ろされた。 「この地図に行き方は書…
日本のヤバい女の子
【2月のヤバい女の子/第二の人生とヤバい女の子】 ●鬼神のお松 二つの人生を生きた女の子がいる。一つめは人間の女性として。二つめは鬼として。 ---------- 《鬼神のお松》 昔々、深川にひとりの遊女がいた。名をお松といった。ある男が彼女に首ったけになり、身請けをした。男の名は立目丈五郎といった。二人は結婚し、穏やかに暮らし始めた。 満ち足りた日々は長くは続かなかった。ある日丈五郎は仙台藩士 …
長期滞在者
一体全体、おれにどんなカルマがあるというのだろう、 と書き始めてみて、ふと思う。 この「一体全体」という言葉は一体全体どうして疑問文を強調するための副詞として使われているのだろうか。 というか、なんでこの言葉がそういう機能を持たされているのか、 見れば見るほど良く分からない。 検索してみても、その由来なんかは出てないようだし、 仕方ないので久しぶりに三省堂の新明解国語辞典を引いてみたが、 期待して…