長期滞在者
<ジム通い> ジムに通い出して2ヶ月ほど。 自然と他の人の身体に目がいくが、人それぞれ色んな身体がある。 トレーニング方法も十人十色で、リズムを取るためなのか、スパイダーマンのように飛び跳ねながら懸垂をする人がいる。 ありったけのエネルギーを皆が出し合う空間で、そのエネルギーが何にも使われず、タンパク質と合体した後に、ただそれぞれの身体に溶けていくのがなんか面白い。 <悪は存在しない> 横浜のシネ…
長期滞在者
SNSでズブロッカの話題が出ていたので懐かしく昔を思い出した。 はじめてズブロッカという酒の名を知ったのは伊達一行の小説『沙耶のいる透視図』だった。映画化もされているので伊達一行の中で一番売れた小説だろう。18~19の頃、どエロくダークな伊達一行の小説に耽溺した。しかし今日はどエロもダークもとりあえず置いといてズブロッカの話である。この小説にズブロッカが出てくるのだ。 「ズブロッカが飲める店がある…
長期滞在者
強い風 話し声が聞こえないくらいの強い風が吹いている 普段は気になって仕方のない周りの声が遠のいていく そんな天気の日は開放された気分になる 「舌をたくさん巻いてラテンの血を感じたいビッグマフを踏んで雑音を吹き飛ばしたいビル影の街から日の当たる瀬戸内に越したい」 閉じたときに頭をよぎる考えが、とてもちっぽけに思えるような、笑い飛ばすしかないような風が吹いている もし風が吹き止んだら、マンホールの蓋…
長期滞在者
30年以上使ってきたキヤノンのマクロレンズが壊れた。EF100mmF2.8macro。フィルム時代のAF一眼レフ、キヤノンEOSシリーズの初号機(EOS-650)が1987年、その3年後に発売されたレンズである。フィルム時代からデジタルの現在まで続く長いEOSの歴史の中でも最初期の製品だ。EOS(曙の女神)の黎明期、なんていうと何だか詩的だね。そんな歴史的遺物に近いレンズが、なんと今まで現役だった…
長期滞在者
最近ジムに通い始めた。 筋肉を動かすことでアドレナリンが身体に拡がって脳に届くのを感じる。 自然と食生活にも影響が出て、ビールも週に数回しか飲まなくなった。 身体が肉を付けていくのは心地よくも感じるが、一方で、服から筋肉が盛り上がって見えるような姿は目指していないので、トレーニングの負荷を上げていっても肉があまりつかなければとも思う。 本当は定期的に泳ぎたかったのだが、結局プールも付いていない近所…
長期滞在者
今まで何度もデジタルのモノクロ撮影に本腰を入れようと思い立っては長く続かず、いつのまにかカラー撮影に戻っている。デジタルカメラというのはカラー・モノクロどちらでも撮れてしまうので、どっちでも撮れるカメラというのは結局撮ってから考える、みたいな順番になってしまい、そんなのではろくな写真が撮れる道理がないのである。フィルムカメラにモノクロフィルムを詰めているときには、やはり脳内がモノクロの諧調をサーチ…
長期滞在者
思い立って20年ぶりに沖縄へ。道を封鎖したステージの先には米軍の敷地というロケーションでハードコアパンクが奏でられ、絶対パンクを聴かないであろう通りすがりの米兵たちが人種も関係無くモッシュに参加する空間。ネコの多さ、出会いの軽さ、街の危うさ、時間の感覚の薄れが、異国に行くよりも異国にいるような。
長期滞在者
写真というのは「降ってくる」ものである。降ってくるものを、あやまたず拾い上げる準備だけが求められる。テクニックが必要だとすればそれは「準備をしておく」ということだけだ。アンテナ張って降ってくるのを待つ技術。これは写真を撮る人だけの話ではないだろう。音楽を作る人にも、絵を描く人にも天啓のように降ってくるものがあるのだと想像する。ショパンだったかシューベルトだったかシューマンだったか誰か忘れたけど(シ…
Do farmers in the dark
春を待っているよ 早く春が、来てほしい。私は春の到来を、心待ちにしている。何かソワソワして右往左往する、または何かしようとするけど結局何も出来ず昼寝してしまう、草木は萌え出し、と同時に街の排水溝からなんかメンマみたいな、正確にはメンマかな?汚水かな?下水かな?苔むした土が蒸されているのかな?みたいな匂いも萌え出し、桜は咲くけど行った花見でなにかちょっとだけ悲しい事(例えばコンビニで買ったおつまみの…
長期滞在者
2月中旬のある日、アイスコーヒーを始めるにぴったりな日だと思ったが、まだ早かった。 朝起きてホットコーヒーを淹れたが、いつもより量が少なく、普段は午前中は1杯しかコーヒーを飲まないが、今日は特別にとコンビニでコーヒーを買って、井の頭線に乗り込んだ。 電車の中でコーヒーを飲むことにハマっている。片腕が否が応でもふさがるのがいいのかもしれない。 渋谷から終点の吉祥寺駅まで乗って、街を歩いた。 パルコの…
長期滞在者
身の丈に合った、という言葉は、「過大な望みを抱くな」的な、ウツワ通りの大きさで小ぢんまり生きとけ、みたいな圧を感じて好きではないのだが、それとは別の文字通りの意味で、昔から大きめの服を着るのが好きだった。というのも若いころから幼児体型でポテポテの腹をしており、身の丈通りの体型に沿った服を着ているとなんともみっともなかったのである。二十代前半は劇団に所属していたので、発声的にも腹筋を鍛える必要があり…
長期滞在者
年末年始は寝正月だった。 昨年の秋から出張で長野と横浜を行き来する日々が続き、気温差にやられたのか、不規則な働き方で体調のコントロールが効かなくなったのか、もしくは仕事の決着が着かないまま年末を迎えたからか、思い当たる節はいくつもある。 年末に身体の異変に気付いた時、これは寝正月になるなと思い、それはそれで生活の中で一呼吸を置けるとどこか安堵した気持ちにもなった。 部屋には、図書館で借りていた本が…